岩手・湯田スキー場休止/くのへスキー場廃止へ

 8月1日から2日にかけて降った大雨により斜面が崩れ、冬のオープン時期に影響する可能性もあると報道されていた岩手県の湯田スキー場ですが、復旧に向けた調査などに時間がかかるうえ、今後の雨や雪によって再び斜面が崩れるおそれもあることから、2026/27シーズンのスキー場の営業を見送ることを決めたということです。

 「なるべく早く復旧するよう努める」とのことですが、このリフト1本の町営スキー場がこの地域にとってどれほど重要か分からないものの、町の財政的にはおそらく、復旧させずに廃止にした方が良いのであろうことは想像に難くなく、本当に復旧させて営業を再開するのかどうかとも思われます。

 同じく岩手県のくのへスキー場は、昨シーズン「諸事情により」休止、この8月には「村営くのへスキー場の在り方を考える検討委」が「スキー場を2~3年の間、存続するべき」と答申して、村は内容を踏まえて9月中に今季の営業を判断するとのことでしたが、村長は、修繕費が1千万円以上かかるようなら本年度は再開しないし、3年以内に廃止する方針を示したということです。

 ここもリフト1本のスキー場で、検討委が「存続するべき」としたのはそれだけ地域に必要とされていると考えたからなのかもしれませんが、村(村長)としては、スキー場にその財政に見合う価値はないと判断した、ということになります。

 ふつうは検討委がそう言うならもうちょっと様子見で営業してみるかとなりそうなところ、検討委の答申後、9月中に判断とあったのが9月初旬に早々の廃止決定で、こうなると最初から廃止は決まっていて検討委は形だけだったのかというようにも見えてしまいます。

 地元の反対・署名運動や、地元が運営に関わることで営業が継続されているスキー場もありますが、この様子だと再開することなくこのまま廃止ということになるでしょうか。

戸隠スキー場、設備更新を検討

 長野市所有の戸隠スキー場は、2019年度から地元住民などで設立した「㈱戸隠」が指定管理者として運営していて、それまでの市開発公社が指定管理者だった時期はずっと赤字だったのが、2019年度からはずっと黒字ということで、これは、2019年度に1日券をそれまでの4000円から500円値上げして4500円にしていることが大きいのかと思われます。

 ただ黒字といっても「指定管理者は」というだけで、市が毎年1億円近く支出している施設整備費は指定管理者の決算とは別だと思われ、指定管理者の黒字が施設整備費を上回る額とは思えないので、トータルでは毎年数千万円の赤字なのではないかと思われます。

 戸隠スキー場ではシーズン券保有者の6割が長野市民で、地元比率の高い「大きなローカルスキー場」ともいえ、コロナ禍中の客数減少も2割程度と、首都圏からの宿泊客メインの大規模スキー場では4~5割減少が多い中で小幅にとどまっていましたが、とはいえそれでも黒字だったということは、そんなに「ギリギリ黒字」でもなかったようです。

 客数が大きく増えているわけではありませんがコロナ前と同水準にはなっており、1日券は2022年度に5000円、2024年度に6500円へと大幅に、2025年度も6800円へと値上げして2019年度の1.5倍になっていることから(来シーズンは7000円)、この間のインフレ(人件費・エネルギー価格アップ)でも黒字額は大きくなっていると思われます。

 もしかすると市支出の施設整備費を賄えているかもしれませんが、リフトは7基中5基が設置から35年を超えていて、更新しなければ施設整備費はさらにかさんで10年以内に計15億円かかる見込みということで、「大規模投資(リフトを現状維持するための更新でおそらく50億円以上?)をして数十年続ける」かどうかの瀬戸際であることに違いはありません。

 実際、2020年度に長野市がまとめた公共施設個別施設計画(21~30年度)では民営化の方向性が示されていたということですが、2019年度以降は(施設整備費を除けば)黒字が続いていること、夏季はインバウンドを中心に客数増加がみられ冬季の増加も見込めることなどから、リフトの夏季利用も含めることで投資回収できるという判断に変わり、市はリフト更新を前提とした再整備の検討を始めました。

 夏季も利用するというのは、センターハウス正面の第3クワッドリフト降り場前の怪無山頂エリアに何かしらの休憩施設でも整備されることになるのでしょうか。

 リフトが更新されるといっても、3基ある高速リフトのうち、メインの第3高速クワッドリフトは高速のままとしても、第4高速ペアリフト(長さ691m)は固定循環式になる可能性が高そうに思いますし、第5高速ペアリフト(長さ1016m)も固定循環式になるかもしれなさそうです。

 検討の方向性が示されたというだけで具体的なことは何も決まっていませんが、長期存続がほぼ確定したのは何よりです。

岐阜県のスキー場数の減少が大きい

 都道府県別の索道輸送人員数で5位の岐阜県ですが、ここのところスキー場の営業終了(閉鎖)が多くなっています。

 営業最終年で言うと、2018年(2017/18シーズン)にしらおとチャオ御岳、2019年に揖斐高原と国見岳、2021年に白川郷平瀬温泉白弓、2022年に母袋温泉、2023年にひだ船山アルコピア、2025年に荘川高原と、8年で8か所が営業を終えて、23カ所から15カ所へと減っています。35%減です。

 この間に全国で60カ所ほどが営業しなくなっており、比率にすると13%減ほどですので、岐阜県の減り方は非常に大きいです。都道府県別スキー場数でもかつては4位グループだったのが、7位タイへと後退しました。

 スキー場数は7位でも索道輸送人員数は5位というのは、小規模なローカルスキー場が淘汰されて比較的少数の人気スキー場が残っている傾向が強いということの現れでもあり、スキー場1カ所当たりの索道輸送人員数は(志賀高原を18か所と数えるなど届け出上の数でカウントした場合)長野県を上回って1位となっています。

 いつ潰れてもおかしくなさそうなのは、あとは、郡上ヴァカンス村や飛騨かわいあたりでしょうか。あるいは規模のあるひだ流葉の方が危ないのか。シングルリフト1本で営業を続けている飛騨高山は所有者である高山市が営業を続けそうですし、平湯温泉も今のリフトが動く限りは営業を続けそうな雰囲気です。

 営業終了と言えば、ウイングヒルズのサマーゲレンデ(ピスラボ)も昨年限りで営業を終了しています。

 冬営業もかつて(2022年まで)は11月(最速は10/24)にICSで開始し、閉鎖コースなどから雪出ししてゲレンデを延命させて4月中旬までの営業を目指していたのが、コロナ禍でのアウトドア・キャンプブームでキャンプサイトに力を入れ始めたことで2022年を最後に4月営業もICSによる11月営業もやめました。

 夏営業も、マウンテンバイクをやめ、サマーゲレンデの営業期間を縮小し、とはなっていましたが、サマーゲレンデから完全撤退するとは思っていませんでした。営業を始めて何年目かに一度行ったきりなので客数の変化は分かりませんが、減少の一途だったということでしょうか。

 長野・新潟では、夏営業強化の流れからサマーゲレンデはこの10年でむしろ増えているイメージがありますが、夏も滑りたがるマニアックな客層は首都圏から行ける範囲でないと営業的に成立しないということなのかもしれません。

福島・三ノ倉スキー場でリフト1基休止(廃止含め検討)

 福島県喜多方市は本年度、三ノ倉スキー場の営業を一部休止すると決定したとのことです。

 施設の老朽化により維持管理費が年々膨らみ、市財政の大きな負担になっているためということで、2基あるリフトのうち、ゲレンデ下部・標高565m~640m(高低差75m)部分の1コースにかかる第1リフトが休止となります。

 全面休止すれば地域経済やスポーツ活動への影響が大きいため、第2リフトの営業は続けるということで、標高640m~775m(高低差135m)部分の3コースでの営業になります。ゲレンデ標高差は210mから135mへ2/3以下になりますが、滑走エリア的には8割以上が維持される感じでしょうか。

 市は財政負担軽減のため、同スキー場の在り方について廃止を含めて検討しており、市の試算によると第1、第2リフトともに稼働させた場合は今後10年の維持管理費は約4億円に上るところ、今後、第1リフトを動かさなければ約1.1億円と3割近くを削減できるとのことです。

 来年度以降の営業方針は本年度の状況を踏まえて改めて検討するということですが、地元の強い要望でもないことには、遠くない時期に廃止になる可能性が高そうに思われます。

岩手・湯田スキー場で土砂崩れ

 岩手県の町営湯田スキー場で、8月1日から2日にかけて降った大雨により、横27m、縦35mの範囲で斜面が崩れたということです。

 崩れた地面と元の斜面との落差は最大で4.5mほど、復旧には時間がかかり、冬のオープンの時期に影響する可能性もあると報道されています。

 報道では復旧してのオープンを前提に書かれていますが、シングルリフト1本で1コースのスキー場であり、復旧せずにこのまま廃止の可能性もあるのではないかと危惧されます。

 土砂崩れによるコース閉鎖や、スキー場へのアクセス道路の寸断などは、近年は毎年のようにどこかで発生しているように感じられ、気候変動の影響は極端な暖冬・少雪だけではなく、こういったところにも表れています。

レジャー白書 2026

 10月発刊予定の「レジャー白書 2026」の速報版がリリースされています。

 調査対象期間は2025年1月~12月で、様々なレジャーについて調査対象期間に1回でも実施したかの実施率を集計し、それに調査対象年齢(15~79歳)の人口を乗じることで参加人口を推計しています。

 2025年1月~3月は比較的雪に恵まれたことから、前年よりも実施率が上昇するかと思われましたが、スキー2.3%、スノボ1.3%と、ともに前年の2.9%・1.4%から低下しました。どちらも2021年が調査対象の時の2.0%・0.8%に次ぐ、過去2番目に低い実施率となります。

 この調査の有効回答数は3300ほどで、スキーやスノボのように実施率数%程度の種目ではサンプリングによるバラツキが大きく出やすくなります。2024/25シーズンは2023/24シーズンに比べて、自治体集計のスキー客数も国交省集計の索道輸送人員数も増加しており、レジャー白書の今回の「前年比減少」という結果に関してはサンプリングによるバラツキの影響が出たのではないかと思われます。

 統計学的には十分なサンプル数であり、長期的な傾向を把握するには有用ですが、データの見方として注意が必要なところかと思います。

 「スキー人口はピーク時に1860万人」と見ることが多いですが、これは1993年を対象とした時の参加率17.9%に、その時の調査対象人口を乗じた値になります。同様に計算すると、2025年のスキー人口とスノボ人口の単純合計は350万人ほどということになります。(過去最少は280万人)

 なお、実際にはスキー・スノボ両方やっている人がおり、レジャー白書2017での調査によると単純合計で5.8%のうち0.5%と実施者の8.6%ほどが重複回答者だったため、同程度の重複率であれば「スキー・スノボ人口」は320万人ほどということになります。

 レジャー白書では実施回数も調査していますが、有効回答数約3300のうちスキーを実施したと回答した人は76人ほど、スノボを実施したと回答した人は43人ほどで、その回答者の平均値となるため、これまたやはりサンプリングによるバラツキが大きくなります。

 例えば過去10年で、スキーの年間実施回数は最小で3.4回、最大で10.5回と3倍の開きがありますが、サンプリングでなく全数調査なら実際に年によってそれだけの差があるはずはありません。10年平均の5.6回を中心に±1回程度の範囲で推移しているのではないでしょうか。

 スノボも3.4~8.6と幅がありますが、10年平均が7.0でここ4年続けて8回台なのでそのあたりでの推移かと思われ、その場合、スキーとスノボをあわせた平均は6回台前半になる計算です。

 一方で、主要県のスキー客数とその特殊索道輸送人員数シェアから推計される全国スキー客数は、2024/25シーズンまでの4シーズン平均で2400万人程度となります。この期間のレジャー白書でのスキー人口・スノボ人口の単純合計は430万人ほど、重複を考慮すると390万人強となり、延べ客数2400万をこれで割ると6.1回となって、レジャー白書の値から推計した数値と同程度になります。

 つまり、近年では、430万人ほどの人がシーズンに平均6回ほど滑りに行き、1人平均9回ほど索道を利用することで、冬期(12月~3月)の索道輸送人員数が2.3億人ほどになっている、ということになります。

 同じように推計すると、スキーブーム期は、1800万人ほどの人がシーズンに平均4回ほど滑りに行き、1人平均11回弱ほど索道を利用することで、冬期(12月~3月)の索道輸送人員数が7.5~8億人ほどになっていたとなります。

 「滑った人」の実数は1/4だけど1人平均1.5倍行ってることで延べ人数は1/3程度への減少にとどまり、おそらく主に利用される索道の平均距離が伸びたことで1人・回あたりの索道利用回数が減って輸送人員数は3割程度になっている、と推測されます。

スキー場利用者数集計

 長野県のスキー場利用者集計で、山ノ内町は志賀高原から索道輸送人員数の提供を受けて「1人10回乗車」として利用者数を推計していたけれど、「実感と違う」との指摘を受けてリフト券データの提供を受けなおしたところ、昨年の利用者数は従前の推計よりも4割少なかった件で、索道輸送データの提供を受けて1人10回で推計していたのは志賀高原だけだったのだろうかと8/2の投稿で触れましたが、どうやらそうではない疑惑が浮かんできました。

 2024/25シーズンは旧集計で104.6万だったのが新集計では60.8万と43.8万減なのに対して、県全体では旧集計で653.9万だったのが新集計では611.1万と42.8万減と1万人異なります。

 信濃毎日新聞の記事によると、2020/21シーズンまでさかのぼってリフト券データの提供を受け、志賀高原の客数は20/21シーズンが34.3万、21/22シーズンはグラフから読み取ると45万ほど、22/23シーズンは53万ほど、23/24シーズンは55万ほどです。

 旧集計からの減少数はそれぞれ、22.8万、30.5万ほど、33.5万ほど、32万ほどとなりますが、県全体の減少数はそれぞれ27.5万、39.8万、41.9万、31.7万です。22/23シーズンまでは4.7万、9.3万ほど、8.4万ほど志賀高原以外でも減り、23/24シーズンはほぼ同数ということになります。

 こうなると、志賀高原以外で、22/23シーズンまで索道輸送人数データを提供していたけれど23/24シーズンから自主的にリフト券データに切り替えていたスキー場があって、そのスキー場についても20/21シーズン以降のリフト券データの提供を求めて再集計して、24/25シーズンの1万人違いは計算間違いなのではないかという疑いも出てきます。

 そうだとすると、今回の再集計は県からの指示ではなく山ノ内町としての動きであることから、山ノ内町内のスキー場だと考えられます。山ノ内町には志賀高原の他に、竜王・小丸山・高井富士・よませの4スキー場があります。

 長野経済研究所が集計・発表している「県内主要スキー場利用動向調査」ではこの4スキー場をまとめて「北志賀」として集計していますが、竜王は日本スキー場開発㈱の傘下になってから独自に客数を公表しており、「北志賀」からその公表値を差し引くと残り3スキー場の値が分かります。

 その3スキー場の客数は、2015/16シーズンからコロナ前の19/20シーズンまでに比べて、23/24シーズン以降のここ3シーズンはほぼ半減となっています。これはどうやら、23/24シーズンから提供データを変更していた可能性が高そうです。

 長野経済研究所の「県内主要スキー場利用動向調査」は長野県の利用者統計調査と整合するデータであることから、こちらも索道輸送人員データの提供を受けたスキー場については「1人10回」で推計していたわけで、来年は志賀高原からはリフト券データが提供されて値が大きく減ることになりそうです。

 湯沢町発表のスキー場別利用者数で、少雪とはいえコロナの影響を受ける前の2019/20シーズンに苗場の利用者数が半分以下になってコロナ後も18/19シーズンの半分程度で推移しているのも、かぐらの利用者数が同様に6~7割になっているのも、集計方法の変更があったと考えるのが妥当に思えてきました。

 スキー場の独自発表ならリフト券ベースでしょうが、行政集計だと昔ながらに簡易的な索道輸送人員数データの提供を続けてきたスキー場が少なくなかったようです。

 長野県(山ノ内町)の集計に関しては、なぜデータ修正が2020/21シーズン以降なのかという疑問もあります。

 志賀高原では確か1993年からリフト券を電子化しており、システムは変わっているとはいえデータは最初の年度から残っていてもおかしくなく、今のシステムだってここ6年ということはないと思うので、だとすればなぜもっと、さかのぼれるだけさかのぼって修正しないのだろうかという疑問です。

 2020/21シーズンというのは、ちょうどコロナで激しく利用者数が減った時であり、集計方法の変更による減少が目立ちにくいタイミングとなっており、データ修正が分かりにくくなることを狙ってのことではないかと勘繰ってしまいます。

 データ修正については集計結果の発表書面で、冒頭部分に注釈で「一部のスキー場で今シーズンから集計方法を変更していますが、過去の年度との比較ができるよう過去の数値についても新しい集計方法に基づいて再計算した値を掲載しています。」と書かれていますが、それだけです。

 発表書面には参考扱いとはいえ昭和62年度以降の推移グラフや昭和40年度からの推移表があり、その値は2020/21シーズン以降は修正されていますが、そのグラフや表に2020/21シーズンから集計方法が一部変更になっている注釈はありません。

 「過去の数値についても…再計算した」と言うなら、それこそ昭和40年度分からすべて「新しい集計方法に基づいて再計算した値」でなければならず、これはもう説明不足ではなく虚偽説明と言えるかと思います。

 役所の割にはうっかりしているというのではなく、役所ゆえにすべて承知の上で再集計したことを分かりにくくしているのではないかと思ってしまいます。行政の無謬性や隠蔽体質は今も健在ということでしょうか。