続・伊吹山スキー場

 昔のゲレンデガイドには2000台分の駐車場があったことになっているが、どこにあったんだろうか?グーグルアースを見る限り、ゴンドラ前の今は畑になってるところくらいしかなさそうだが、そうだったんだろうか。土で固めていたのを畑に戻したのか。

 そこだったとして、神社前からの道幅ですれ違いできるんだろうか。バスも無理矢理入っていってたのか、あるいは団体用のバスは受け入れてなかったのか。

 自家用車普及以前の、日帰り客は地元だけで地元以外は泊り客の時代、その泊り客や準地元の日帰り客も鉄道と路線バスでやってくる時代の受け入れ環境という感じ。

 伊吹山スキー場が潰れたのは、全国的なスキー客減少に加え、雪不足で営業期間が短くなったから、と何となく思っていたが、この受け入れ環境の貧弱さも大きかったのではないだろうか。

 奥伊吹スキー場は、近年、バブル期以上の集客を実現している。アクセスのよさに加え、降雪機の導入による営業期間の確保や、家族連れ向けサービスの強化が功を奏していると思われる。

 大阪からの距離という点では、伊吹は奥伊吹よりさらに近い。しかしスキー場麓エリアの道幅の狭さは大きなマイナス要因。「アクセスのよさ」とは距離だけではないと痛感する。

 団体客のための大型バスのスペース、自家用車が入りやすい道路状況、着替えやレンタルを提供するスキーセンター機能。そういったものがないことで、近隣との競争、具体的には、東海北陸道延伸でアクセスのよくなった奥美濃エリアとの競争に敗れたということだろう。

 

 奥伊吹が客数記録を更新しているのは、家族連れ向けの設備投資のタイミングがよかったということもあるだろうけど、それはどこでもやっている。「スキージャム勝山奥美濃は遠い、びわ湖バレイ箱館山は物足りない」という客層で伊吹に行っていた人たちが、伊吹がなくなって奥伊吹に流れ込んだことがまず大きかったのかもしれない。

 伊吹周辺は、天気図によっては奥美濃よりも降雪量が多いことも珍しくないが、シーズンを通じての降雪量は奥美濃ほど多くない。そんな立地でベース標高420m・トップ830mで営業できていたのは、以前はそれだけ雪が降っていたということ。実際、アメダスの東日本・日本海側の降雪量平年比を見ると、ちょうどバブル期を境に、それまでの昭和の30年近くとその後の平成の30年とで降雪量は半分になっている。

 もう数十㎞北に行けば、余呉がベース標高540m、国境が384m、今庄が436mで今も何とか(なぜか)潰れずにやれているが、近いところでは奥伊吹は700mから、国見岳は750mから、揖斐高原が650mからで、それでも国見と揖斐は去年はほとんど営業できなかったし、今年は全く営業できなかった。

 麓エリアに開発余地がほとんどなく、低標高で少雪の影響を大きく受け、ゴンドラが必要なため固定費が大きくかかり、ローカルゲレンデとして生き残るには中途半端に規模が大きかった伊吹山スキー場が潰れるのは不可避だったのかもしれない。