(前回から続く)
皆川氏の発言としては取り上げられていなかったが、記者の文章で、”スポーツとしての「興行化」。これが皆川氏が掲げるキーワードだ。”、”独自財源の確保に向けたもう一つの柱が「観るスポーツ」としての発展だ。”、そして、”産業振興が選手の強化につながり、興行の担い手としての選手の活躍が振興にも循環していくのが皆川氏の思い描く未来。”と紹介されている。
また、記者の文章で、”皆川氏は、多くの観客を熱狂させ、テレビ放映や賞金でも興行として確立している欧州のスキー文化を肌で感じている。”、”五輪期間しか冬季競技への関心が向かない日本で一足飛びにいかないことはわかっている”と書いた後に、「金を積んでワールドカップや世界選手権を呼んでも、国内で文化も創っていないのに好きな人しか見ない」という皆川氏の発言を紹介している。
最終的な目標は競技を興行として成立させることだけど、それには文化というレベルで浸透させないといけない。そこでまず、 全日本チームに「SNOW JAPAN」という愛称を付け、オンラインストアで「SNOW JAPAN」のロゴ入りTシャツなどの販売を始め、選手の知名度を上げようとトップ選手を表彰する「アワード」を開催し、と、こつこつとブランド価値を高めていくことから始めている、ということらしい。
アルペンの全日本選手権優勝者に五輪の出場内定を与えることにしたのも、”「(競技を)知ってもらうためにも、やっている人たちに公平にチャンスがあるという透明性が大事」との考えから”ということで、内部の改革もあるかもしれないが、それよりも対外的なブランドイメージの向上を狙ったもののよう。
ただ残念ながら、「SNOW JAPAN」も「アワード」も全日本選手権優勝での五輪出場内定も、一般には全くといっていいほど知られていないだろう。何しろメディアに取り上げてもらえない。
その広告塔となるのも皆川氏の仕事であり、だから昨年末あたりからインタビューに応えたりしているのかもしれない。しかし皆川氏の知名度も一般国民にはないも同然。皆川氏の妻である上村愛子氏が広報担当になればかなり違うと思うのだが。