引き続き、スポーツくじ関連のウェブサイトでのインタビュー記事「希代の名スキーヤーが第二の人生を“スキーの未来作り”に捧げた理由」から。
”日本では最大1,860万人いた競技人口は現在、700万人を割り込むほど、落ち込んでいる。”
これは皆川氏の発言ではなく記事執筆者のものだが、この数字を”競技人口”と呼ぶのはいただけない。
「しかも、700万弱の競技人口のうち、SAJ会員登録をしていただいているのは100分の1ほど。つまり、何か目的を持ってスキーをしている人がその程度しかいない」
これは皆川氏の発言として書かれているが、皆川氏が本当に”700万弱の競技人口”と言ったのだとしたら、いただけない。
「人口を増やして普及していく作業も大事だけど、現状の700万人のスキー競技者が自分たち(全日本スキー連盟)のプラットフォームに入ってもらうことがさらに大事。その方々に2回、3回とスキー場に足を運んでもらうこと。産業としては非常に可能性を持っているから」
レジャー人口である700万という数字を競技者と呼ばれると分かりにくいというのはさておくとしても、SAJ入会の重要性というのは、SAJの会費収入としてはそうだろうが、スキーヤー個人や産業全体にとってどう「大事」なのだろうか。
「中国は国策(2022年北京冬季オリンピック)としてスキー・スノーボードの競技人口3億人を目指している。」
だからこの3億人という数字は、スキー・スノボに限らない”ウインタースポーツ参加人口”、あるいは当初は”ウインタースポーツ関係者の数”という紹介もされていた、実態のよくわからない数字。正しい意味での競技人口でないのはもちろん、スキー・スノボのレジャー人口でもありません。
「日本は(競技人口が)1,860万人いた時代、最大700か所あったスキー場がオーバーフローしていました。現在、スキー場は約400か所で実際に稼働しているのは280か所くらいです。」
「約400か所」の方はゲレンデガイド本に432か所掲載されているから、ここからだとして、「280か所くらい」の出典は何なのか。「実際に稼働」しているかどうかの基準は何なのか。
観光庁資料に「スキーリゾート数(リフト5基以上)」として、日本は279となっていたが、これをして「実際に稼働しているのは280か所くらい」なのだとしたら、奥美濃の人気ゲレンデである高鷲スノーパークはゴンドラとクワッドリフト3基の計4基だから「実際に稼働して」ないことになるのか。リフト4基以下のスキー場に失礼極まりない。
しかもこの観光庁の資料の数字の出典がまたよくわからない。リフト5基以上のスキー場は140程度しかないはずだ。それこそ、休止・廃止済みのリフトや、休止・廃止済みのスキー場を含めても、リフト5基以上のスキー場は279もないのではないだろうか。
(続く)