青春18きっぷ

 ムーンライトながら終了に関して、ヤフーニュースで断続的に記事が出ている。

 その中に、一番人気があったのはムーンライトの名前になったあとじゃないか、というのがあって意外だった。ムーンライトになったのは1996年だ。

 確かに、バブルは崩壊していたが、社会の雰囲気はそこまで悪くはなかった。平均給与所得が最も高かったのは1997年で、不良債権処理が本格化し、就職氷河期といわれ、非正規雇用が増えるのはその後だから。

 ムーンライトといえば青春18きっぷだが、地方の路線や便数は減ってるし、新幹線が通ると並行在来線はJRから分離されるのが基本だから18きっぷでは乗れない区間が増えてどんどん不便になっていて、いつなくなってもおかしくないとはずいぶん前から言われているかと思う。

 いつ頃から言われてるものなのだろうかと思って検索窓に「18きっぷ」と入力すると、候補予測の下の方に「18きっぷ 廃止」が出てきたのでクリックすると、タビリスが2012年に、「青春18きっぷがなくなるのではないか。そんな話をよく耳にします。」から始まる「青春18きっぷはいつ廃止されるのか」という記事を出していた。

 ムーンライトながらが臨時便になったのがリーマンショック翌年の2009年。18きっぷもその頃にはもう廃止観測が出ていたのかもしれない。

 今、JRはコロナで大赤字だから、18きっぷをなくしたり大幅に値上げするにはいい口実になるのではと思ったが、この記事では「18きっぷは普通運賃の旅客を奪うものではない」「超長距離利用者も含めた18きっぷ利用者の平均移動距離を普通運賃に換算すると3700円程度という話を聞いたことがあり、この程度なら許容できる範囲の割引率ということもできる」「利益率の高い商品」とある。なるほど、確かにそうかも。

 また、「18きっぷは熱心な鉄道ファンが支えていると思われがちだが、2008年から2010年にかけて売上枚数が3割ほどと大きく減っていて、これは高速道路の上限1000円が原因であり、少なくともこの3割は鉄道ファンではないだろう」ともあるが、こちらに関しては微妙。

 同じタビリス内の別記事に1999年度から2016年度までのJR東日本18きっぷ販売枚数が掲載されており、それによると、JR発足20周年で安くで販売された2006年度を最高に、それで知名度が上がった2008年度までの販売が多かったのであり、2010年度が最小とはいえ2005年度の4%減程度。

 「鉄道ファンでない3割が高速道路に流れた」のではなく、「ブームに乗っかったにわかファンが離れて元通りになった」ように見える。しかも、販売枚数はその後回復して、2016年度は2006年度に次ぐ販売数となっている。

 国鉄時代の1986年に11000円になってから35年、税別では値上げしていないことからも、今さら値上げもないだろう。実際に利益率が高いからなのかは分からないが、そもそも細かい採算を計算できるものではないし、そこをどうこういう商品ではないという位置づけな気がする。

 思ったよりも18きっぷはなくならなさそうで何より。18きっぷで日本一周とか密かに憧れているから。ただひたすら乗って移動するだけの日があってよし、行った先でレンタカーで観光するもよしで。