また、鬼滅の話

 「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」が、前代未聞、空前にして絶後とも思われる興行収入でのスタートを切ったが、その勢いは2週目も衰えることなく続いている。

 封切3日間で興収46億円は異常であり、話題が話題を呼んで動員が初週に集中してあっという間に息切れするパターンもあるので、「100憶は行くが150億はどうか」と思っていたが、10日間であっさり100億を突破して「150億は確実」はもちろん、200億に届かず終わるとガッカリされかねない状況になってしまった。

 2週目の土日も各15億円と初週から数%しか落ちておらず、平日も毎日6億円稼いでいる。「天気の子」が初週土日11.85億だったから、1日6億は「初週末興収歴代上位」クラスだ。

 2週目週末に入る前の記事で、「2週目の週末も公開週と同程度の数字になれば、間のウイークデーも入れて、100億円に一気に近づくことになる。そうなれば、その後、数字は徐々に下降したとしても、200億円が射程に入ってくるだろう。」というのがあったが、これがほぼそのまま、100億に近づくどころか一気に超えてきてしまった。

 100億突破のこれまでの最速記録は「千と千尋の神隠し」の25日間で、「千と千尋」の公開2週での興収は56億円というから、圧倒的にぶっちぎりの記録更新だ。

 ”30日以内に興行収入100億円を突破しながら200億円に到達しなかったのは「踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」のみ”という記事もあり、報道では「200億円に達するとの見方」「200億円突破が射程圏内」「200億円突破は確実」、熱心なファンは「300億だ!」となっている。

 これまでに200億を超えたのは5作しかなく、300憶を超えたのは「千と千尋」のみ。100億超え最速が25日で5作とも30日以内に超えているということは、「100億突破までのスピードは飽和していて、そこから200億で止まるか300億まで行くかはリピーターの数と息の長さ次第」というのがこれまでの常識だったと言えよう。

 それが既に、飽和していると思われていた100億突破のスピードが2.5倍速で更新されている時点で、過去の経験則は当てはめられないが、あえて予想してみる。

 3週目土日終了時点で150億円を突破している可能性も高いし、最終的には200億は確実だろう。ガッツリとリピーターがついているようだし、ライバルとなる大作もないまま上映は年明けどころか春休み、あるいはGWまで続き、エヴァンゲリオンの新作が公開されるまで14週連続で興行収入1位の可能性も高い。

 「君の名は。」「アナ雪」「千と千尋」を超えんばかりのこのムーヴメントが冷める要素が今のところない以上、250億円を超えてくる可能性も高いと言わざるを得ないし、300億や「千と千尋」超えもないとは言い切れないが、そこはまだ未知の領域。

 「千と千尋」はともかく、「鬼滅の刃」が歴代1位というのはどうもという気もしないでもないが、物語や映画の出来がいいのはもちろん、コロナ禍が絶妙なタイミングでの神風となったことでの特異中の特異でのヒットということで歴史に名を刻むのもいいのかもしれない。