3月のスキー人気低下

 今般、大手資本傘下のスキー場は人工降雪機を増強してシーズンインの早期安定化を目指し、頑張って雪運び・雪寄せしてシーズン延命を図るようになっている。

 それに対して、ローカルゲレンデは最初から3月1週目週末までを営業予定期間にするようになってきている。

 以前は3月いっぱいだったり、春分の日あたりまでだったり、雪がある限りだったと思うのだが、そこまで雪がもたないし、雪があっても客が来ないということなのだろう。

 実際、特殊索道輸送人員数のピーク期6年(90/91シーズン~95/96シーズン)平均と震災後の下げ止まり期4年(11/12シーズン~14/15シーズン)平均を比べると、12月44%・1月は40%なのに対して、3月は32%となっている(2月は36%、12~4月合計では37%)。

 月別で最多の1月を100とした場合の他の月の輸送人員数は、ピーク期が12月=36、2月=99、3月=74だったのが、下げ止まり期は12月=40、2月=90、3月=60となっている。

 近年はシーズンを通じての降雪量も3月の降雪量も減少傾向で、滑れなくなる時期が早まっているのも確かだろうが、客数はそれ以上に減っていると感じる。3月1週目はまだしも、2週目でガクッと減って、3週目にはもうガラガラというくらい。営業終了のスキー場もあって、滑れるところが減っているというのに。

 奥美濃エリアの場合、名古屋と近畿圏の若者の比率が高く、スキー場に雪があって滑れるかに関係なく、生活圏が暖かくなってきたらスキー場に行かなくなるのかもしれない。

  ブームの時は、3月になったから客が減るという感じはなかった。春分以降はさすがに減るとしても、春休み需要のようなものもあった気がする。スキー場がやっていれば行く。それがブームというものか。

 逆に12月の減りが少ないのは、人工降雪機によるオープン前倒しの成果ではないか。ピーク期のオープン日状況のデータはもってないのだが、アメダスで東日本日本海側の降雪量データをみると、ピーク期は概ね暖冬で12月の降雪は平年の7割程度(90年は12%、95年は102%)となっているから、豪雪地帯や高標高でなければ12月中旬以前のオープンは難しかったのではないだろうか。

 1月の減少が2月よりも小さいのは、「正月休みにスキー」が根強いのかもしれないが、インバウンドの影響もあるのかと思われる。豪州人の来訪はもっぱら1月だ。

 スキー場の宿の料金でいうと、ブーム期は春分あたりまで土曜泊は高く、1月か2月か3月かという月ごとの料金差は大きくなかったように思うが、00年代の一番落ち込んだ時期には2月以外は土曜泊も平日泊と同じという時期があった。その後、週末料金は復活したが、2月が一番高く、次に1月で、3月は2週目には平日と大差なくなり最終週はもう平日と同じになっている。

 ところで、今世紀になってからの17年で、12月の降雪量が平年の50%を超えたのは8回と半数以下。「平年を超えた」が半数弱ならともかく、「平年の半分以上」が過半数を割り込む少数派とは。

 2年前が平年比16%、3年前が平年比2%なのは納得がいくが、去年が96%で4年前が196%というのは、確かに4年前もシーズンインが早かったけど、去年と比べてそこまでの差はなかった。平地の街中に設置されていることの多いアメダスの降雪データと、山上のスキー場の降雪量や滑走状況は必ずしも一致しないということか。