続いて、2019/4/16に日経ビジネスのウェブサイトに掲載されたインタビュー「元アルペン代表・皆川氏 「スキー界の国技館」構想を語る」より。
聞き手:連盟の役員に加わってから、収益性を追求すべく大ナタを振るっていますね。モデルとしているスポーツ団体はありますか。
皆川氏:日本相撲協会です。相撲という1つの競技と、限られた興行数の中できっちりと収益モデルを確立しています。全日本スキー連盟もスキーやスノーボードといった雪にまつわる競技に限られるなど共通点は多いと思っています。数々の経営努力の結果、年間売上高(事業収益)は100億円を超え、純資産(正味財産)は380億円近くに達しています。私たちも大会の運営や、収益性の面で見習っていきたい。
相撲協会をモデルにしているとは驚き。そりゃ、日本で最も興行的に成功している格闘技の一つではあると思うが、神事を起源とし、競技やスポーツという概念が生まれる以前からの数百年の歴史がある”国技”をSAJのモデルにするのは、ちょっと違う気がする。
「相撲という一つの競技」と「雪にまつわる競技に限られる」ことを共通点とするのも無理があると思うし、他にどんな共通点があるのか聞いてみたい。単に「儲かっている」ことを見習いたいだけにみえる。冬季競技であることを含め、強化と興行の成功例としてモデルとするなら、フィギュアスケートなのではないのか。
聞き手:相撲協会は東京・両国の国技館を年3回の相撲興行に使っているほか、コンサートなどのイベントにも貸し出して収入を得ています。
皆川氏:私の夢は、年間を通じてスキーやスノーボードができる自前の室内スキー場を持つことです。(相撲における)国技館のような、スキー競技の象徴のような場所にしたい。かつて千葉県船橋市にあった室内スキー場「ザウス」はバブル経済のあだ花として、マイナスのイメージが付いています。しかし世界に目を転じれば、約40カ所に屋内スキー場があり、ビジネスが成り立っています。日本に再び屋内スキー場を設け、スキー競技大会を開いて観客席から応援できるようにしたいです。観客席付きの屋内スキー場が実現すれば世界初となります。大会を開いていないときは一般に開放し、入場料収入を得られるようにします。
国技館はもちろん”国技のための館”だし、”相撲を象徴する場所といえば?”と聞かれたら”国技館”と答えるが、高校野球における”甲子園”や、高校ラグビーにおける”花園”ほどの象徴感は、個人的にはない。ただの本興行を行う場所、とまでは言わないが、プロ格闘技でいうならボクシングにおける後楽園ホールの方が象徴感が高いと感じる。
夢であり目標として屋内ゲレンデの話は事あるごとにされているし、「コンサートができるアリーナ」という話もされていたが、観客席付きを目論んでいたとは。競技の練習だけでなく大会でも使うということか。
(続く)