第5波の行方

 年明けの第3波のときは、1/7に緊急事態宣言し、新規感染者数の7日間平均のピークは1/11(約6600人)、入院・療養者数のピークは1/18(7.1万人)、重症者数のピークは1/27(1043人)、首都圏の宣言解除は3/21だった。

 第4波前のボトムはそれぞれ、3/8(2月終わりから3月中旬まで底這い;約1000人)、3/9(1.16万人)、3/23(320人)、第4波では4/25に宣言発出、ピークは5/14(約6600人)、5/15(7.34万人)、5/26(1413人)で、首都圏の宣言解除は6/20。

 第5波前のボトムは6/21(7月上旬まで底這い;約1500人)、7/6(1.54万人)、7/16(376人)。(以上NHKの特設サイトより)

 

    宣言  新規7日平均     入院      重症    解除
ピーク  1/7  1/11(約6600人)  1/18(7.1万人)   1/27(1043人) 3/21
ボトム     3/8(約1020人) 3/9(1.16万人)  3/23(320人)
ピーク  4/25  5/14(約6600人)  5/15(7.34万人)  5/26(1413人) 6/20
ボトム      6/21(約1430人) 7/6(1.54万人)  7/16(376人)
    7/12 (7/17;約2835人) (7/16;2.32万人) 

 

 第3波と第4波で、新規感染者数のピーク値は同じなのに、入院・療養者数と重症者数のピーク値は第4波が大きくなっている(入院1.03倍、重症1.35倍)のは変異株の影響だろう。

 それに対して3と4の間と4と5の間を比べると、新規のボトム値は1.5倍なのに入院は1.33倍(新規の増加率の0.89倍)、重症は1.18倍(同0.79倍)なのは、ワクチンの効果だろう。

 現段階では、入院率は変異株による増大よりもワクチンによる低減効果が上回っているものの、重症化率は変異株による増大が上回っている状況だが、接種の進展とともに重症化率低減の効果が強くなっていくだろう。

 それに、前回はボトムから3週間程度で新規感染者数が倍になっているが、今回は3週間経過時点では1.5倍程度。7/18で2倍を超えることになりそうだから約4週間と増加ペースが緩やかであり、人流はむしろ増えているのであれば、ワクチンの効果で感染率が低下しているためと考えられる。

 高齢者のワクチン接種は計画通り7月中にほぼ完了しそうで、続いての優先順位は「基礎疾患のある人・高齢者施設などで働く人」、あとは「それ以外の人」となっている。

 「それ以外の人」は、重症化しやすい年齢の高い順に接種を進めるべきか、行動機会が多く感染率の高い若年層から進めるべきか。そこは各自治体の判断になるようで、病床に余裕があれば若年層から、余裕が小さければ中高年層からになるのかもしれない。

 さて、第5波の動きはどうなるか。

 第3波の時の2度目の緊急事態宣言はピークの直前で、第4波の時も、2度目の解除が増加に転じてからだったこともあって増加から1.5か月経ってからの宣言だったのに対して、3度目の宣言解除(沖縄県除く)は6/20とボトムの前日、ボトムから3週間での4度目の宣言と動きが早い。これは感染拡大の抑制要因となる。

 一方で、緊急事態慣れでアナウンス効果は低下しているし、梅雨明け・夏季休暇突入で外出意欲は高い(オリンピック開催はむしろ巣ごもり要因かもしれない)から、そのあたりがどう作用するか。

 第3波、第4波は、新規感染者数が増加の兆しを見せてからピークまで2か月程度だった。今回も同様なら、8月下旬から9月上旬にピークになる。盆期間までは人の動きが大きく、その点からも新規のピークは8月末あたりになるのかもしれない。

 そうなると宣言解除は、過去の例ではピークアウトから1か月以上経過後なので、10月になってからになりそう。宣言が早かった分、3か月近くと過去最長の宣言期間になる。

 あるいは、宣言やワクチンの効果が現れて8月前半にも新規感染者数がピークアウトし9月中旬には宣言解除、といったことになるか。

 問題はピークの時期よりもその高さ。ボトムの値が前回よりも、入院・重症は1.3倍、新規は1.5倍からのスタートだし、人流の増加(抑制不十分)や変異株のさらなる影響も考えられるが、それでも重症者数は特に、ワクチン効果が勝って前回・前々回の値にはならないと予想(期待)する。

 自民党菅首相)としては、都議選の失速もあるし、ワクチン接種の進展による感染鎮静化を期待して、衆院選はギリギリまで遅らせたいところだろう。衆院任期の10/21まで臨時国会を開いて最終日に解散、11/28に投開票が最も遅い選挙というが、ここまで引っ張るかどうか。

 規定通りなら9月中に自民党総裁選もある。任期延長などせず、パラリンピック明けに臨時国会を召集し、補正予算を成立させて解散、総裁選を経たのちに10/17衆院選が有力、という記事もある。

 政権的には公示~投票日が新規感染の底這い期であるのがいいだろうから、「9月頭には感染者減少が明確、臨時国会を召集し9月中旬に衆院解散、総裁選を勝ち、宣言解除し、新規感染者がしばらく底這いのうちの10/5公示・10/17投開票で衆院選」というのが、菅首相にとってのベストシナリオだろうか。

 衆院選のタイミングはともかく、ワクチン接種進展で第6波はこないことを、そして安全・安心なスキーシーズンを迎えられて、スキーシーズンにあわせてGoToトラベルキャンペーンが再開されることを、切に望む。