スキー未来会議 #1 -2

(前回から続く)

 第1部では、雪マジを立ち上げた加藤氏が今後のインバウンドについて、

「オーストラリアの方がスキーをしに来ているというイメージが強いですが、全体の1.9パーセントほどです。実際は、中国や韓国、タイといった東・東南アジアの人たちが圧倒的に多い。雪が降らない地域の人たちに向けてさらにアプローチしていくことが大切です」

と発言されている。

 この1.9%という数字はおそらく、観光庁の訪日外国人消費動向調査などから算出される、日本全体の延べスキー客数の対する比率と思われる。(全スキー客の2%がオーストラリア人というのは、個人的には結構なものだと思う)

 「東・東南アジアの人たちが圧倒的に多い」というのは、実人数でいえばその通りで、第1回未来会議開催時点の最新である2015年の観光庁推計によると、豪州7.3万人に対して、中国・台湾・香港・タイの合計で36.5万人となっている。

 しかし、豪州からのスキー客はスキー場に平均1週間程度滞在するのに対し、東・東南アジアからのスキー客は、スキーだけの長期滞在客は少なく、観光の一つとして23日、あるいは日帰りで立ち寄るだけの人が多いと思われるので、実人数では豪州の5倍であっても延べ人数では2倍以内なのではないか。

 だとすると「圧倒的」は言い過ぎで、「雪が降らない地域の人たちに向けてさらにアプローチしていくことが大切」という主張へ誘導しようという意図を感じる。

 だが、圧倒的ではないにしても、データからは2013年か2014年には既に豪州人よりもアジア人の方が多くなっていることになり、個人的には意外。白馬や妙高に行けば、週末でも豪州からと思われる外国人を見かけることが多いが、アジア系は短期滞在なので週末を外して平日に滑っていることが多いということだろうか。

 「スキー場の数は適正か否か」というテーマでは、マックアースの一ノ本社長が 「日本は世界で2番目にスキー場が多い国です。スキー場の周りには地域があり、その人たちがスキー場に携わっている、1つのスキー場がなくなれば、その地域自体が無くなってしまう恐れがある。努力をして維持してくことが重要です」と、実に一ノ本氏らしい持論を展開されている。

 自らがスキー場の食堂・民宿で育った一ノ本氏は、一貫して「降雪中山間地域に不可欠な資源・産業としてのスキー場」を主張してこられている。

  「日本は世界で2番目にスキー場が多い国」は、気候的・人口規模的にも、アメリカに次ぐ2番目なのだろうなとは思う。しかし、スキー場の数というのは、日本には統計的なデータがほぼない。(続く)