安比のザイラーゴンドラ休止

 安比のザイラーゴンドラとザイラー第1リフトが今シーズンは休止とのこと。

 安比のザイラーゴンドラといえば、スキー滑走用(山上駅から山麓駅まで滑走できるコースがある)の索道としては、栂池のゴンドラ・イブ、野沢温泉の長坂ゴンドラに次ぐ長さ、ということは中間駅のないものとしては最長の索道であり、竜王ロープウェイと長坂ゴンドラに次ぐ標高差、ということは中間駅のない循環式索道としては最大標高差という、記録的なゴンドラ。

 ザイラーゴンドラにはザイラー第1とザイラークワッドが並列しており、どちらかがあれば滑走エリアは減らない配置。昨シーズンからゴンドラは休日のみの運行となっていたが、今シーズンは運行予定なしになった。

 並行しているリフトがなくなるのは20年近く前から日本中のスキー場で行われてきていることなので、むしろ今までよく残っていたなとも思うが、普通は距離の長いゴンドラを残しそうなところを、緩斜面を切り捨てるという思い切った行動に出た。

 ザイラー第1リフトは、長さは1300m以上あるが標高差は150m台で勾配は12%程度。栂池の鐘の鳴る丘ゲレンデのクワッドリフトが15~16%勾配ということから、かなりの緩斜面ということがわかる。

 2年前に加森観光から外資に経営権が移ってすぐ、1㎞超えのシュレップやTバー(しかもTバーは勾配30%近い急斜面)をペアリフトに架け替えたのは前向きな設備投資だったが、今度はサービス低下を伴うコストカット。休日も含めてほとんど人が滑っていなかったということかもしれず、だとしたら合理化として致し方なしか。

 しかしこの休止で、安比高原スキー場はこれまで標高差805m(500m~1305m)と公称していたが、リフト営業エリアとしては、625mからの標高差680mということになりそう。スキー場標高差ランキングでいうと、トップ20圏内からトップ50圏内に落ちる。

 緩斜面はなくすが、ツリーランエリアは大幅に拡大ということで、これは現状のニーズへの対応ということか。

 スキー場内のコース間エリアを「ツリーラン」と称して公認するところは増えているとはいえ、安比のようにそう降雪量の多くないところでも、勝手に入っていく人が絶えないから後追いで公認ということなのだろうか。

 ナイター営業エリアが、これまでセントラル第3リフトまでだったのが、下のクワッドだけに縮小されるそうで、ナイターで標高差400mを超えるという、ニセコヒラフや富良野に次ぐ数少ない規模だったので、残念。

 マックアースの一ノ本社長も「スキー場の滞在時間が短くなっている」と言っているが、客層の高齢化とともにナイターまでゴリゴリ滑る人が少なっているのだろう。

 かくいう私も、普段はナイターまでは滑らない(体力的に持たない)が、ニセコ富良野へ行った際は、初日はどうしても到着が午後になってしまうことからナイターまでガッツリ世話になった。しかしそのニセコヒラフも、キング第3リフトのナイター営業は数年前に終わってしまっており、ナイターエリア縮小は避けられないよう(それでもゴンドラとエースクワッドがやっていればかなり広い)。

 安比も行ってみたいのだが、行くなら飛行機となり、飛行機なら北海道へ行く方が安いことから、なかなか踏み切れない。安比なら午前中に滑り始められそうなのでナイター縮小の影響は比較的小さいが、それでも「ナイター営業エリアが広いうちに行っておけば」と少し思う。