人気スキー場のリフト1日券の大幅値上げが続いていますが、アースホッパーもまた、売れ筋であるスタンダードで特に、大幅値上げとなりました。
昨年は早割(7月末まで)で39,800円、通常42,800円だったのが49,800円と早割比だと約25%もの値上げ、通常価格比でも約17%の値上げです。2年前は早割29,800円、通常38,800円だったので、2年で早割比だと約67%、通常価格比で約28%の値上がりです。
しかも、昨年は16回利用可能だったのが14回(9月中購入だと15回)と小容量化もされていて、1回あたりだと早割2486円・通常2675円だったのが、9月中3320円・10月以降3557円と、24~33%の値上げ率となります。2年前比だと47~78%です。
しかもしかも、一部のスキー場では1回で2ポイント利用となったことで、それらのスキー場での割安感はほとんどなくなって、それらのスキー場での利用を考えていた人にとっては猛烈な値上げということになります。
もともと、1年目の29,800円で無制限というのが破格値で、この値段で五竜47などの大手人気スキー場が参加したのはコロナ禍だったから訳ですが、1年目の1人当たり利用回数は8回、新規スキー場来場率は54%というデータからは、新規客の集客策としては単価もそう低くなかったと考えられ、1年目だけで抜けたのは五竜47・車山・札幌国際だけでした。
とはいえ何十回利用した猛者もいたと思われ、この値段で無制限はよろしくないということで2年目は無制限は早割4.5万・通常6万と1.5~2倍への大幅に値上げし、16回に制限したものをスタンダードとして早割は29,800円で価格据え置きにしたのでした。
それが今年は7回までのライトで29,800円です。1年目の平均8回からすると、平均的な利用者からすればそこまで割高ではないのかもしれませんが、1日券の値上がりも大きいとはいえ7回券で1回あたりが4千円を超えてくると割安感は乏しいです。
上位券種が無制限がなくなったのも企画当初の趣旨からすると大きく感じますが、120ポイントというのはスキーだけで使い切るのは困難で実質無制限に近く、スキー以外の利用先を増やしていくなかで早めに上限を設けておこうということなのかと思われます。
2ポイント利用必要となったのは、キロロ・ニセコモイワ・アライ(3/2まで)・赤倉観光・栂池・白馬コルチナ乗鞍(3/2まで)の6か所です。参加スキー場の1日券価格の幅が1年目は1.5倍程度だったのが、上がどんどん高くなって2倍以上どころか、今年は下にも広がる(安いところが参加する)ことで3~4倍にもなる勢いなので、この措置はやむを得ないところかと思います。
高い順に2ポイントになっているわけではなく、例えば白馬コルチナ乗鞍は5800円で2ポイント利用にしましたが、安比は昨シーズン7000円でしたが1ポイント利用のままです。新規客誘客効果などを踏まえたスキー場ごとの戦略の違いが表れています。
それにしても1ポイントか2ポイントかの差は大きいです。スタンダードで2ポイントは7000円相当であり、コルチナ乗鞍や赤倉観光だと当日窓口価格よりも割高になることから、実質無制限の「プロ」(79,800円:昨年のアンリミテッドの早割5.9万から35%、通常6.8万から17%UP)限定のような位置づけになると思われます。
プロの79,800円はシーズン券としても高価な部類であり、スノーリゾートクラブやマックアースジャパンといった共通シーズン券に対する価格優位性もなくなりました。
回数を限定することで新規誘客効果をエサに大手人気スキー場の参加を促すという製品コンセプトは優れていて面白く、期待もしていたし、昨シーズンはスタンダードを購入して利用もしましたが、インフレモードで1日券価格の二極化が進むことで価格設定が難しくなっていると感じます。
二極化への対応での2ポイント制導入ですが、スキー場側のニーズと顧客ニーズへのバランスの取れた対応ということからは、1回2~5ポイントなどに細分化したり、スキー場によっては利用可能回数を増やしたりといった展開があるといいと思います。それで4万円で40ポイントや5万円で50~60ポイントだと割安感もあります。
今年の参加スキー場の変化は、今のところ、新規参加が北海道のぴっぷ、キャンモアと長野の戸隠の3つ、抜けたのが廃業したみやぎ蔵王セントメリーと、群馬の丸沼高原と川場となっています。昨年は9月下旬以降に参加表明したところが5か所(新規3か所、継続2か所)あり、今年もまだ新規や継続での追加があるかもしれません。
2ポイントにしたところはどこもインバウンド比率が高そうで、インバウンド客の多いスキー場の好調さが伺えます。同じくインバウンド比率が高そうなニセコアンヌプリや斑尾が2ポイントにしなかったのは、戻りの鈍い国内スキー客向けへのサービスを意識しているのかもしれません。
インバウンド比率の高いスキー場では、国内客向けとの実質的な二重価格制という意味で、早割やアースホッパーのような形での割引を充実させていってほしいものです。