1日何回リフトに乗るか

 札幌国際スキー場のデータを基に算出した、スキー客1人当たりの索道乗車回数は、3年平均で7.3241回/人になるという数字を先日紹介した。

 しかしこの1人1日リフト7.3回というのは少なすぎないか?ということで、特殊索道輸送人員数(通年;12月~3月の普通・特殊索道合計輸送人員数とほぼ同じ)と、県(長野・新潟・山形・岩手)が発表しているスキー客数から算出してみる。

 過去10年の平均で、長野県は10.4(9.6~10.9)回/人、新潟県は8.4(7.9~9.0)回/人、山形県は8.0(7.4~9.0)回/人、岩手県は5.4(5.2~5.9)回/人となっていた。岩手県、少なすぎる!

 他にちょっと古いデータだと、群馬県が10.1(9.2~11.0)回/人、宮城県が9.7(8.7~10.4)回/人、福島県が8.1(7.8~8.3)回/人、秋田県が4.9(4.6~5.4)回/人、青森県が4.9(4.3~6.1)回/人。秋田、青森は岩手よりさらに少ない!

 思ったより道県による差が大きいのは、首都圏(雪無し都市圏)からの客比率が高いところ(群馬、長野、新潟、宮城、福島)=ゲレンデ滞在時間が長く、地元民はそんなにやたらと滑らない(青森、秋田)ということかと思ったが、それだけでは山形が多く岩手が少ない説明がつかなそう。普通索道比率の違いもあるだろうが、それにしても地域差が大きい。

 これらのデータからは、札幌で7.3回/人というのはおかしくはなさそう。

 ちなみに、都道府県別データは北海道のみ支局ごとのデータが出ており、札幌市局が道全体の2/3を占め、札幌市局だけで群馬県を上回って3位に位置する。なお、札幌支局といっても札幌市だけではなく、ニセコ・ルスツ・キロロなども札幌支局。支局2位は旭川で、富良野トマム旭川支局。

 1992/93シーズンからのデータがある、長野・新潟・山形の時系列推移を見てみると、スキーバブル期は多かったのが15~20%程度減少傾向にあることがわかる。ただ、1997/98シーズン以降のデータがある岩手県に関しては、2000年前後を底に上昇し、2010年代以降は安定している。 

f:id:ozuriski:20210612200506p:plain

 スキーバブル期は、全てが猛烈に混雑していたが、特にゴンドラやクワッドリフトの混雑が激しく、クワッドリフトと並行してペアリフトが設置されていること(設置順序でいうとペアリフトメインのゲレンデにクワッドを増設)も多かったため、待ち時間の短いリフトをたくさん乗る人が多かったから、1日の乗車回数が多かったものと推測する。

 あれだけリフト待ちがあったなら乗車回数は少なくなりそうな気もするが、1日10回程度であれば、ゲレンデ滞在時間(バブル期の方が朝一から並ぶ人や最後まで滑る人が多かった)や休憩時間の長さで調整されるだろう。

 一方、5回前後と低水準ながら最近の方が回数の増えている岩手県の増加要因は何か。地元客が減り、都市圏(首都圏・仙台)からの客比率が高くなっているからということだろうか。

 しかし地元客メインだとしても平均で5回以下とはこれいかに。地元民は、子供連れできて1回券で2,3回滑って帰る、という人が多いということか。

 比較的データの多い上記4県(長野・新潟・山形・岩手)合計での平均は9.5回/人(直近10年では9.2回/人)。札幌は7.3回/人ということで、都道府県別3位の北海道全体を7.3回/人、6位の福島の8.1回/人、8位の山形の8.0回/人を加えると平均はこれより下がる。

 しかし、4位の群馬、5位の岐阜、7位の兵庫、9位の滋賀、10位の広島は都市圏客比率の高いところであり、平均回数は9.5回/人より多い可能性が高い。

 岩手(5.4;索道輸送11位)・秋田(4.9;18位)・青森(4.9;20位)は、平均回数は少ないが索道輸送人員数も少ないため、加えても平均は大きくは下がらず、全体の平均回数は9.0~9.5回/人の範囲に収まると考えられる。

 これは実感としては少ないと感じるが、地元客やファミリー客の影響なのだろう。

 では、それなりに滑る人の平均はどれくらいなのか。

 ホワイトワールド尾瀬岩鞍が、ホームページでシーズン券保有者全員の利用日数と乗車回数を公表している。

 これによると、シーズン券保有者は約460人で、ざっとみたところ、ボリュームゾーンは、日数では10~30、回数では150~600あたり。1日あたりの回数は15~20くらいの人が多そうで、シーズン1000回以上の9人をみると、30.1回/日(1059回/35日)が最多。

 ゴンドラがある尾瀬岩鞍で緩斜面リフトばかりで30回ということもないだろうから、これはなかなかのものだと思う。15~20回というのは、ゴンドラばかりだとかなりのものだが、ゴンドラとリフト半々なら、まあそんなものなのかなというところか。