第3回は2017年11月に「スキー産業活性化ビジョン」「ICT、IoTによるスキー産業革命」のテーマで開催された。
「スキー産業活性化ビジョン」は皆川氏がスキー産業の現状を語り、「ICT、IoTによるスキー産業革命」ではITジャーナリストの井上晃氏、楽天株式会社データインテリジェンス統括部の杉浦和代氏、株式会社ユーフォリア代表取締役の宮田誠氏が登壇し、スポーツにおけるテクノロジーの活用方法について語った。
「インターネットの活用やデジタル化を行うことでスノースポーツの興行化に繋がる」と皆川氏が提唱したことから、第3回はITに特化したテーマとなったとのこと。
「スキー産業活性化ビジョン」で皆川氏はスキー産業の課題として3つ挙げた。
1つ目はスキー・スノボ人口を正しく把握できていないこと、2つ目はスキー場でのチケットレス、キャッシュレスの遅れ、3つ目がスキー産業とホテルや小売店などの周辺産業とのつながりが希薄であること。
1つ目のスキー・スノボ人口の正確な把握については、各スキー場でのカウント方法が、リフト券の販売枚数であったり駐車場の台数であったりとまちまちである現状を指摘している。
ここで、スキー・スノボ人口を正確に把握する目的は何だろう。
もちろん、現状把握のためにも、打った施策の効果を確認するためにも、指標とするデータは正確であるべきなのだが、スキー・スノボ人口をその指標とするのが適切なのかどうか。
スキー・スノボの普及度合いという、全体的でざっくりとした目的のための指標なら、正確に越したことはないにせよ、厳密な正確さを追求するものでも、必要とするものでもないのではないか。
とはいえさすがに、レジャー白書のアンケート調査結果からの推計値は、長期の傾向を見るならともかく、前年比の増減幅として見るには誤差が大きすぎるだろうとは思う。
統計学的には、サンプル数3000で調査して7%程度の回答比率だった場合に95%の確率で収まる誤差範囲は±1%程度だったと思うから、結果は「7%」でも誤差範囲としては「6~8%」、スキー・スノボ人口「700万人」という結果は「600~800万人」という範囲で考えなければならず、去年700万人で今年630万人だから10%減ったのかというと、実は、去年も今年も650万人だったかもしれないし、去年が630万人で今年が700万人に増えているのかもしれないことになる。
長野県・新潟県・岩手県などは、観光統計としてスキー場来場者数を調査し公表している。これはおそらく、スキー場へのアンケート調査結果の集計と思われる。そのスキー場が回答している数字のカウント方法が統一されておらず正確さに欠けるというのが、皆川氏の課題認識のもとだろう。
それでもレジャー白書の数字よりはよほど正確と思われ、この程度の正確さがあれば指標として十分なのではないだろうか。(全国の数字はないのだが)(続く)