スキードーム構想 -1

 インタビュー記事をいくつか読んで、皆川賢太郎氏の発言で特に興味深かったのが、スキードームの構想。

ザウスはゼロから骨組みを組んで、地熱にもさらされたあまりに金がかかる仕組みだった。傾斜地を囲って普段は捨てるほどある雪をうまく活用すれば、もっと効率的に運営できる。

・(民間との連携も視野に入れ)目標は10年といわず5年以内

・1年を通じて楽しめる室内スキー場「スキー・ドーム」の建設や同様のフィールドを作ることは、競技者のためだけに限らず、スキー産業復活のためにも必要不可欠なものだと考えています。

 この構想は、マーケティング担当常務理事として市場を広げるためでもあるだろうけど、競技本部長として夏の強化に使えるものを作りたいというのが大きそうである。

 ヨーロッパは、一般スキーヤーのシーズン期間は日本とそう変わらなさそうだが、高標高の氷河では選手が雪上練習できる期間は日本より長そう。日本でも、アルプスや南半球に行かなくても、夏でも雪上訓練できる場所がほしいに決まっている。実際、愛媛にあった屋内ゲレンデにはハーフパイプがあって、オリンピック選手も輩出している。

 ザウスは「地熱にもされされた」と言ってるが、傾斜地をそのまま使ってこそ地熱にさらされるのであって、ザウスは地熱にはさらされないだろう。日本にもピーク時には10か所以上の通年営業の屋内ゲレンデがあり、今も3か所だけだが残っているザウスや他の屋内ゲレンデが生き残れなかった原因や、この3か所が生き残れた原因をどこまで分析できているのだろうか。

 ザウスは長さ500m、幅100m、高さ100mあった。それだけのものをイチから作るより、傾斜地を囲うだけなら、それは建設費は安くなるだろうが、「雪を活用」で運用コストがどれだけ下がるものかはよく分からない。

 例えば、豪雪地帯に開閉式ドームで作って、降雪期の12~2月は開けておけば雪は積もるから、冬から春に人工雪を作る量は普通のスキー場と変わらないだろう。が、それこそ地熱にさらされもするので、屋根で太陽光を遮って空調で氷点下を維持したところで、冬の雪が1年もつものなのかどうか。大雪渓を考えるともつ気もするし、ガンガン滑られるともたない気もする。(続く)