祝 瑞穂ハイランド復活

 前の運営会社が破産し引受先を探していた、瑞穂ハイランドスキー場(島根県)の引受先が決まり、存続・再開の道筋が立ったもよう。

 標高差721m、ゴンドラ1基・クワッド4基等を有して中国・四国・九州エリアで随一の規模を誇り、リフト券価格は2015年頃までは全国でもトップクラスの高さ、それでも広範囲から客を集めていたので、2015/16シーズンにリフト券を大幅値下げしたときは「なぜ?」と思ったくらい。薄利多売に舵を切らなければいけないような状況とは思えなかったので。

 結局、2019/20シーズンの記録的雪不足がトドメとなって、2020年3月に事業を停止し自己破産を申請することになった。2014年7月期の売上(近年の最大値?)が9.5億円、負債総額は30億円とのこと。

 それでも破産管財人が中心となって、引受先を探しながら2020/21シーズンの営業継続を目指していたが、コロナ禍もあって昨シーズンの営業は断念。その後も引受先を探し続け、今年2月に声をかけた会社が引き受けに応じてくれた。

 引き受けたのは広島の土木関連業で、早期の再開を目指し、スキー場だけでなくグランピングなど年間を通して利用できるリゾート施設を構想しているという。ただしスキー場の運営は初めて。

 数年前のマックアース大量放出時の引受先も、スキー場運営は初めての何社かの異業種だった。その後の外部環境があまりに悪いとはいえ、どこもうまくはいっていないようにみえる。

 今回の広島の土建屋さん、おそらく本業はうまくいっているのだろう。社長さん曰く「ハイランドは子どもの頃から通った愛着のあるスキー場」ということで、準地元として存続に貢献したいという意欲もみえる。

 通年で稼げるようにしないと持続できないのは当然として、グランピングは今やあちこちのスキー場がやりはじめている。瑞穂ハイランド近隣でどうかは知らないのだが、すでに競争が激しいのではないか(あるいは今後激しくなる)。

 スキー場は基本的に傾斜地だからキャンプ場には向かない。であれば、景観の良さや、飲食や宿泊提供施設が隣接している特長を生かして、薄利多売的なただのキャンプ場ではなく、少人数に高付加価値を提供するグランピングに特化することで高単価で効率よく稼ぐのがいいのは、戦略的には正しい。コロナ禍も追い風だろう。だが、うまく差別化できないことには結局は価格競争になる。

 破産の要因が設備投資の償却負担の大きさなのだったら、破産でそれらが一掃されることである程度の経営の持続性は期待できるだろうが、キャッシュフローがマイナスだったのなら、夏にグランピングを始めるだけで黒字化できるものではないのではないか。

 規模の大きいスキー場で、一度潰れたが復活して黒字安定経営、という例も(ARAI、そして今後レースイがどうなるか…)、異業種参入の成功例も聞かないだけに不安はつきないが、まずはこのまま消えてなくならなかったことを祝いたい。

第5波の行方

 年明けの第3波のときは、1/7に緊急事態宣言し、新規感染者数の7日間平均のピークは1/11(約6600人)、入院・療養者数のピークは1/18(7.1万人)、重症者数のピークは1/27(1043人)、首都圏の宣言解除は3/21だった。

 第4波前のボトムはそれぞれ、3/8(2月終わりから3月中旬まで底這い;約1000人)、3/9(1.16万人)、3/23(320人)、第4波では4/25に宣言発出、ピークは5/14(約6600人)、5/15(7.34万人)、5/26(1413人)で、首都圏の宣言解除は6/20。

 第5波前のボトムは6/21(7月上旬まで底這い;約1500人)、7/6(1.54万人)、7/16(376人)。(以上NHKの特設サイトより)

 

    宣言  新規7日平均     入院      重症    解除
ピーク  1/7  1/11(約6600人)  1/18(7.1万人)   1/27(1043人) 3/21
ボトム     3/8(約1020人) 3/9(1.16万人)  3/23(320人)
ピーク  4/25  5/14(約6600人)  5/15(7.34万人)  5/26(1413人) 6/20
ボトム      6/21(約1430人) 7/6(1.54万人)  7/16(376人)
    7/12 (7/17;約2835人) (7/16;2.32万人) 

 

 第3波と第4波で、新規感染者数のピーク値は同じなのに、入院・療養者数と重症者数のピーク値は第4波が大きくなっている(入院1.03倍、重症1.35倍)のは変異株の影響だろう。

 それに対して3と4の間と4と5の間を比べると、新規のボトム値は1.5倍なのに入院は1.33倍(新規の増加率の0.89倍)、重症は1.18倍(同0.79倍)なのは、ワクチンの効果だろう。

 現段階では、入院率は変異株による増大よりもワクチンによる低減効果が上回っているものの、重症化率は変異株による増大が上回っている状況だが、接種の進展とともに重症化率低減の効果が強くなっていくだろう。

 それに、前回はボトムから3週間程度で新規感染者数が倍になっているが、今回は3週間経過時点では1.5倍程度。7/18で2倍を超えることになりそうだから約4週間と増加ペースが緩やかであり、人流はむしろ増えているのであれば、ワクチンの効果で感染率が低下しているためと考えられる。

 高齢者のワクチン接種は計画通り7月中にほぼ完了しそうで、続いての優先順位は「基礎疾患のある人・高齢者施設などで働く人」、あとは「それ以外の人」となっている。

 「それ以外の人」は、重症化しやすい年齢の高い順に接種を進めるべきか、行動機会が多く感染率の高い若年層から進めるべきか。そこは各自治体の判断になるようで、病床に余裕があれば若年層から、余裕が小さければ中高年層からになるのかもしれない。

 さて、第5波の動きはどうなるか。

 第3波の時の2度目の緊急事態宣言はピークの直前で、第4波の時も、2度目の解除が増加に転じてからだったこともあって増加から1.5か月経ってからの宣言だったのに対して、3度目の宣言解除(沖縄県除く)は6/20とボトムの前日、ボトムから3週間での4度目の宣言と動きが早い。これは感染拡大の抑制要因となる。

 一方で、緊急事態慣れでアナウンス効果は低下しているし、梅雨明け・夏季休暇突入で外出意欲は高い(オリンピック開催はむしろ巣ごもり要因かもしれない)から、そのあたりがどう作用するか。

 第3波、第4波は、新規感染者数が増加の兆しを見せてからピークまで2か月程度だった。今回も同様なら、8月下旬から9月上旬にピークになる。盆期間までは人の動きが大きく、その点からも新規のピークは8月末あたりになるのかもしれない。

 そうなると宣言解除は、過去の例ではピークアウトから1か月以上経過後なので、10月になってからになりそう。宣言が早かった分、3か月近くと過去最長の宣言期間になる。

 あるいは、宣言やワクチンの効果が現れて8月前半にも新規感染者数がピークアウトし9月中旬には宣言解除、といったことになるか。

 問題はピークの時期よりもその高さ。ボトムの値が前回よりも、入院・重症は1.3倍、新規は1.5倍からのスタートだし、人流の増加(抑制不十分)や変異株のさらなる影響も考えられるが、それでも重症者数は特に、ワクチン効果が勝って前回・前々回の値にはならないと予想(期待)する。

 自民党菅首相)としては、都議選の失速もあるし、ワクチン接種の進展による感染鎮静化を期待して、衆院選はギリギリまで遅らせたいところだろう。衆院任期の10/21まで臨時国会を開いて最終日に解散、11/28に投開票が最も遅い選挙というが、ここまで引っ張るかどうか。

 規定通りなら9月中に自民党総裁選もある。任期延長などせず、パラリンピック明けに臨時国会を召集し、補正予算を成立させて解散、総裁選を経たのちに10/17衆院選が有力、という記事もある。

 政権的には公示~投票日が新規感染の底這い期であるのがいいだろうから、「9月頭には感染者減少が明確、臨時国会を召集し9月中旬に衆院解散、総裁選を勝ち、宣言解除し、新規感染者がしばらく底這いのうちの10/5公示・10/17投開票で衆院選」というのが、菅首相にとってのベストシナリオだろうか。

 衆院選のタイミングはともかく、ワクチン接種進展で第6波はこないことを、そして安全・安心なスキーシーズンを迎えられて、スキーシーズンにあわせてGoToトラベルキャンペーンが再開されることを、切に望む。

ワクチン接種状況

 ワクチン接種、これまでのところ、6500万回くらいまできているもよう。

 政府は1日120万回の維持を目標に掲げているが、6月下旬に130万回、7日平均で120万回を超えたところをピークに、直近はまた100万回を切ってきている。

 メインのファイザー製の供給量が80万回分/日くらいになっているのは計画通りということ。モデルナ製(まずは職域接種用)の供給が滞っているようだが、その原因の報道がない。アストラゼネカ製もあるはずだが、海外で血栓の副反応が多いし、効果もちょっと低いということで当面は在庫キープのよう。

 ファイザー製は9月末までに1.94億回分の契約のうち、既に1億3450万回分が輸入されてるということ。80万回/日で80~90日分、10月上旬分までは国内在庫としてある計算で、まだあと6000万回分がこれから輸入される(はず)。

 モデルナ製は9月末までに5000万回分の契約ということだが、当初は6月末までに4000万回分といっていた輸入が1350万回分どまりと遅れている。その輸入済み分が7月下旬には潤沢に出回るということで、3~4か月で5000万回、1日40~50万回のペースか。

 確かに、目詰まりなく順調に行きわたれば、ファイザーとあわせて120万回/日を維持できる計算だ。

 120万回は難しくても100万回をキープできれば、今月末で8000万回、8月末で1.1億回、9月末で1.4億回、10月末で1.7億回、12月末で2.3億回となるが、2社合わせて2.4億回分あるから数は足りる。

 ただ、接種が先行している欧米各国では、接種率5割前後で伸びが頭打ちとなっている。「何と言われようと打ちたくない」という人が半数いるということではなく、経済活動の再開に伴って「もうわざわざ打ちに行かなくても」という気分の人が増えているのだろう。フランスで飲食店利用にワクチンパスを義務化すると大統領が発表するやいなや、ワクチン接種予約が殺到したというし。

 日本の場合はどうか。政府(菅首相)は「10月から11月に希望者の接種を完了するよう進める」と言っているが、この「希望者」がどれくらいか。

 昨年12月の調査では、「接種したい」は20%、「どちらかといえば接種したい」が27.2%、「どちらともいえない」が25.6%、「どちらかといえば接種したくない」が13.7%、「接種したくない」が10%、「わからない」が3.5%だった。

 2月の調査では、「接種したい」「様子を見てから接種したい」「接種したくない」の3択で聞いたところ、「接種したくない」は11.3%だった。

 すんなりと接種に向かうのはやはり半数程度で、「何と言われようと打ちたくない」人は1割程度。5割までは順調にいっても、そこで経済活動が通常モードになってくると、欧米同様、「どちらともいえない」層は接種に向かわない可能性が高い。

 そこからは「アメとムチ」が必要で、それでもいって75%か。そこまでいけばいわゆる集団免疫の獲得ということになるだろうし、感染拡大の恐怖がなくなれば「どちらかといえば接種したくない」人は接種しない。75%でもまだ感染が収束しないとなるとそれはそれで大問題で、それはおそらく現在のワクチンの有効性が著しく下がるような強力な変異株の登場ということだろう。

 一説では、接種希望者は6~7割程度と見積もられているとか。上記の調査結果からすると妥当な線だろう。接種対象者は1.1億人程度だから、接種回数にして1.3~1.5億回。100万回/日をキープできれば9月中か10月上旬で達する計算で、接種率75%でも10月中には終えられる。

 実際には、自治体による進捗のバラツキもあれば、5割前後で予約が鈍るようなら100万回/日をキープできずに後ろずれするが、それでも11月中にはほぼほぼ終えられるということでの「10月から11月に希望者の接種完了」なのだろう。

 接種が完了(集団免疫獲得)しなければ、安全・安心のスキーシーズンにならないし、GoToトラベルの再開も難しい。何としても予定通りに接種が進んで(感染が抑制されて)もらわなければ。

索道輸送人数からスキー人口を推計する

 「スキー(・スノボ)人口」というと、レジャー白書の数値を引用されていることがほとんどである。「ピーク時は1800万人以上もいたのが今では3分の1以下」といった記述をよく見かける。

 レジャー白書は1977年の発行から毎年継続的に調査を続けており、「あるレジャーについてどれくらいの実施者がいるか」についての代表的なデータであることは間違いない。

 しかし、レジャー白書の調査は全国で3300人ほどのサンプルによるもので、「昨年、そのレジャーを実施したか」に「はい」と答えた人の割合(実施率)を、調査対象年齢である15~79歳の人口に乗じて参加人口を算出している。長期傾向をみるには統計学的に一定の信頼性があるのだろうが、毎年の数値そのものの誤差はそれなりにある。

 レジャー白書とは別に、直接的な実施人口ではないがスノースポーツの実施状況推移の指標としてよく用いられるものに、索道輸送人数がある。これは政府統計であり正確(リフトの場合は手動カウントによる誤差はあるにしても)。ここからスキー人口を推計してみたい。

 必要なのは「スキー場でスキー場営業期間中に滑走目的で輸送された人数」。これを「滑走目的客が1日に索道を利用する平均回数」で割れば、延べスキー人口が算出され、さらに「スキー実施者のシーズン平均滑走日数」で割れば実スキー人口が算出される。

 滑走目的かどうかはもちろんデータ上区分はされていないが、大まかな推論をしてみる。

 索道輸送人数データは、普通索道(ゴンドラ・ロープウェイ)と特殊索道(リフト)の各種別ごとに月別の値がでている。

 普通索道については、ここ数年の平均値では、冬期(12月~3月)合計が約2600万人。冬期以外で最多は8月の400万弱で、最少が6月の約170万人。冬期以外は大半が山岳観光・登山目的と思われる。冬期にもそうした利用者はいるが、冬期の滑走目的以外の客数は6月の客数より格段(半数以下?)に少ないと考えられ、冬期は9割前後は滑走目的であろうと推定する。

 4月(300万弱)の滑走以外目的客も6月より少ないのではないか。そうなると150~200万が滑走目的となる。5月(約300万)と11月(300万弱)は6月以上の滑走以外目的客がいるとしても、50~100万程度の滑走目的客がいることになる。

 となると、「冬期(12月~3月)の滑走目的以外の客数」が全体の1割とすると約260万人で、「4・5・11月の滑走目的客数」は300万人前後と、近似した値となる。つまり、「普通索道の滑走目的客数」は「冬期(12月~3月)の普通索道輸送人数」で代替できる範囲と考えられる。

 特殊索道については、冬期(12月~3月;約2.55億人)はほぼ滑走目的と考えていいだろう。4・5・11月の滑走目的客数がどれくらいか(厳密には10月のイエティや6月の月山もある)。

 6月~10月の平均(約140万)と同等の滑走以外目的客が4・5・11月にもいるとすろと、4・5・11月の計約1250万人のうち約830万人が滑走目的客となる。12月~3月にも滑走以外目的客が月140万人(計560万人)いるとすると、差引270万人となって冬期輸送人数との差は1%となる。特殊索道についても、冬期輸送人数がほぼ通年での滑走目的人数としていいだろう(実際は1~3%多い可能性が高い)。

 これらから、「滑走目的索道輸送人数」は「冬期(12月~3月)の索道輸送人数」と同程度であると推定できる。

 さらにいうと、過去のデータでは「冬期(12月~3月)の索道輸送人数」と「通年の特殊索道輸送人数」がほぼ同数(1981年度以降のデータがあるが±3%を超えたのは上下ともに各2回だけ)であることから、「滑走目的索道輸送人数」≒「通年の特殊索道輸送人数」でもある。

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 「滑走目的客が1日に索道を利用する平均回数」は、各県の「通年の特殊索道輸送人数」(≒滑走目的索道輸送人数)を、一部の県が公表しているスキー客数で割ることで推計できる。

 1日の索道利用平均回数は、県によって5回台(岩手県)から10回台(長野県)と、各県のスキー客数カウントの精度が疑われるほどにバラツキが大きいが、それらのデータからはおよそ9.0~9.5程度と見込まれる。これにより、延べスキー人口はピーク時で8400~8800万人、近年は2600~3300万人と推計される。

 「スキー実施者のシーズン平均滑走日数」は、レジャー白書の実施回数データを引用する。サンプル調査であることから毎年の変動が大きいが、10年単位程度で平均するとスキーバブル期も近年も5回強程度で大きく変わらない。これから、実スキー人口はピーク時で1600~1700万人、近年で500~650万人という推計になる。

 レジャー白書のスキー(・スノボ)人口は、ピーク時の6年間の平均が1723万人なので、平均リフト回数が9回、平均滑走日数が5日の場合の値とほぼ等しい。近年の600万人前後という値も同様。

 この結果からは、スキーバブル期も今もスキーヤー(・スノーボーダー)1人あたり年45回リフトに乗ること、レジャー白書のスキー(・スノボ)人口は(思ったよりも)概ね正確で索道輸送人数データと整合することになる。

 が、実際は、1人年45回で整合するのはスキーバブル期と直近だけで、バブル期以前やバブル期と直近の間は大きく異なっていてスキー人口と索道輸送人数が整合しない。言い換えれば、レジャー白書のスキー人口と索道輸送人数が整合するには、人・年あたりリフト回数が大きく変化していることになる。

 この整合しない(=人・年あたりリフト回数が変化する)状況とその要因については改めて考察したい。

滑走標高差

 趣味に深くハマると、関連する数字をカウントするようになる人も少なくないと思う。自分のその趣味との関りを数値化することで、その変化の様子を確認したり、他者との比較が可能になる。

 スキーでいえば、シーズンに何日滑ったとか、これまでに何か所のスキー場に行ったとかが代表的。

 どれだけ滑ったかが気になりだすと、滑走日数だけでなく、滑走量そのものも知りたくなってくる。

 滑走量を数値化する場合、累積標高差でみる人が多いと思う。今でこそGPSログで滑走距離も測れるが、距離はコースによって変わり、しかも正確なデータがあまりない(スキー場の公表値も分かりにくかったり怪しいものが少なくない)のに対し、滑走標高差はコースに関わらずリフトの標高差と本数で決まり、リフトの標高差は乗り場か降り場に表示されていることが多い。体力(疲労度)的にも、距離より標高差の方が体感に近い(同じ標高差でも斜度やバーン状況によるが)。

 「滑走量を可視化する」という点においては、skilineのデータサービスの存在は欠かせなかっただろう。特に、利用者の多い志賀高原が採用していたことが大きい。ここで初めてその上位ランカーの数字を見たときは衝撃的で、にわかには信じられなかった。

 1日の滑走標高の上位は20,000mを超え、シーズンの滑走標高上位は確か100万mを超えていたと記憶する。

 八方のゴンドラが600m強(正確には627m)ということは当時でも知っていた(志賀よりも八方の方がよく行っているのでこちらの方がなじみがある)。20,000mには32回。営業時間を8時間として、その間休憩なしで15分間隔いう計算になる。

 ゴンドラの距離は約2㎞で速度5m/sなら乗車時間は7分弱だが、下で板を外してから上で板を付けるまでとなると待ち時間なしでも9分近くかかるのではないか。そうなると6分で滑り降りてこなければならない。

 コース長は、グーグルマップで測ると、リーゼンスラローム経由で約2.2㎞。とすると平均22km/h。この速度自体は大したことない。フラットな中斜面を滑るぶんには遅いくらいだ。

 だが、ゴンドラ降り場からコースにでるまでのスケーティング、リーゼンスラロームコースの斜度、そこから白樺ゲレンデへのトラバースなど、あのコースを6分で滑り降りることを15分間隔で8時間ぶっ通しとなると、平日で空いていてバーンもほとんど荒れなかったとしても、尋常じゃない。

 しかし実際に滑っている人がいる。トイレ休憩くらいはしても食事休憩はせず、焼額第1ゴンドラ(標高差450m)を45本だとか、一の瀬ファミリークワッド(標高差312m)を65本だとかを滑って達成している。

 skilineのデータサービスがあったからこそ、某「20,000mクラブ」ができたのだし、自分自身、リフトが数本程度のスキー場に一人で行くときは、どのリフトを何本乗ったかを何となく数えて滑走標高差を算出するようになった。

 そして自分の滑走標高差を把握することで改めて、「20,000m」の偉大(異常)さを実感した。

 20,000mな人たちは、通常営業時間帯だけで20,000m以上滑るだけでなく、早朝営業やナイターでも滑っていたりする。別にアスリートというわけではなく、どうやらただ滑るのが好きなレジャースキーヤーらしいが、体力も気力も普通じゃない。

 週末オールナイト営業(22:30~24:00はゲレンデ整備のためリフト停止)の鷲ヶ岳スキー場でなら、6時から22:30まで16.5h滑って、1.5h休憩後に24時から17:45まで17.75h滑走も可能なのだろうか。

 そうなるともうスキー体力というより、ただの根性の領域だから、滑走標高差はともかく、どこかのyoutuberがライブ配信で挑戦したりしないかな。

高速道路のETC専用化

 昨年7月に国交省が高速道路のETC専用化方針を打ち出したときはそれなりにニュースになった記憶があるが、その後、12月にその実現に向けたロードマップが出ていた。

 これに対して最近になって「実はデメリットのほうが多い?なぜ高速道路のETC専用化を進めるのか」というネット記事がでていた。

 記事は、専用化してもユーザーにメリットがないばかりか、料金所の人件費コストは年間料金収入の1%ほどであるうえトラブル対応のための係員が必要なため無人化できるわけではないことから高速道路会社側にも大きなメリットがあるとは思えないとし、「目的もあいまいで、専用化実現への道のりは遠い」としている。

 国交省は、

 ETCを活用することにより、

 1. 戦略的な料金体系の導入が容易になること等を通じた混雑の緩和など利用者の生産性の向上
 2. 将来的な管理コストの削減
 3. 高速道路内外の各種支払における利用者利便性の向上
 4. 料金収受員の人員確保が困難な中での持続可能な料金所機能を維持
 5. 料金収受員や利用者に対する感染症リスクの軽減

 等に資することから、ETC専用化等による料金所のキャッシュレス化・タッチレス化を推進

としているが、記者はそれぞれに

 1. 時間帯別料金は、非ETC車からは上限額を取ればいい(首都高はそうなっている)
 2. 非ETC車の誤侵入対策にコストがかかる
 3. 意味不明
 4. 料金所収受員の多くがシルバー人材であり、高齢者人口の増加を考えると人員不足は考えにくい
 5. 5年後、10年後も新型コロナが問題になっているとは思えない

と否定している。

 1.については記者の主張に納得感がある。

 2.については、どういう管理コストがどれだけ削減できるのかの国交省の見通しを聞かないことには何とも言えない。この記者の試算では人件費は年間料金収入の1%にも満たないので、料金を値下げできる額ではないが、企業にとっては利益率が1ポイント向上することは小さくない。

 3.はETCシステムを使った支払い機能の利用のことだと思われる。民間の駐車場などでも使えるようにという設計で作られているが、そのために車載機価格が高くなったうえに、導入コストも高いようでまったくと言っていいほど普及していない。

 国交省としては、「高速道路のETC専用化」→「ETCの普及」→「支払いのETC利用の普及」という理屈なのかもしれないが、すでに93%の高速道路のETC利用率が100%になったところで、それで支払いシステムが普及すると考えているならどうかしている。この記者は単に思考を停止してしまっている可能性が高そうだが、「意味不明」はある意味正しい。

 この記者は、ETC専用化により、現在ETCを利用していない残り7%の収入を失うと書いていて、その考えもどうかと思うが、その7%全員が車載機を搭載して普及が進むわけでもないだろうから、国交省の3.の理屈はますます破綻に近づく。

 4.は、確かに高齢者人口はまだ増えるが、それも団塊ジュニアが高齢者となる20年後まで。それ以後は高齢者も減っていくし、それ以前に労働年齢人口の減少の影響で慢性的な人手不足時代になっているかもしれない(それで人件費が上昇して、物価上昇になれば、国家経済的には悪くない)。

 また、料金所収受員の雇用条件は再雇用制度はあるが63歳定年制ということで、実際にシルバー人材の割合がどの程度なのかを調べたうえで「多くがシルバー人材」と言っているのか疑問が残る。

 5.は、温暖化とも関連して、今後こういった感染症の世界的流行が増加するという考えもあり、5年後、10年後には別の新型コロナが問題になっていることも考える必要がありそう。

 記者は「目的もあいまいで、専用化実現への道のりは遠い」としているが、目的は不適切なものもあるがあいまいではないし、こうして「都市部では5年以内、地方部で10年以内」というロードマップが出ている時点で、よほど激しい反対運動でも起こらない限り、実現に向けて粛々と進んでいくだろう。

 目的は明示されているが、どれも決定力に欠けるとは思う。料金所渋滞の解消・緩和という最大のメリットは既に広く享受されており、専用化したところでさらなるメリットはないと思う。

 個人的には、専用化されてもメリットはないが、ETC利用をやめる予定もないのでデメリットもない。そういう意味では、専用化してもしなくてもどちらでもいいのだが、残り7%をなくしにいく必要が本当にあるのか、現状の何がそんな不都合なのか、というモヤモヤはある。何か別の魂胆があるのではないかと疑いたくもなる。

 国交省はETC専用化等の導入・拡大に向けた検討事項として、「車載機購入助成」や「ETCパーソナルカードのデポジットの下限の引き下げ」を挙げているが、助成はまた一時的(恒久化して公費を投じ続けるのもどうかと思うが)だろうし、それでもセットアップ込みだと1万円程度の出費になるだろう。デポジット下限額が2万円から3千円になったところで、カード取得の手間を含めて使い勝手はよくない。

 国交省の資料を改めて読むと、「ETC専用化等による料金所のキャッシュレス化・タッチレス化を推進」とある。文字通り読めば、目的は「料金所のキャッシュレス化・タッチレス化」の推進であって、ETC専用化はその手段の一つにすぎない。(というか、ETC専用化すればキャッシュレス化・タッチレス化は完了なので、「専用化等」の「等」が何かは不明で、そういう役人的表現が「ウラに何かあるのではないか」という疑念を抱かせる)

 であれば、ETC専用化せずとも、非ETCは料金を割り増し(上記の記事によるとETCと非ETCの管理コスト差は1回100円程度というからその程度)にしたうえで支払い方法から現金をなくしてキャッシュレス決済だけにする、suicaや各種電子マネーQRコード決済も使えるようにしてタッチレス化を進める方がユーザーメリットがあると思うのだが、どうだろう。

横手山・渋峠の気合

 去年、降雪機を導入した、横手山渋峠スキー場。去年はそれで11/14と早期にオープン(その前日に限定プレオープン)したけど、それでも設置工事の関係で遅くなったようで、今年はもう1週早い11/6のオープンを目指すとのこと。

 近年はICS(Ice Crasher System:氷を造って砕いて雪にする造雪機。霧状の水と圧縮空気で雪を作る降雪機と違って気温が0℃以上でも作動できるが費用が掛かる)ゲレンデ以外では、北海道でも11月3週目以降のオープン、本州では熊の湯が人工降雪で勤労感謝の日前後にオープンできるかどうかが最速ということが多く、横手山が1週目にオープンできれば後続に2週以上の差をつけた断トツになるかもしれない。

 しかし、去年もオープン後、11/17-26までは休止になったし、今年気合で11/6にオープンできたとしても、休止せずに続けられるかは気温と天気次第。もしかすると、よほど冷え込みが続かないことには、平年並みの気温では休止無しは無理だと承知の上で、話題づくりのための11/6オープン予定の可能性もある。

 終了の方も、渋峠で6月営業を目指すのだろう。11月の週末はまだ、イエティも軽プリもウイングヒルズも混んでいるので需要があるのだが、GW後の特に平日なんてどうなんだろう。

 長期間経営が採算にあっているのか不安だが、標高日本一(チェアリフトありで)のスキー場として象徴的だし、それなりの宣伝効果もあるだろうから、頑張ってほしい。

 

ICS以外の最速オープン
2017年: 11/17札幌国際、11/18熊の湯 (イエティ10/6)
2018年: 11/22札幌国際、11/23熊の湯 (イエティ10/19)
2019年: 11/17中山峠、11/21夏油、11/23熊の湯 (イエティ10/25)
2020年: 11/14横手山、11/19黒岳、11/24熊の湯 (イエティ10/30)