2019/20シーズンのスキー客数 _2

(前回からの続き)

 長野県主要スキー場(長野経済研究所調査)の客数を個別にみると、滑走エリアの広がりを欠いた岩岳と黒姫は半減以下だったが、半数は増加または10%減以内に収まっている。

 増加したのは、おんたけ2240(2.8→3.9万)、五竜&47(39.4→47.4万)、湯ノ丸(15.7→17.9万)、戸隠(9.1→9.7万)の4つで、高標高域の積雪はそれほど少なくなかったからと考えられる(志賀高原は-0.8%でほぼ横ばい)。

 他に減少幅が大きいところをみると、八方20%減、栂池12%減、野沢温泉14%減、斑尾21%減、タングラム21%減と近年外国人客の誘致に成功していたところが目立つので、春節時期の中国人客の減少や、その後の外国人客全般の減少の影響も出ているとみられるが、五竜&47の大幅増加については、湯沢町におけるかぐらのように、高標高域の滑走エリアが広いことから白馬エリアの客が集まっての独り勝ち状態と考えられる。

 西日本や北陸では雪不足がより深刻だったが、人工降雪機のあるスキー場はそれなりに営業・集客できただろう。北日本では雪不足は長野・新潟よりマシだったはずだが、スキー場ではどうだったのだろうか。

 特殊索道の輸送人員数の都道府県別シェアは、長野県が約25%、新潟県が約15%。長野主要のスキー客数は長野県全体の約75%、湯沢町のスキー客数は新潟県全体の約50%だから、長野主要と湯沢町で日本全体の25%以上を占めていることになる。

 長野主要と湯沢町の合計スキー客数(3月末時点)は前年比15%減だった。日本全体の索道輸送人員数でも同程度だとすると、4年前の18%減に迫る大幅減で、昨年の6%減に続く2年連続減少は2010年度以来となる。

 来シーズンはまだコロナ第2波がどうなるか次第だが、緊急事態宣言は出ずとも、ワクチンや治療薬が広まらない限り、人気観光地の人出は以前の水準には戻らない可能性が高いだろうし、次の冬が来るまでにワクチンが普及するということはなさそうだ。

 スキー場の場合、自家用車日帰り客中心のスキー場への影響は小さくていいはずだが、高速バス利用者や宿泊客への影響、外国人客比率の高いスキー場への影響は大きく残るだろう。12月に第2波で緊急事態宣言がでれば業界全体が壊滅的影響を受けるし、そうでなくても1~2割かそれ以上の更なる客数減となる可能性も低くはなさそうだ。

 人工降雪機への投資どころかリフト更新の余力もないスキー場の淘汰が進むのはやむを得ないが、コロナがなければ何とかなっていたスキー場が廃業となってしまわないことを願うばかりだ。