隣接スキー場の共通リフト券

 隣接していて相互に往来できるスキー場があります。共通リフト券があることが多く、五竜Hakuba47 やハチ・ハチ北のように共通券だけというところや、志賀高原ニセコのように共通券がメインというところもありますが少数派で、共通券もあるけれど利用者は少ないというところが多いのではないでしょうか。

 共通券の値段は、それぞれの個別リフト券よりも千円前後高く設定されていることが多いです。例えば、白馬乗鞍スキー場と白馬コルチナスキー場は、単独1日券が白乗4100円・コルチナ4200円に対して共通券は5000円です。他には、タングラム4300円・斑尾5000円に対して共通券5500円、赤倉観光4800円・赤倉温泉4900円に対して共通券6000円、かぐら・苗場ともに5200円に対して共通券6000円、湯沢高原・ガーラ湯沢石打丸山がそれぞれ5000円前後に対して共通券web購入で6000円、など。価格差が小さいのは、ホワイトピアたかす4300円・鷲ヶ岳4600円に対して共通券4900円でしょうか。

 それぞれの共通券比率は分かりませんが、どこも1割以下くらいでしょうか。苗場とかぐらはドラゴンドラでの移動になりますし、湯沢高原とガーラもロープウェイでの移動となるので手間ですが、滑りこめる赤倉や斑尾タングラムでもさほど多くなさそうですので、そういった手間よりも単に千円前後の価格差が嫌気されているだけでしょうか。共通券には割引がないことが多いことも大きいかもしれません。

 共通券の販売に対してあまり力の入ってなさそうなところが多いようにも思います。湯沢三山はまだ宣伝している方だと思いますが、大体どこも積極的でないのは、共通券販売による顧客満足向上よりも、単独券での実入り向上が優先だからかと思われます。

 共通券がメインの志賀高原は、比較的最近まで初滑りと春期間以外は共通券しかなかったと思います。客数が減って、奥志賀や焼額といったあとからまとめて一社開発された人気ゲレンデがハイシーズンも個別券を出すようになった(あるいは出そうとして圧力をかけられたとして公正取引委員会からカルテル疑いを指摘されてから出せるようになった?)けれど、まだまだ共通券がメインかと思われます。

 ニセコの共通券の販売は1993/94シーズンに全山共通でICリフト券を導入してからだと思います。2010年頃までは共通券と個別券の価格差は数百円程度と小さかったですが、外国人客の増加とそれに応える設備投資のために共通券から先行して、かつ大幅に値上げを進めたことで、今では1日券(ナイター込)は個別券が5600~6600円(8h券は5100~6100円)に対して共通券8100円と価格差が大きくなっています。それでも、道外から飛行機でやってくる客は、高くても(あるいはツアー商品の特典で価格差が小さくなることから)共通券を選ぶ人が多いかと思われます。

 高鷲スノーパークとダイナランドは、ダイナランドだけ単独券があって、高鷲スノーパークには単独券がないという珍しいパターンですが、ダイナランド単独券の販売比率はやはり小さいと思われます。後にできた高鷲の方が規模が大きく、あっという間に高鷲の方が人気になり、その後に相互接続するようになって当初は違った運営母体が統一されたので、「ダイナランド単独券」というか、「タカスダイナのダイナエリア限定券」のような感じでしょうか。

 五竜Hakuba47は、運営母体もスキー場名も異なるのに共通券しかないという、これも珍しいパターンですが、規模や知名度の違いからHakuba47が早々に単独券を諦めたからと思われます。スキー場のキャラクターや客層が違いますし、Hakuba47知名度ももう十分あるので、割安な単独券があってもおかしくないようにも思います。

 北志賀よませと高井富士もキャラクターや客層が違いますが、よませのリフト限定券はあるものの基本的には共通券のみです。運営母体(親会社)は一緒ですが、往来する客はそう多くないように思われ、経営的に共通券のみがいいのかどうか。ただ、今の価格で単独券にして共通券を割り増しにしたところで共通券を買う人がほとんどいないのなら収益向上に寄与しませんし、両方滑る人は少数だとしてもサービス低下となる変更はやりにくそうです。

 よませ・高井富士は、一時期は木島平も含めた共通券もありましたが、高井富士と木島平をつなぐゲレンデ(リフト)の休止とともになくなっています。ここのゲレンデも人がほとんどいなかったので、致し方なさそうです。

 牧の入の復活で木島平と牧の入の共通券の発売が可能になっていますが、牧の入はポールバーン専用ゲレンデのようになっていて、客層が違って互いにメリットが少なそうなので、実現はしなさそうです。よませから牧の入まで繋がるとなかなかの横移動距離になるのですが、需要は少なそうです。

 栂池と白馬乗鞍も沢を挟んで隣同士で、数百m(リフト降り場同士間の距離は約600m)のリフト1本かければ繋がることができます(沢に橋をかければ相互滑り込みも不可能ではなさそう)。リフトゲートはハクババレーで共通化済みなので、栂池がリフトを設置して共通券をもちかければ実現しなくもなさそうですが、栂池のチャンピオンゲレンデ自体が閑散としていて忘れられ気味なので、可能性は低そうです。白馬乗鞍が第11ペアリフト新設にあわせて第3高速ペア降り場から第1ペア降り場にかけてを開放してくれると、栂池と繋がる妙味も増しそうなのですが。