皆川氏の発言に思う -8

NumberWebの「NSBC補講Ⅳ 皆川賢太郎のスキー革命論」の2018/11/29「一年じゅうスキーができる国をつくる。皆川賢太郎が考える屋内施設の価値」より。

 「現在中国のスキー人口は1600万人と言われています」「中国が国策として目指すところはさらに高いところにあって、なんと3億人」「多くの中国の方々がスキーやスノーボードを滑ることができるようになり、余暇の過ごし方の1つに加わるようになりました。その方々がセカンドステージとして求めるものは、「天然」の環境なのです。」「中国国内の施設で滑り飽き、雪質を求めてスキーをするために来日される方も多い」「中国はもちろん、ASEANの国々から日本のスキー・スノーボード施設で過ごすことを目的とした観光客は今後さらに増加していくでしょう。そういった意味で日本のスキー産業の復活には海外との関係性も欠かせないものになっています。」

 結局のところ、競技の強化も、そのための産業の活性化も、参加人口の増大なくしては実現は難しいという、当たり前にして最も難しい命題に行きあたるだろう。

 そのための施策の本音はやはりインバウンドということで、現実的であるとは思う。

 日本でもレジャーでの有給休暇100%使用が当たり前になればそれだけでレジャー産業は活性化するだろうが、どうすれば実現できるか。星野リゾートの社長が以前から提言している休暇分散化も、有休の自由完全使用の代替案や次善策としてのものだろう。

 マックアースの社長も「休日分散や長期休暇の浸透が進めばスキー人口は簡単に増えると思っています」と言っているが、両者とも宿泊業が祖業なだけに、需要の平準化に切実な思いがあるのは想像に難くない。

 その点、今の状況でインバウンドは”今、そこにあるチャンス”であり、既に成功事例も出ているため取り組みやすい。

 しかし皆川氏は中国の「3億人」を何の数字だと思っているのだろう。これはスキー・スノボに限らない”ウインタースポーツ参加人口”、あるいは当初は”ウインタースポーツ関係者の数”という紹介もされていた、実態のよくわからない数字だ。

 2025年までにそうするという中国政府が掲げた目標だが、冬季北京オリンピックに向けたスローガン以上の意味がある数字ではなさそうに思う。同時にスキー・スノボ人口として5000万人という目標も掲げており(競技としてのウインタースポーツ参加者数、と紹介された記事もあり)、引用するならせめてこちらだろう。

 (続く)