ザウス的屋内ゲレンデについて -1

 皆川氏のスキードーム構想について、その時の記者の記事に気になる記述があったので、それについて一言。

 ---記事引用-ー-

千葉県船橋市にあった「スキードーム ザウス」はバブルのあだ花としてすっかり有名になり、負のイメージが根強いが、「ザウスはゼロから骨組みを組んで、地熱にもさらされたあまりに金がかかる仕組みだった。傾斜地を囲って普段は捨てるほどある雪をうまく活用すれば、もっと効率的に運営できる」というのが皆川氏の見立て。実際、オランダやドイツ、ニュージーランドなどにある同様の施設では、ホテルやショッピングモールなどが一体開発され、大会やイベント開催を通じてにぎわいの場になっているケースもある。

 ----以上-ー--

 皆川氏の発言の「ザウスは地熱にさらされる」については、以前の投稿で指摘した。その皆川氏の発言を受けての記者の文章で海外の成功事例が紹介されているが、これらの事例はすべてザウス型の「ゼロから骨組みを組んで」のものではないだろうか。

 「ザウスは金がかかる仕組み。傾斜地を囲えばもっと効率的に運営できる」の言葉から、「実際、海外ではにぎわいの場になっているケースもある」の流れでは、「ザウス型では難しいが、海外では傾斜地を囲って雪をうまく活用するなど効率的に運営して成功している」と読まれることになるのではないか。

 オランダ、ドイツ、ニュージーランドなどの成功例がすべて、傾斜地を囲って雪をうまく活用するなど効率的に運営してこその成功なのだったら問題ないが、おそらくそうではないのではないか。だとすれば、記事にするにあたっての取材が足りないということなのか、記者及び編集者の文章力の問題なのか。

 ザウスはバブルのあだ花として有名で負のイメージが強い、というのも、一般的には確かにそうだろう。バブルの金余りの勢いで企画され、バブル崩壊で収益見通しが大幅に狂って赤字になって潰れた、というイメージ。

 だが実際は、ザウスは赤字になったことはなく、最初から10年限定で建設され、黒字運営の維持は見込めないことから当初予定通りに閉鎖されたとのこと。(ウィキペディア情報)

 まさかの黒字!と思ったら、「経営する三井不動産の広報部によると、営業上は黒字だったが、減価償却分の年20億円が赤字になり、営業継続は難しいと判断した。」という情報もあった。営業キャッシュフローは最終年度まで黒字だったが、純損益は最後の方は赤字になっていたということか。(続く)