皆川氏の発言に思う -13

引き続き「元アルペン代表・皆川氏 「スキー界の国技館」構想を語る」より。

 

皆川氏:私の夢は、年間を通じてスキーやスノーボードができる自前の室内スキー場を持つことです。世界に目を転じれば、約40カ所に屋内スキー場があり、ビジネスが成り立っています。日本に再び屋内スキー場を設け、スキー競技大会を開いて観客席から応援できるようにしたいです。観客席付きの屋内スキー場が実現すれば世界初となります。大会を開いていないときは一般に開放し、入場料収入を得られるようにします。

 「大会を開いてないときは一般に開放」ってまるで競技使用がメインのようだが、一般開放が基本で大会の時だけ制限じゃないと採算取れないのではないだろうか(そうしたって採算取れるのかあやしいくらいではないか)。

 それに公式大会に使える距離と斜度を確保するのは、例え回転やモーグルであっても大変かと。一番距離も長さも少なくて済みそうなのはハーフパイプだけど、地形として常設で作りこまないと雪の量が大変そう。それとも競技大会とは技術選を念頭に置いているのだろうか。それなら出来そう。

 スキー競技の「見るスポーツ化」、興行化をしたいのは分かるし、「愛好家にとっての通年レジャー化」「競技者にとっての通年使用可能な練習場所の確保」に加えて、「常設の興行拠点」として屋内ゲレンデを活用したい、あるいはそれくらいに活用できるようにしないと採算が合わず出資を仰げない、というのも分かる。

 しかし、その例として相撲と国技館を引き合いに出されると余計に分かりにくいと思う。

 

聞き手:夢が広がりますね。足元での組織改革はどうなっていますか。

皆川氏:1998年の長野冬季五輪以降、スキー連盟の財政は悪化しており、収支を改善する必要がありました。支出の面ではまず人件費にメスを入れました。給料の決め方を透明化するために評価制度を取り入れるとともに、スタッフの数を適正化することで、不必要なコストを圧縮しました。

 収入面ではスポンサー契約の方法を変えました。競技ごとに分かれていたスポンサー契約を1本化して、単価を引き上げたのです。これによって年間9000万円程度だったスポンサー収入は2.2億円まで増えました。またアルペン種目の主要大会を手始めに、興行の色彩を強めました。テレビ中継を入れることで大会スポンサーを増やし、その資金でウェルカムパーティーを開いたり、会場で音楽を流すなどして、盛り上げるようにしました。その結果、連盟全体の収入は年間9.6億円から13.4億円に拡大する見通しが立ちました。

 アマチュア競技団体主催の大会でウエルカムパーティーは珍しそうだが、ヨーロッパでは一般的なのだろうか。他は変わったことはしておらず、常套的な手段を実施している感じだが、普通は簡単にスポンサーが増えるものではないだろうから、いろいろとリスクや困難もあっただろう。それを乗り越えて短期間で確実に結果を出しているということだろうが、スポンサーは増えた負担に見合った効果を感じられているのだろうか。それが見合ってなければ長続きしない。

 (続く)