アースホッパー

 広域で利用できるリフト1日券は、東急や西武プリンスホテル系列の早割などを中心に複数あります。広域で利用できるシーズン券もマックアースなどであり、スノーリゾートクラブからは15枚セット券というのもありますが、今度は「1か所につき2回までリフト1日券と引き換えできる」サービスが開始されます。

 対象スキー場は北は北海道から西は兵庫県まで30あり、「アースホッパー SNOW」は用具レンタル利用(15スキー場のみ)もついて大人57,000円・小人33,900円、「アースホッパー SNOW lite」はレンタルなしで大人29,800円・小人17,900円。

 レンタル付きがメインでレンタルなしは「lite」ということは、道具を持っていない人が主要想定客層なのでしょうか。だとしたら、このサービスの企画者と私のどちらかの感覚が大きくズレているということになります。シーズンに10回以上行こうかという人で道具を所有せずに毎回レンタルしようなんて人がそういるとは思えません。

「ゲレンデ状況や天気に合わせて、手ぶらでスキー場へ!自分用に借りるのはもちろん、一緒に行く家族や友達のために借りることもできます。」とのことですが、これは例えば「父と子供で毎週のように行っていて、父は道具持ちだけど時々一緒に来る母のために2.7万円足してレンタル付きにしておく」という想定でしょうか。5回使わないとモトが取れないのでハードルとしては高そうです。友達のためにとなるとなおさらです。

 レンタル付きの小人用がメインということならまだ分かりますが、それでもレンタルなしを「アースホッパー SNOW」にして、レンタル付きは「アースホッパー SNOW plus」などにした方がしっくりくるように思います。

 スノーリゾートクラブもかつては30前後のスキー場で使えましたが、ジリジリと、そして2021/22シーズンは一気に6つも減って、シーズン券(5.8万円)で22箇所、15枚セット券(3.98万円)は19箇所になってしまいました。もともと有名人気スキー場の参加が少ないうえに、栂池(シーズン券のみ)やガーラ湯沢(回数券のみ)もいなくなったことを考えるとパワーダウンは否めませんし、価格も、15枚セットをほぼ使い切るとかシーズン券で20回以上行かないことにはお得感的に微妙なところです。

 それに対してアースホッパーは、キロロ、ニセコアンヌプリ安比、夏油、尾瀬岩鞍、丸沼、川場、神立、舞子、アライ、赤倉観光、栂池、五竜47、車山など有名人気スキー場が多いです。

 2.98万円で最大60日滑れるわけですが、北海道から兵庫まで30箇所を2日ずつなど、それを目的にしなければ利用しきれず、現実的ではありません。採算ラインは7日、お得ラインは10日、目標は15日といったところでしょうか。

 「各スキー場2回まで」なので、比較的近隣に対象スキー場が数多くなければ有効に使えません。地域的には、新潟8、北海道7、長野・群馬4、岩手3、山形・宮城・山梨・兵庫1となっており、基本的に首都圏在住者がターゲットとなります。

 北海道の人も、めじろ新嵐山とさっぽろばんけいというローカルゲレンデを除いても、残り5か所(カムイ、札幌国際、キロロ、アンヌプリ、モイワ)で何とかお得ラインが可能です。

 中京圏や近畿圏の人も、新潟の2つが妙高なので、長野の4つ(と近畿圏では兵庫の1も)とあわせてお得ラインが可能でしょう。(大阪から妙高がOKなら、仙台から群馬・新潟・長野もOKになりますが)

 販売しているのは株式会社Pioneerworkという、「スポーツツーリズム事業を展開する」会社です。山岳観光を中心に、国・自治体などと組んてマーケティングなどの支援事業を行っている会社のようですが、よくぞこれだけの人気スキー場を集められたものだと思います。

 スマホQRコードを読み取っての利用なので、どこ在住者がどこのスキー場に行ったかの集計も自動でしょう。利用者が多ければそれなりのマーケティングデータになりそうですし、2回までという制限に加えてそうしたデータ提供もあるからこそ、大手スキー場中心の参加になっているのかとも思います。

 利用者数や平均利用回数が公表されることはないでしょうが、気になります。20回以上利用の人もそれなりにいるでしょうが、平均すると12~13回くらいなのでしょうか。販売会社が手数料を取ったあとに利用回数で割ると1回あたり2千数百円。大手スキー場の手取りとしてはシーズン券利用者並みに安そうですが、そこは広告宣伝費でありマーケティング費用ということでしょう。

 多くの人に利用されて、今後、使用できるスキー場が増えることの期待しています。