2023/24 寒候期予報

 来る冬の寒候期予報が出ました。

 エルニーニョの冷夏傾向をはるかに上回る勢いの「正のインド洋ダイポールモード現象」のせいでこの夏は記録的猛暑で、それは今も続いていて、その影響による高温傾向は秋の終わりまで続くようなので11月のシーズンインは厳しいだろうと覚悟はしていました。

 エルニーニョの冬はどちらかと言えば暖冬傾向ではありますが、暖冬だったのも少雪だったのも3~4割程度であり「暖冬ではない冬」のことの方が多いという事実に期待をしていたのですが、気温に関しては残念な寒候期予報となっています。

 12月~2月の気温は、平年より低い:並み:高いの確率が、

 北海道/東北 2:4:4

 その他の地域 1:3:6

と、北日本はまだしもそれ以外は暖冬確率が6割となっています。寒候期予報で1割や6割という数字が出るのはちょっと珍しいかと思います。

 日本海側の降雪量についても、平年より少ない:並み:多いの確率が、

 北海道 4:3:3

 東北  4:4:2

 その他 5:3:2

と、北はまだましだが北陸から西(南)は少雪確率が5割となっていて、気温ほどではないけれど悲観的な数字です。

 新たな3か月予報も出ており、こちらでの12月の気温予報は、

 北海道/東北 3:3:4

 関東甲信/東海/北陸 2:4:4

 近畿/中国/四国/九州 2:3:5

とこちらも西ほど高温確率が高いですが、寒候期よりは少しましな数字となっています。

 寒候期予報はあてにならないのが通例ですし、高温少雪だとしても問題なのは程度であり、平年並みよりであれば近年ではましな部類かもしれません。

 何とか、3~4割の確率の「平年並み」になってくれることを願うばかりです。

日本のスキー場は供給過多?(ではない)

 日本のスノーリゾートの発展を目指す資本家的な立場の人からは、日本のスキー場は供給過多であり、それが発展の障害になっている旨の発言がされることが多いように思います。

A氏「市町村が管理するスキー場を変えていくことが大事。本来潰れるべきスキー場がさまざまな方法で温存され、供給過剰が続いているからリフト券の価格は安いままで、スキー場が儲からず設備投資もできないという状況は日本のスキー産業を弱体化させる」

B氏「スキー人口の減少ほどスキー場は減らず、経営者は安売りに走り、顧客満足度は低下。スキー場がなくならないことがまず問題。特に公営スキー場は『雇用の場』などと言われるが決断できないだけではないか」

 A氏の「さまざまな方法で温存され」というのは、指定管理制度による公有民営であっても結局は税金による資金補填がされていることを指すかと思われますが、そうしたところの多くはリフト数基の小規模なもので、産業としてよりも地元の人の体育・娯楽施設としての位置づけのものが多く、リゾートスキー場とは直接競合しないのではないかと思います。

 また、そうした設備更新のできない安値運営の小規模スキー場が税金補填で生き残っているから自身も安値運営になるというのであれば、そういったスキー場と差別化できていないということであり、それはスノーリゾート経営者としてどうかということにもなりかねません。

 B氏の発言に関しては、「決断できないだけではないか」は、もちろんそういった側面もあるでしょうが、直接的な雇用だけでなく、スキー場に頼るところの大きい関連産業への影響が大きく、少なくない人がそれに生計を頼っている中での廃止の決断は重いものです。スキー場がその地域のシンボル的な存在になっていて、廃止は地域住民の心理的抵抗が大きいということもあるでしょう。資本の論理だけで進められるものではないと思います。

 B氏は別のところで「かつて約900あったというスキー場は現在約370まで減少。しかもそのほとんどが苦しい経営状況にある」とも言っているのですが、そのとおりであればスキー人口に応じてスキー場数も減っている(スキー場数あたりのスキー人口は大きくは変わっていない)ことになります。

 実際のところは、ピーク時にチェアリフトのないロープトゥだけのスキー場も含めても900まではなかったと考えられます。ロープトゥだけのスキー場も含めれば現在も500以上になりますし、ロープトゥのみを含まないならピーク時も650に満たなかったものと推計されます。

 スキー場数については、公的調査では民間のものに関してが信憑性の低いものしかありませんが、学術調査による信憑性の高いデータもあります。B氏はそれなりに社会的信頼のある立場の人であり、データをしっかりと確認してほしいものです。

 A氏は「日本はバブル経済の時にスキー場を作りすぎたため供給過多になった。アメリカが同じように供給過多になった時はどんどんスキー場が潰れ最終的に半分になった。」とも言っていますが、スキーブーム時の異常な混雑からはあの時はあれでもまだ圧倒的に供給不足だったと思いますし、コロナ前くらいのスキー客数とスキー場数は適正水準なのではないかとも思います(観光庁の人からは「今の時代に合った数が残っているのではないか」という発言もありました)。自分のところが儲からないことを供給過多のせいに責任転嫁しているようにも聞こえます。

 アメリカの例は、弱肉強食を極めた資本主義下の競争による結果で、その結果としてリフト1日券価格が200~250ドル(現在の為替レートだと3~4万円)とものすごく高くなっています。巨大資本の囲い込みにより高付加価値・高価格のリゾートしか生き残っていないような印象で(実際はそうでもないのでしょうが)、日本がそこを目指すべきかは大いに疑問です。

 日本のスキー場はリフト2基以下が4割、3基以下だと5割を超えます。そのほとんどが赤字経営で税金による補填で営業を続けているものと思いますが、そうしたところと、外国からの富裕層や観光客を呼び込む外貨獲得の産業としてのスノーリゾート形成とは分けて考えるべきものかと思います。

 この20年の安値競争の原因は、税金補填によるローカルゲレンデのゾンビ化(の結果としての供給過多)よりも、リゾートゲレンデが差別化できずに安値競争に付き合ったこと、長期視点を持った設備投資や価格設定をできなかったことなど、単に経営の仕方がまずかったということではないかと思います。この何年かでリゾート経営のプロ化がようやく進みつつあり、そこはようやくまともな経営になるとも言えそうです。(その結果として、社会的なインフレとも相まっての大幅値上げになっているわけですが)

 税金補填で成り立っているローカルスキー場は、老朽化の限界(更新費用まで出せる自治体は少ないと思われます)や自治体が支えきれなくなることで、まだじわじわと減っていくと思います。一方で、外国人客誘致を目指すリゾートスキー場は高付加価値・高価格になっていき、二極化が進むことでしょう。

 20年後、設備更新をして営業を続けられているローカルスキー場がどれだけあるか分かりませんが、ローカルはローカルなりに生き残ってもらい、多様性が確保されたスキー環境が維持されてほしいと思います。

スキーの春夏秋冬

 「春スキー」という言葉は一般的に使われるかと思います。春になり、降雪がなくなったあとの残雪を滑るスキーを指します。

 「夏スキー」という言葉も一部では使われているかと思います。一般的にはピスラボなどでのサマーゲレンデを指すでしょうが、6月以降に月山で滑るのも、季節的にもう春スキーではなく夏スキーと言うべきものかと思います。

 となると夏に乗鞍の雪渓で滑るのも夏スキーですが、リフトどころかロープトゥもないただの雪渓を滑るのは「山スキー」であってまた別ものかもしれません。

 それで言うと、クリスマス頃から2月にかけてのいわゆるハイシーズンは「冬スキー」ということになり、であれば、10月から天然雪で滑れるようになるまでの期間にICS(造雪機)や降雪機の雪で滑るのは「秋スキー」と区分されることになるかと思われます。

 スキー場オープンから「大部分滑走可」となるまでの間を「初スキー料金」などとして、ハイシーズン(冬スキー期間)よりも割り引くスキー場があります。同様に3月中旬以降などに「春スキー料金」として割り引くスキー場があります。

 初スキー期間は滑走エリアが狭いことに対する割引という合理性があり、春スキーにもその一面はありますが、全面滑走可でも割引を開始するところもあります。

 これは、お客さんが減るから需要喚起のための値引きとも考えられますが、どちらかというと「近隣のライバルがそうしているから」という競争上の理由が大きそうです。

 その場合、話し合ってやめたらカルテルですが、一番人気のところが思い切ってやめたらみんなやめることにもなりそうです。

 閑散期だから安くするというのは、繁忙期にキャパオーバーとなっているなら需要の平準化という点で有効でしょうが、需要不足が基本的な状態の場合はただの売上減になります。

 そんな閑散期でも来るお客さんのうち、値段が安いからという理由で来る人、割引がなければ来ないという人の割合はどれほどでしょうか。スキーに関しては、割引がなくても滑りたくて来る人が圧倒的多数かと思われます。それを見透かされて春料金がなくならないことを願うばかりです。

 春スキーも終盤になって、雪出し・雪寄せをして営業期間の延伸に努力されているスキー場などは、消費者としてはありがたいことですが、ハイシーズンよりも手間がかかっているのに料金は安いとなると経営的にはどうなんだろうと思ったりもします。

 ウイングヒルズ白鳥は、以前は4月中旬までギリギリの努力をして営業期間を伸ばしていましたが、やめてしまいました。グリーンシーズンのキャンプ場営業期間を長くしてそちらの準備に注力するということでもあるでしょうが、そうした「別の稼ぎ頭が見えてきたから」というだけではなく、合理的な経営判断でもあるのかと思います。

 ウイングヒルズはICS営業(秋スキー)も今年はやめてしまいます。鷲ヶ岳スキー場も数年前にやめており、設備に問題でもあって修繕や更新のお金は出せないということなのか、設備は元気だけど単に赤字だからやめるということなのかは分かりません。ウイングヒルズに関しては、電気代高騰のため今シーズンだけやらないという可能性もまだあります。

 横手山のように、高標高ゆえの低温を活かして降雪機稼働での11月上旬オープンを目指すというのは、ICSよりはコストが断然安いですし、渋峠での6月営業とあわせて「営業期間シーズン最長」をブランド化しようという点で経営上の意義もありそうですが、ICS営業にはどれだけの経営合理性があるのか。

 「秋スキー」期間のイエティや軽井沢プリンスの混雑はすごいですが、それはコース面積が狭いからであって、週末はともかく平日でも黒字なのかどうか。

 そんな状況下での菅平のICS参入ですが、「秋スキー」期間中はシーズン券を利用不可とするのはもちろん、1日券の販売はせずに半日券(9:00-12:30/11:30-15:00:4400円)だけでの営業とするようです。

 イエティでリフト営業開始からナイター終了まで滑り続けるような一部の人にはもちろん、多くの人にとって残念なことではありますが、かつてザウスがそういう営業だったように、キャパオーバーが見込まれる状況なのであれば収益の最大化という点で合理的な判断だと思います。週末に関しては特に、イエティや軽井沢プリンスが追従してもおかしくなさそうです。

 菅平のオープンは10/21(土)と発表されていますが、今年の「秋スキー」シーズンはおそらくイエティが10/20(金)に先陣を切り、そして菅平に続くのが、例年どおり11/3(金)かと思いきや11/1(水)のオープン予定を打ち出した軽井沢プリンス、そして非ICSの横手山が11/3予定を発表しましたが、実際にオープンできるかは気温次第となります。

 9月になっても真夏日どころか猛暑日が続き、3か月予報では10月・11月に平年より気温が低くなる確率は20%ということですが、「低い」か「平年並み」になる確率は50~60%あります。何とか平年並みで秋スキー、そして冬になってもらいたいものです。

ゴーグルのトレンド

 スノースポーツ用ゴーグルは、ハイコントラストに続いて、近年は周囲の明るさに応じて暗さの変わる調光レンズが流行っているよう。

 調光レンズというもの自体は昔からあったし、今もすごく安くなった感じでもないけど、その昔は高機能オシャレサングラスくらいだったのが、スノースポーツ用のゴーグルでも増えている。

 例えばゴーグルがメインではないモンベルでもラインナップされていて、調光タイプには「BC」の名前が付いている。おそらく「バックカントリー」で、山行きでは荷物を減らす必要性が大きいから、1つで全天候対応の調光タイプはそういう用途向けということだろう。

 だが一般的には、スノースポーツ用ゴーグルで売られているのは、そんなバックカントリーで荷物を減らすためとかではなく、ナイターや雪の時にはレンズ交換して使っていた(あるいは晴用と夜・雪用で2つ持って使い分けていた)人向けに、その手間を省くニューテクノロジー製品として売れている感じ。

 そりゃまあ調光の方が便利は便利だろうけど、厚曇りで微妙な凹凸が見えにくいのはゴーグルを外しても変わらず、可視光透過率はさほど影響しないというのが実感。

 調光機能は本来、自動車運転中のトンネルなどごく短時間で明暗差の激しい用途で利便性の高い機能であり、ゲレンデでの機能の必要性や優先順位としては、さらに何千円か出すほどには高くないと個人的には考えている。

 もしかしたら、使ってみたら思ったよりも感動的に便利なのかもしれないけど。

 

 ところで、昨日書いたモンベルアルパインゴーグルシリーズの「HDの値上げ幅が大きすぎる問題」について。

 実は、ゴーグル価格から交換レンズ価格を引いたフレーム価格が、昨シーズンはHDとPLだと3850円なのにBCでは6600円と品種によって大きな差があって、なぜだろうと気にはなっていた。

 品番変更となった来シーズンモデルは、その(計算上の)フレーム価格が5390円に統一されており、統一は全く合理的なことなのだが、おかげでHDの値上げ幅が大きくなってしまった。

 来シーズンモデルの交換レンズ価格は、通常のミラーレンズは据置き、PLは330円アップ、HDは1100円アップ、BCは1210円アップなのだけど、(計算上の)フレーム価格はHDでは1540円アップに対してBCは1210円ダウンとなっている。

 そのため、トータルのゴーグル価格は、BCはレンズの値上げとフレームの値下げが相殺して据置きだが、HDはレンズとフレームの値上げダブルパンチで2640円ものアップとなった。

 結果的にはナゾにお買い得な品をゲットできたからよかったけれど、「待っていれば安くなる」というデフレマインドを払拭して、「欲しい物は欲しい時に買っておかないとどんどん高くなる」というインフレマインドに切り替えなければ。

ゴーグル買い替え

 滑っていてゴーグルの中に雪がチラっと入ってきた。

 見ると、ゴーグル上部の通気孔のスポンジが劣化して取れてきていた。というのがもうかれこれ2,3シーズン前で、その頃から「次買うならこれかな」と目を付けていたのが、モンベルアルパインゴーグルHD。

 ゴーグルに求める機能には、眩しさ軽減、紫外線カット、雨雪風のガードなどがあるが、加えて、雲が厚い時の夕方などで雪面のうねりが見えにくい状態を何とかしたい、ということがある。レンズの機能によって、肉眼よりも見えやすくならないものかと。

 かつては偏光レンズがいくらかその役に立つかとも思ったが、どうやら光の乱反射が主要因ではないようで、肉眼に比べて大きな違いは感じられなかった。

 自分だけではなく世間的にもやはりそうしたニーズは多かったようで、「ハイコントラスト」をウリにしたゴーグルが5,6年前くらいから広がってきたように思う。

 各社が謳っているハイコントラスト化の技術はさまざまで、その効果がどれほどかは使ってみないと分からない。しかし新しい技術であることもあって安くても定価では2万円、実売価格で1.5万円などと値段が高かった。

 という中で、モンベルは8580円という価格で出していたので、これしかないだろうと。これまでAXEのゴーグルをネットで5千円程度で買って使ってきたこともあり、1万円を超えるものには手を出しにくかった。

 2,3シーズン前に雪が入りだしてからも使えるので使い続けていたが、完全にスポンジがなくなってバンバン入ってくるようになった。雨雪でなければ、暑いくらいのときなどむしろ通気性アップでよさそうなくらいなのだが、だとしても、もういい加減に雨雪時用のゴーグルが必要。

 ということで昨シーズン途中、アルパインゴーグルHDを買うべくモンベルのオンラインショップを見に行くと、HDに限らず見事に全品品切れ。

 1年中いつ見ても売られていたイメージだったが、店で聞いてみると、ゴーグルはやはり季節商品なので冬の終わりには売り切れるものであり、追加で入ってくることもないとのこと。単に売れ残っていただけだったか。

 夏になるとオンラインショップからHDの商品そのものが消えた。秋になれば出てくるだろうけど、品切れ表示ではなく完全に消えるということは、これはどうやら品番を買えて値上げされるパターンかもしれない、とは、このインフレの経済状況からも危惧していた。

 夏の終わりになって、品切れ(入荷予定)ではあるがオンラインショップに復活した。案の定、品番を変えて値上げされていたが、価格は予想を大きく超える11220円!何と3割以上の爆上がり!なんてこった!!

 1割とか千円くらいは仕方がないと覚悟していた。それならまだ1万円以下なので買うつもりでいた。通常のアルパインゴーグルは7590円から8800円へと16%ほどで、これでもちょっと大きいと思うのに、+2640円とはさすがに上げ過ぎではないか?

 1万円までは出しても11220円は出せない、ということではないのだが、安い時に買い損ねたという心理的なダメージが大きいため、改めて他のハイコントラストレンズのゴーグルの価格調査を行った。が、新品で11220円より安いものは見つからない。

 中古も視野に入れてヤフオクも見てみたが、ハイコントラストレンズでの絞り込みが難しい。

 どうしたものかと思ったら、amazonで5168円というのを見つけた。

 GIROのMILLIE AFでVIVIDレンズ搭載。来シーズンモデルにはもうなく、正規新品価格はネットで1.2万円程度。

 「並行輸入品」とのことだが、それにしてもなぜこんなに安いのか分からない。商品説明がどこぞかの楽天ショップからの丸写し(「楽天カード入会&ポイント利用の場合」などもそのまま)っぽいのも怪しいが、出荷も販売もamazonになっている。

 レディースモデルとなっているが、同型のメンズモデルがあって交換レンズは共通ということなので、デザイン違いなだけで大きさは同じよう。そのデザインも特にレディースっぽいわけではない。

 数日後、4847円へとさらに値下げされていた。値下げ前も値下げ幅も値下げ後の値段も半端だが、売れ残り処分ということで自動的に下げるようなアルゴリズムでもあるのだろうか。

 どうにもうさん臭さが拭えないが、amazonを信じてポチってみた。

 ちゃんとしたモノが届いた。

 どうやらいい買い物ができたようだ。

 しかし掘り出し物の探索中、一度は巧妙な詐欺サイトでポチりかけたのも事実。油断せず、馴染みのないサイトは素行調査を怠らず、気を付けねばならない。

どうなる、アルコピア

 高山市所有で今年3月に閉鎖されたアルコピア舟山スキー場については、近隣のヒュッテ経営者が「市に掛け合いスキー場を買い取り経営を継続させてもらえる形に進めることが出来ました」として、4月に「アルコピアを復活させたい!」とクラウドファンディング(CF)を募集し、食事券、リフト1日券、シーズン券などを返礼品にして451万円を集めていました。

 ただ、高山市からそういった発表はなく、CFでは5月から改修工事を始めて12月にオープンするとありましたがその後に活動報告やニュースは何もなく、本当に高山市と話がついているのか、リフト営業再開のメドが立っているのか不透明でした。

 そしてここにきて岐阜新聞から報道されたのは、この人が「年間を通してキャンプ場などの運営を行いたいと市に申し出ている」「雪やそりで遊ぶことができる場として利用を考えており、土地や施設の一部を借りたり、譲渡を受けたりすることなどを希望している」というもの。スキー場のリフト営業については触れられておらず、そりでの雪遊び場になっています。

 「スキー場を買い取り経営を継続させてもらえる」は、(やはり)勘違いや早とちりだったのでしょうか。

 もしかしたら水面下で進んでいるのかもと淡い期待をしたりもしましたが、案の定、やっぱり、ということになりそうで、残念です。

 集めたお金はどうなっているのか、返礼品をどうするのか、出資者にどう説明するのか。

 「市は対応を検討している」ということで、リフト再開の可能性がゼロになったわけではありませんが、どうなるのか、続報を待ちたいと思います。

御嶽スキー場

 御嶽スキー場はホームページで来シーズンの営業情報を出していて、営業期間は12/9~4/7予定となっています。昨シーズンは12/10~4/16予定でしたので、終わりが1週間早くなっています。昨シーズンが4/5が最終営業になってしまった影響でしょうか。

 平年並みであれば4月中旬までは営業できるので、雪があれば延長もあるかと思いますが、雪寄せ・雪集めなどを頑張ってまでは営業しないという意思表示でもありそうです。

 リフト1日券は昨シーズンから200円上がって4500円と、2年で500円の値上げになっていますが、2018/19シーズンに「食べ放題付5000円」になる前は4600円でしたから、そこからするとまだ安く、価格水準的に控えめに感じます。

 マックアース運営時の2017/18シーズンまでは、このエリアの他のスキー場が3900~4300円のところを4600円と最高値だったのですが、昨シーズンは開田マイアの4600円や、やぶはら・木曽福島の4400円も下回る4300円でした。来シーズンの4500円というのもこれら競合をにらんでの価格設定かと思われます。

 ゴンドラを動かさなくなったことで経費が下がっているということはあるでしょうし、ゴンドラが動かないのに同じ値段するのは忍びないというお客さんへの配慮もあるのかもしれませんが、大赤字でそれどころではないはずで、他も値上げしてくるであろうことを考えると、もうちょっと上げてもよかったかもしれません。(野麦峠のように昨シーズンも来シーズンも値上げせず1990年代からずっと4000円と我が道を行くところもありますが)

 さかのぼると、バブル期にはチャンピオンゲレンデに高原ゲレンデもあって広かったとはいえ、その当時の4800円は八方・志賀・苗場・ニセコなどより高く、それより高いのは赤倉(温泉と観光のセットのみ)と竜王くらいという日本有数の高価格でした。

 というのは、ピーク時の来客数60万人は近年の野沢・八方・五竜47などよりも多く、当時だと飛騨や奥美濃、諏訪エリアまで入れてもおそらく最多客数だったからでしょう。

 東海北陸道ができるまでは、名古屋や大阪からだと、奥美濃へ行くのも御嶽へ行くのも所要時間は同じくらいで、規模は御嶽が最大でしたから、当然と言えば当然かもしれません。

 来シーズンの他の変化点としては、第5クワッド(下のクワッド)のリフト脇の林間と、ペアリフトのリフト下が、夏のモトクロスコースとして整備されていて、冬も非圧雪のツリーランコースとして開放されること、チャンピオンゲレンデはバス輸送でのコース開放は続けるが下部のTバーリフトはやめる、などが発表されています。

 木曽エリアのスキー場はどこも、自治体からの補助金や固定資産税の免税だよりで経営的には瀬戸際で、全滅の恐れもあります。

 御嶽はこれまでのところは王滝村が死守する姿勢を一貫していますが、それも赤字幅次第でしょう。オールシーズン営業とあわせて、黒字化は無理でも、王滝村が支えられる程度の赤字に抑えられて持続可能になってくれればと思います。