メグラーさんは絶滅危惧?

 世の中に、職業としてではなく趣味として、スキーに対して異常な情熱を注いでいる人が少なからず存在することは、SNSの普及によって広く明らかになっている。私はスキーブログの、それもごく一部を知るに過ぎないが、圧倒されるばかりだ。

全体を網羅すればおそらく、技術系(いわゆる基礎スキー)のものが多いのだろうけど、私は、ただひたすら楽しんで滑りまくっているレジャースキーヤーや、データ収集に熱心なものが好みである。

 スキー場巡りを趣味とするいわゆる「メグラー」さんも好きなのだが、もともと希少なうえにいまや絶滅の危機に瀕しているように思う。

 日本全国、スキー場を求めて行脚して、リフト1本、ロープトゥ1本、そのロープトゥが昼休憩で止まっていれば板担いで1本滑って次に向かい、1日に4つ、5つのスキー場を滑るのは当たり前。ゲレンデガイドには載っていない、裏山にロープトゥを置いて地元の人が地元の子供相手にやっているようなところでも、調べて、探して、禁止されてなければ滑るという、もはや執着としか呼べないほどの異常な情熱と行動力!(褒めてます)

 自分にそんな情熱はないが、「いろんなスキー場で滑ってみたい」とは思っていて、これまでに滑ったスキー場は77~95。これは、志賀高原を1つでカウントすれば77で、行政の登録上は現在も19のスキー場の集合体となっているようなので19個でカウントすれば95になるということ。

 志賀高原の19というのがどういう分かれ方をしているのか、正確なところは知らないが、1.サンバレー/2.丸池/3.蓮池/4.ジャイアント/5.西館山/6.発哺/7.ブナ平/8.東館山/9.高天原/10.タンネの森/11.一ノ瀬ファミリー/12.寺子屋/13.一ノ瀬ダイヤモンド/14.焼額/15.奥志賀/16.熊の湯/17.横手山/18.渋峠とすると、19.木戸池(16/17シーズンを最後に休止)だろうか。

 だとすると営業中なのは18、木戸池は滑ったことがないので自分のカウントも18で、総数94となる(ちなみに、ニセコはヒラフと花園はあわせて1つで、ヴィレッジとアンヌプリとで3つでカウント)。このように、数を数えだすと定義(カウントのルール)が必要になる。

 メグラーさんの場合だと、まず「何をもってスキー場とするか」の定義が必要となり、第一段階としては「索道(ロープウェイ・ゴンドラ・チェアリフト)が設置され、稼働し、一般に開放されている」といったあたりになる。

 一般的には、ゲレンデガイドなどでも、ロープトゥだけでもスキー場として案内されることが多いが、索道が設置されているかどうかという行政管理上(届出要否?)の違いは無視できないだろう。

 実際、「索道あり」は現在おそらく440弱(志賀高原を1つとすれば420程度;コロナ休止を除く;復活の可能性のあるところがいくつかあり)だが、ロープトゥだけでの営業も、数年前に調べた時点では北海道・東北を中心に127、「索道あり」の3割近くと結構な数がある。

 こういった「数を追う」楽しみは、新規開業が相次いでいる時こそ楽しいのであって、2000年~2010年にかけての大量廃業期に「今滑らないとなくなってしまう!」と追い立てられるように巡るというのは本意でなかっただろうが、だからこその盛り上がりというのもあったのかもしれない。

 ロープトゥのみも含めると700以上を滑った人がいるのに、今から始めても550程度にしかならない。それでも挑戦している人はいるのだろうか。

 これから大量廃業の第2波がくるかもしれないが、「なくなる前に」とコンプリートを目指して行脚する人は果たして現れるだろうか。

 ちなみに個人的には、「標高差500m以上」などの条件付きでのコンプリートには興味があるが、該当は100以上あって(志賀高原=1;ジャスト500mが11もあって公称値の信ぴょう性に疑問がありそう)、半分ほどしか行けてない。近隣で残っているのは少ないが、北海道・東北はもちろん、広島の恐羅漢(公称ジャスト500m)も残っている。

 1日1つか2つずつ滑っては移動するスキー旅は好きではあるが、条件付きであっても100を超える条件でのコンプリートは、やはり難しそうだ。