ウィズコロナのスキー場は

 例年なら10/23(金)か16にオープンでもおかしくない(過去最速は3年前の10/6)イエティが、まだ何の告知もない。去年は休業だった狭山も、例年通りなら23か30のはずだが、何の告知もない。今のところ発表があったのは軽井沢プリンスの11/3が最速で、次いでウイングヒルズの11/6。この2つは去年と同時期。

 イエティも狭山も営業準備は進められているという情報だが、感染状況と顧客動向からタイミングを慎重にギリギリまで見極めたいということか。でもこの時期の客はコロナがらみの客動向とは無関係な気がする。客入りの心配でないなら、雪づくりコストの低減のためにオープンを遅らせるかを考えているのだろうか。

 この時期に来る客は直前発表でも初日に来るので、早い発表にこだわる必要はないのだろうけど。

 ラニーニャが発生しているようで、そうなると冬の気温が下がる確率が高いという。降雪量が多くなるということではないらしいが、トータルでは平年並みでも、早めに降ってくれて冷えてくれればシーズンが長くなる。というか、ここ数年のことを思うと、平年並みならそれで十分だ。

 コロナ禍にあって、アウトドア人気は高まっている。都市近郊の日帰りメインのスキー場は例年並みかむしろ例年以上の客入りになるかもしれない。しかし宿泊需要は落ち込んでいるので、長野・新潟の宿泊客比率の高い大型スキー場は厳しいかも。

 白馬観光開発㈱が、八方・岩岳・栂池の3スキー場の感染防止対策として、「ゴンドラ乗車時における他グループとの乗り合いを禁止」「リフトについては、グループ以外で乗り合う場合は1 席以上間隔を空ける」を発表した。3月の時点では「ゴンドラ・ロープウェイの定員を半分にする」というところが多く、リフトの乗車規制は見かけなかった。

 ゴンドラは、向かい合って乗車するタイプは注意が必要だが、背中合わせに乗車するタイプなら片側ずつ別グループでも問題ないと思うし、リフトは顔向けて会話しなければ定員乗車でも感染リスクは極めて低いと思う。

 逆に、1席空けたくらいでは、特にそのせいで大声での会話になると、その方が感染リスク高そう。映画館が1席空けで再開する時に「飛沫は2m飛ぶので1席空けでは意味がない」という「専門家」の意見が紹介されていたと思う。

 要は、マスクせずに向かい合って会話(特に大声で)するのが危ないのであって、距離はスローガンに過ぎず、だから満員電車は問題視されていないということではないか。

 であれば、マスク着用や咳エチケットの呼びかけなどの「新常態」のルールを徹底すれば、リフトや背中合わせ乗車のゴンドラの乗車規制の必要はないだろう。

 しかし事業者としては、実際のリスクよりも利用者が安心できるかが重要なため、印象としての対策をせざるを得ない面もあるのだろう。

 だがおかげで、リフト待ちの長時間化は間違いない。特に、奥美濃の人気ゲレンデなど、2月の週末は「相乗りで5~10分、普通に並ぶと15分以上」も珍しくないのに、さらにどれだけ長くなるか。

 クワッドの相乗りは、通常レーンで1人客か2人客のときに相乗りレーンから1人だけ入れる、というパターンになる。あるいは、相乗りレーンでグループであることを申請すれば、通常レーン1人客に2人入れてくれるかどうか。これまでは90%から100%近かった乗車率はせいぜい70%台となり、待ち時間は3割ほど増える計算になる。「これくらいの長さならこっちが早い」というこれまでの経験則が通じなくなるのも地味に悩ましい。

 白馬観光開発㈱の方策がスタンダードになるか分からないが、採用するところは多そう。そうなった場合、通常レーンと相乗りレーンのどちらに並ぶかは、今まで以上に判断が難しくなる。

 感染防止対策が大変で重要なのは、リフトなんかよりも食堂、チケット売り場、レンタルカウンターの方。チケット売り場は屋外なら列が長くなるだけだが、レンタルは外で待ってもらうようにするのだろうか。そうなると整理券の発行が必要かも。

 レストランは、白馬観光開発㈱は席数削減の他に、屋外席の増設やテイクアウトメニューの充実、定期的な換気を打ち出しているが、よほどうまく時間帯分散を図らなければ、いや図ったとしても、人気ゲレンデのレストランはどうにもならないだろう。

 屋外席って、春スキー期はともかく、1月・2月は寒いし晴れも少ない。テイクアウトしてもどこで食べるのか。席探し難民は増加するし、事業者は減収となるだろう。換気というのは窓と扉を開けるということだろうが、窓・扉付近の寒さ対策や悪天候時はどうするか。

 食堂の混雑時間帯はゲレンデ・リフトの空いてる時間帯だから、一人のときは10時台に休憩して11時から1時は滑るようにしてるのだが、客が分散して10時から2時まで混みっぱなしになると休憩しにくくなるなあ。

 スキー場以上に大変なのは宿泊施設か。特に、団体向けホテルや、個室に2段ベッドを並べたタイプのドミトリーは、密になるイメージが強くて厳しそう。

 実際のところ、部屋に布団を並べるタイプの小規模のドミトリーは、相部屋はやめて個室のみにするところが多そうで、そうなると利用者としては宿泊単価が上がるし、事業者としても減収になるのだが、仕方ない。宿泊定員が減る分、予約が取りにくくなりそう。

 五竜ドライブステーションはこれまでのところ通常営業のよう。ほとんどの人がほとんどの時間、カーテンで仕切られたベッド内で過ごして会話もないので、食堂や共用部分の消毒さえしっかりやってれば問題ないということか。

 高速バスも大変そうだ。定員を半分にして運行するのだろうか。そうなるとさすがに同じ値段では採算が合うまいから大幅値上げか。この夏から秋にかけても、高速バスの客足はまだまだ戻ってないようなので、スキーバスも同様に便数・客数とも大幅減となるのか。

 そうなるとこれまでスキーバスを利用していた人たちはどうするのか。車を持ってないからというだけでなく、雪道の運転や長時間の運転が嫌だから、交通費・リフト・レンタルもセットで安いからという理由でバスを利用している人が多そうだから、そうなるとレンタカー利用が増えるよりも「スキー場に行かない」人が増えそう。

 スキー場や関連する事業者がどう動くかもまだハッキリしないし、利用者がどう動くかは蓋を開けてみないと分からないが、とにもかくにも、まずは雪が降ってくれないとどうにもならない。

 去年のような雪不足にならず、平年並みの降雪量と気温になることを、とにかく願う。