観る競技としてのスノースポーツのメジャー化 -3

(前回から続く)

 メディア観戦の商業的成立という点では、日本では、地上波はもはや、スノースポーツに限らず、イベント的なものしか扱われなくなっているが、逆に、世界選手権については、陸上、水泳、卓球と、かつてはこれほど大きく扱われてはいなかったと思う。先日のアジア大会もそうだが、イベントに関してはバブル期より今の方が、スポーツ中継放送の時間は増えているかもしれない。

 それらはいずれもテレビ局(広告代理店)が主導したものだろう。

 世界陸上などは、日本にメダルを狙えるだけの実力者が少なかったにも関わらず、テレビ局が連日連夜の中継ばかりか自局の情報バラエティで番宣してCMをガンガン流す猛プッシュで、そして何より、抜擢した有名人気俳優のMCのアツさが話題となる運(確信的?)もあって、コンテンツとして定着したように思う。

 それまでオリンピックでしか注目されていなかった陸上競技を、力づくで流行らせ続けることで少なくとも世界選手権についてはテレビ視聴を習慣化させ、もはや観戦する文化を創造したといえるかもしれない。

 陸上トラックやプールの脇を並走するカメラワークやスーパースローといった見せ方の技術的進歩も、テレビ観戦の人気向上にきいているだろう。サッカーなどの球技でも、スタジアム上空からのカメラやリプレイでのボール軌道の可視化など、臨場感が高まり、分かり易さが向上している。

 そうした技術の進歩は、スノースポーツでも生かされるはず。アルペンスキーのようにコースが長く、カメラが並走できない競技では、小型カメラの性能とドローン技術の進歩が大きい。実際にオリンピックやワールドカップでの導入が始まっているが、今後ますます競技のエンタメ化が容易に可能になっていくだろう。

 そういったテクノロジーの導入は日本はお手の物であって、それを活用するだけの価値を、スノースポーツがメディアから認められていないのが問題なのだけど。

 メディア価値が跳ね上がる分かり易い例は国民的スターの登場だろうが、それもまた狙ってできるものではなかなかない。まずはSAJと映像メディア(地上波が望ましいが、WOWOWやダゾーンのような有料chやAbemaTVでもいいかもしれない)が結託する必要がありそう。