皆川氏の発言に思う -7

NumberWebの「NSBC補講Ⅳ 皆川賢太郎のスキー革命論」の2018/11/29「一年じゅうスキーができる国をつくる。皆川賢太郎が考える屋内施設の価値」より。

 「今後日本にスノードームが建設されることはあるのかといえば……私は可能だと考えています。」「ここでポジティブな材料になるのが海外で成功したモデルケースです。」「レストランやホテルも隣接してコンパクトに作られていて、夜はその中でイベントを行うなど、様々な取り組みにより黒字化に成功しています。」「こうした海外の成功事例を2、3ほど挙げながら、土地を決め、批判や検討などを加え、よりよい成案を得るための原案をつくることが今、最も大切だと考えています。」

 海外の成功例は長期宿泊型リゾート施設で、ホテルがメインで屋内ゲレンデはレジャー施設の一つだとすると、日本でそういったリゾート施設の成功例はないのではないか。

 日帰りやせいぜい1泊のゲレンデ目当ての客が中心となると、施設全体の利益計画も難しそうだ。登山やキャンプなどのアウトドアやアウトレットモールなど、施設単独ではなく近隣との広域連携が必要かもしれない。

 そもそも「競技者の強化のために、南半球やアルプスの氷河に行かなくても夏に滑れるゲレンデが必要」ということだt十思うが、そうなるとそれなりの規模は必要だろう。山の斜面を利用するにしても、麓にそこそこ急斜面という適地、それも壁と屋根で囲うだけで使えるなんて都合のいい場所はないだろうから、伐採や造成による大規模開発が必要だろう。そうなると、資金調達以上に地元や行政の認可を取るのが大変なのではないか。

 

  「私がこの機運であれば実現可能と見ている1つに、現在、日本へのインバウンドが盛んだということが理由に挙げられます。スキー、スノーボードもその恩恵を受けていて、中国をはじめとする海外の投資家たちから、「日本のスキー場を買いたい」という話もたくさんいただくようになりました。」「そういう機運がなければ、私が「日本にスキードームを作りたいんです」と言ったところで、机上の空論であり、なかなか先に進まないでしょう。」

 「まだ大儲けをできるといステージには至っていませんが、それでもしっかりと収支が取れる案件で、黒字化事業だということを提示できるようになりつつあるので、スノードーム構想も夢では終わらないと思いますし、今後、実現に向けて加速化していくのではないかと考えています。」

 競技強化のためにも通年ゲレンデはぜひ実現してほしいが、スキー産業の活性化にはどれだけ貢献するか。一年中滑れる環境ができることで参加者の裾野が拡大し、そのことが冬場の参加者増加や利用回数増加につながって、ゲレンデの設備更新が進み道具の売上も下げ止まるという夢のような好循環にならないとも限らないが、それはまさに夢物語かと思われる。

 通年ゲレンデの利用者の数だけ延べ人口が拡大し、その売上のぶんだけ市場が拡大しても、その増加幅は現在の規模の数%にもなるかどうか。その何倍もの波及効果がなければ”産業の復活”にはつながらない。

(続く)