米国ではリフト1日券2万円?

 今シーズンがどうだったかはまだ聞こえてきませんが、米国では昨シーズンのスキー客数が過去最高を更新したとのことです。リベンジ消費強し。

 米国のスキー場では設備投資が活発ですが、リフト券の値上がりも激しいです。米国の全般的な物価・賃金上昇の影響も大きいですが、競争力の弱いスキー場の淘汰(1990年から2010年頃にかけてスキー場数が大きく減った)、残った大型スキー場の大手資本によるグループ化が進んだことも、リフト券価格大幅上昇の要因だと思われます。

 リフト1日券は、10年前くらいは70~80ドルとかで、当時の1ドル80円なら日本とそこまで大きな差はなかったことになりますが、今ではトップリゾートだと1日券150ドル(現在の為替レートだと約2万円)ととんでもないことになっています。

 しかしシーズン券は大手グループの共通シーズン券でも(早割だと?)1000ドルもしないようで、10回行かずともモトが取れるようです。何なら1週間の滞在でもシーズン券の方が安いかもしれません。(当日1日券が高いからであり、1日当たり5000円以下にするには30回近く行く必要がありますが)

 ということから、延べ利用者の過半数がシーズン券利用者だそうです。消費者にとってそれがいいことかどうかは微妙なところですが、いかにも経済効率重視の米国的です。

 日本には全米スキー場協会のような業界団体がないこともあって、こういった「シーズン券利用者比率」といったデータはなくて比較できませんが、半数なんて遠く及ばないだろうと思います。

 スキー・スノボ人口(その年に1回でも滑った人)に対する比率では、シーズン券保有者は数%程度ではないでしょうか。シーズン券保有者が10万人もいるようには思われず、コロナ前のスキー・スノボ人口は各種統計調査からの推計で500~600万人ですから、10万人いても2%以下です。

 だとすると、保有者は非保有者よりも5倍行ってるとしても(非保有者の平均が2,3回として保有者が10~15回)、延べ人数でも1割に満たない程度です。(索道乗車回数だとさらに倍で2割近いかもしれませんが)

 日本ではアメリカほどには大手資本グループへの集約は進まないだろうと思われますが、地元が支えるローカルゲレンデと外国人比率の高いリゾートゲレンデ、そしてその中間の中規模スキー場とに分かれ、リゾートと中規模とが資本関係は持たずとも提携という形でいくつかのグループを形成するということはあるかもしれません。

 日本スキー場開発やマックアースは提携先を広げています。スキー場開発は東急や西武との共通早割券も出すようになりましたし、中期経営計画で提携の拡大を打ち出しています。

 資本系列を超えた共通シーズン券となると、今あるのは参加スキー場がこの2年で大幅に減少したスノーリゾートクラブ(旧JTB)くらいですが、シーズン券連合のスノーバーズクラブというのもありますし、限定回数券連合のアースホッパー(参加スキー場数では最多)という新興勢もいて、こうした動きがもっと広がれば面白いのにと思います。