スキー未来会議 #1 -3

(前回から続く)

 スキー場数の統計資料になりうるものとして、文部科学省が5~7年ごとに行っている「体育・スポーツ施設現況調査」というものがあるが、教育委員会へのアンケート調査ということからか、1980年調査で全国に769箇所、1985年調査では1669箇所、最新の2015年調査で718箇所と、一般的な「スキー場」の定義とはずいぶん違う尺度で集計されているように思う。

 学校の裏山の斜面にロープトゥを設置して授業で使っていたらそれも「スキー場」ということなのだと思うが、それにしても、1985年調査で「学校」所有は30箇所にすぎず、「公共」914箇所、「民間・営利」644箇所の内実はよくわからない。

 日本自由時間スポーツ研究所というところが、1982年から2006年のスキー場数を出しており、それによるとピークは2001年の723箇所で、2006年で696箇所となっているが、これでもまだ実際の営業数よりは多いと思われる。おそらく、自治体への届け出数などを基に集計したのだと思われ、営業数ではなく休止中(実質は廃止だが原状回復義務があるため届出上は休止になっているものが多い)も含めた数になっているからだろう。

 実感としては、網羅型ゲレンデガイド(書誌・ウェブサイト)の掲載数が正確だと思う。だとすると、ピークで700弱、現在は450前後となる(志賀高原をいくつで数えるかによってだけで20近く変わる)。

 なお、ゲレンデガイドには、チェアリフトがなくロープトゥだけのスキー場も一部含まれているかもしれないが、多くは掲載されていない。ロープトゥだけのスキー場は現在も北海道・東北を中心に100箇所以上あるため、これを加えると550箇所以上になると思われる。

 諸外国のスキー場数というのも、各国のウェブサイトを調べれば何かしらの数字は出てくるのだと思うが、一ノ本氏が何を根拠にしたのかは分からない。観光業界にはそういう調査報告結果があるのだろう。

 近いところでは、「スノーリゾート地域の活性化推進会議」の第4回会議(2018年6月1日)で、観光庁が参考資料として提示した「海外スキー市場に関するデータ整理」に、海外資料からの引用で、国別のリフトが5基以上あるスキー場数データが紹介されている。

 それによると、一番多いのはアメリカで356箇所で、次いで日本の279箇所、フランス234箇所、イタリア216箇所、オーストリア198箇所、スイス89箇所、中国84箇所となっている。

 しかしこのデータがまたあやしい。国内のスキー場数450箇所前後のうちの6割がリフト5基以上であるわけがない。

 ゲレンデガイドのデータからは、日本では営業リフト数1基のスキー場が約100箇所、2基のスキー場が約80箇所あり、これだけで残りは約270箇所となる。5基以上のスキー場は、志賀高原を1つで数えると140箇所程度しかないはずである。(続く)