スキー未来会議 #2 -2

(前回から続く)

 続く『スキー産業のリアルな今と未来~小売りから見えるウインター産業の実態』では、スポーツ庁民間スポーツ担当の由良氏、ゼビオホールディングス代表取締役の諸橋氏、クロススポーツマーケティング(ゼビオグループ)代表取締役社長の中村氏が登壇した。

 由良氏は、国のスポーツにおける施策について、「これまでのスポーツ界では、金儲けをしてはいけないとの古い観念があり、スポーツ界の経営を担う人材が少ない。そんな中、スポーツ界で活躍する経営人材を育てていく取り組みが始まった。すでにJリーグBリーグプロ野球チームなどに入り働いている人材もおり、スキーの分野においても、こういったことができるようにしていきたいと感じている」と話したという。

 育成の取り組みが始まっているという「スポーツ界で活躍する経営人材」とは、プロチームの運営にあたる人材のことだろう。

 プロ歴の長い野球にしても、ちょっと前までは球団は親会社の広告塔であり、球団経営は赤字で親会社が補填するのが当たり前だったのが、この10年ほどでようやくまともな経営者による独立運営に変わってきているところだろうし、サッカーやバスケットボールなどプロチームが増えるにつれ、あるいはその他の競技の実業団チームにしても自立した運営が求められるようになり、それでスポーツチームの経営人材育成の取り組みが始まっているのだろう。

 それを「スキーの分野においても」とは、どう関係するというのか。SAJの運営にプロの経営人材を起用していくということなのか。それなら非常に期待できるが、そういうことなのか?

 そこも必要だろうが、スキー業界に求められているのは、スキー場運営の合理化・近代化なのではないのか。

 バブル期はコクドといった大規模開発事業者が大資本を投入して、リゾートとして開発し運営されることが多かったが、そうした新規大規模開発は市場環境的にも環境保護的にも難しくなった現在、マックアースや日本スキー場開発などの専業事業者によるスキー場のグループ化と効率的な運営、それによる再建・発展事例が注目されている。

 それが万能ではないにせよ、地域や規模に応じた戦略やポジショニングを考えて生き残りを図るという考え方は、自治体所有のローカルスキー場にとっても、あるいはローカルスキー場にこそ必要なのではないか。

 しかしそれはまさしく「企業経営人材」ということになり、スポーツ庁の管轄ではない。やはりSAJ運営のプロ化ということなのか。だとしたら、エライもんをぶっこんできたなという感じもする。(続く)