来シーズンこそGoToトラベル

 首相肝いりであれだけ熱心だったGoToトラベルも、第3波での年明けの2回目の緊急事態宣言以降は、さすがの菅政権も触れなくなった。

 もともとが「感染が収束したあとの景気刺激策」であり、ワクチン接種がある程度いきわたってから行うのがスジのもの。そういう点で、今年の秋以降に実施するのが正しい。GoToなんかなくても、感染が収まればリベンジ消費的に旅行は活発になりそうだが、予算はすでに確保してあるのだから再開は間違いない。

 内閣支持率を維持し、秋(予想)の衆院選で勝利するためにも、首相はワクチン接種拡大に必死。高齢者への接種がほぼ完了すれば、新規感染者が増えても入院者数や死者数はこれまでより増えなくなり、病床逼迫や医療崩壊は起こらなくなるだろう。

 「1日100万人接種」は、高齢者への接種を7月末に完了させるために必要な数字を逆算したに過ぎず、実現可能かどうかの根拠はないスローガンでしかないようだが、これが実現して継続すれば、9月中に人口の半分が接種済みとなり、年内に全員の接種がほぼ完了する計算。「希望者への接種を10月か11月に完了」という首相発言も1日100万回を維持することでという計算に違いない。

 新規感染者が増えても入院率が大きく下がることで病床逼迫のリスクが低下するなら、この夏にでも景気刺激に舵を切ってもいいはずだが、選挙を前にした状態では目先の景気より感染者数抑制が(支持率回復に有効として)優先されるだろう。

 選挙は自民党総裁選前、9/7解散の10/3投開票が有力といわれている。となると、盆あたりで感染がすっかり収まってない限り、9月からのGoTo再開はないだろう。GoTo再開は衆院選後となって、早くて10月下旬となるのではないか。ワクチン接種が順調に進んでいれば、接種済みが過半数を超えて、希望者全員への接種完了も見えているはずの頃だ。

 10月下旬なら秋の観光(紅葉)シーズンにも間に合うが、制度の再設計も含め、選挙からそんな短期間で実施にこぎつけられるものかどうか。準備に手間取れば冬からになってしまうが、一般的な観光地には閑散期となる冬がメインというのは、観光業的にはむしろよいこと。特にスキー業界的にはもってこい。

 補助の内容が変更になるのは確実だろう。高級宿から埋まるだの週末や連休は密になるだの批判が多く、業界側からも改善要望が出ている。連休や年末年始は除外とし、助成率や上限額を下げることにもなりそう。助成率35%(割引25%・金券10%)、助成上限額1万円/泊あたりだろうか。

 来シーズン、「ワクチン接種で国内客は元通りだが、外国人観光客の戻りにはまだ時間がかかる」となれば、外国人比率の高くなっていたスキー場には打撃が続くが、国内スキー客的には「GoToで安上がりのうえに外国人客いなくて空いてる」という千載一遇のチャンス到来となるかもしれない。

 まずはワクチン接種が順調に進み、感染者・入院者が減ること、そしてしっかりと雪が降ることが重要だが、GoToトラベルをフル活用できるシーズンになることを切に願う。