志賀高原と苗場が繋がっていたかもしれないという話

 Skier_S氏のブログ「徒然スキーヤー日記」に、かつて、志賀高原(岩菅山)と苗場(三国スキー場)間の18kmをゴンドラで繋ぐ計画があった、という記事があった。現在、日本最長のゴンドラは、苗場とかぐらを結ぶ「ドラゴンドラ」で約5.5kmだから、その3倍以上。

 ゴンドラやロープウェイって、その気になれば技術的にはどれだけ長くにもできるんだろうか?と思ってググったけれど、「ゴンドラ 世界最長」ではよく分からず、「ロープウェイ 世界最長」でベネズエラメリダというところにあるテレフェリコと呼ばれるロープウェイがヒットした。

 全長12.5km、標高差3200m、到達地点の標高は4765mとのこと。

 往復に約3時間かかるという情報もあったが、これが乗車時間だけでとなると秒速2.5m以下とずいぶん遅いことになるので、片道1h、駅で1時間止まって2時間ごと運行で計3時間とかだろうか。それでも秒速3.5~4m程度なのでロープウェイとしては遅め。岩菅-三国18kmならこれをはるかに超えて世界最長となる。

 ゴンドラ(循環式で多数の搬器を使用)とロープウェイ(交走式で搬器2台)で具体的に距離や速度にどういった技術的な制約の違いがあるのかは知らないが、現実として、現在のところ、ゴンドラの最速は6m/sで、ロープウェイの最速は12m/sのよう。乗降時に索を乗り換えて減速する機構が必要なゴンドラでは高速化が難しいのかもしれない。

 6m/s(ゴンドラ)だと18kmに50分もかかるが、12m/s(ロープウェイ)だと25分となり、ドラゴンドラ(約25分)と同程度になる。

 速度(所要時間)ではロープウェイが有利だが、30分間隔としても輸送力は片道300人/h程度。ゴンドラだと6人乗りで1800人/h、8人乗りだと2400人/hと圧倒的に有利。

 とはいえ、往復36kmに6m/s*12s=72m間隔で搬器を吊るすには500台必要で初期投資がえげつなくなるし、それだけの輸送力が必要かも疑問。となるとロープウェイの方がまだ現実的に思えるが、それはそれで、その輸送人員数で採算をとれる価格設定が現実的なのかという疑問もある。

 ゴンドラを12m/sで運転できるなら、通常の2.5倍の30秒間隔にすることで、搬器は100台で済むし、8人乗りなら輸送力も960人/hになる。減速機構として、移動時と乗降時に加え中間減速用の索があれば何とかなりそうに思えるが、技術的なことはわからない。100台に800人を乗せて12m/sで運転する原動機出力もかなりになりそう。

 地図を見ると、岩菅山頂は標高2300m近くあり、そこから三国スキー場に直線を引くと、途中一旦1200mくらいまで下がって、また2000mまで上がって、三国側の1500m前後まで下ると、かなりのアップダウンなのも大変そう。

 そもそも、ドラゴンドラでも苗場とかぐら(田代)という2つの大規模ゲレンデを股にかけて滑ろうという人は多くないのに、志賀高原と苗場って…。でもまあ、苗場にアクセスしづらい東海以西の者としては、あれば利用するだろうな。片道30分程度なのだったら特に。

 その志賀高原も、一ノ瀬ファミリーの北側、岩菅山から下をゲレンデにしたうえで、岩菅山頂から三国に向かって索道をかけるということだから、遠大な計画だ。

 というか、なぜに三国?三国-苗場間の3kmにもゴンドラを架ける計画だったようだけど、岩菅山から三国に架けるのも苗場に架けるのも距離はほとんど変わらないのに。

 それにしても、拡張志賀+苗場にドラゴンドラでかぐらまで繋がれば、スケール感でウィスラーにも劣らなくなる。志賀からみつまたまで行くとなると、行って来いで1日終わりそう。

 でも正直なところ、夢はあるけど、バブル期だとしても投資に見合う需要があったとは思えない。まあ、需要を無視して(過大に見積もって)投資するからバブルなのだが、それにしても壮大すぎる。

 それとも、現在の3倍以上、志賀も苗場も年間300万人以上が訪れていたあの頃なら、それが続くどころかさらに増えると思っていたのであろうあの頃なら、壮大というほどの計画でもなかったのだろうか。

 岩菅山へのゲレンデ拡張やごりん高原から焼額へのゴンドラ架設にしても、年間300万人がずっと続く(あるいはもっと増える)という前提での計画なのは間違いない。

 それらよりも竜王と焼額を結ぶ方が距離2kmもないので現実的なはずで、竜王がコクドの持ち物だったら実現してたのかなあとか思う。今となってはすべて夢の話だが。