ザウス的屋内ゲレンデについて -4

(前回から続く)

 ザウスは11月が一番混雑し、9月から12月にかけてが繁忙期で、1月から3月が閑散期だったというが、それはあくまで「ホンモノの代わり」であってホンモノとは別の独自の価値を提供できなかったからとも言えそう。

 当初のライト層狙いというところからすると、ちょっと本格的過ぎたのかもしれない。閑散期に来ていたのがライト層の需要であり、その客数で成立する範囲の投資額に収めなければいけなかったのか。しかしそうなるとスノーヴァサイズになるのかも。

 それか今ならヘビー層に振って、でもアルペンはどうしても広さがいるから、ハーフパイプモーグルに特化するとか。ザウスとスノーヴァの中間サイズで、高低差50m・長さ250mあれば、全面コブならまあまあ滑り甲斐ある。ハーフパイプならもっと高低差いらない。基礎スキー系にもコブ好きやコブが苦手で練習したい人は一定数いるからそこそこ客集まるかも。

 日本国内の通年営業屋内ゲレンデは、ごく小規模といえるスノーヴァが3か所残っているだけだが、海外では大~中規模のオープンや建設が続々と決まっている。

 去年6月に中国・ハルビンに建築面積8万m2(これがゲレンデ面積だとするとザウスの1.6倍以上になる)の世界最大の屋内ゲレンデがオープンし、アメリカでもニューヨーク近郊(タイムズスクエアの北西16㎞)に来年3月オープンを目指して建築中、中国ではさらに、上海ディスニーリゾートのそばに9万m2の屋内ゲレンデを含むリゾート施設を2022年開業目指して建設されるという。

 ハルビンは寒いが雪は降らない気候なので、屋内ゲレンデにはもってこい。7月の平均最高気温は28℃まで上がるというが最低気温は18℃で函館や青森あたりに近いから、夏の冷房コストもまだマシな方か。

 1月は最高-12℃の最低-24℃というから外では寒すぎてスキーどころではなさそう。実際、中国東北部から日本のスキー場に来る人は「寒すぎなくていい」と言ってるらしいし。ハルビンの屋内ゲレンデは冬は暖房を入れて-10℃程度をキープするのだろうか。

 中国東北部黒竜江省ハルビン市というと相当なイナカのイメージがあるが、市区人口が550万人、市域人口は1000万人前後というから、中産階級が増えてレジャー消費が定着してくれば十分な人口規模。

 ニューヨーク郊外のものは1.7万m2弱というから標準サイズか。ニューヨークの夏の気温はハルビンよりも1~2℃高く、岩手や仙台あたりに近い。冬も大寒波に襲われなければスキーにちょうどよさそうな気温。

 上海には2002年オープンの屋内ゲレンデがあったと思うが、北京冬季五輪のタイミングでディズニーランドのそばに大型複合屋内リゾート施設ができるとなると、既存の屋内ゲレンデはもう御役御免だろうか、並存するのだろうか。上海の夏は東京や大阪と同等以上に暑く、冬も大差ないから、冷房コストは高そう。(続く)