これからのリフト料金

 私の調べでは、リフト1日券の当日通常価格の平均は2001年頃に一旦ピークを付け、そこから値下がりするも2005年頃には下げ止まり、底這いからジワジワ上昇に転じるも税抜価格が2001年を超えるのは2015年頃です。

 ここ数年は訪日客需要と設備更新のための資金確保の必要性から、北海道のリゾートスキー場や大手人気有名スキー場を中心に大幅な値上げが相次いでいますが、安いままのところと高いところの二極分化が進んでおり、幅広く平均を取ると税抜きでの過去20年の値上げ率は6%程度です。

 実際には、1997年のレジャー白書ですでに「リフト券のパック商品化(往復交通費、宿泊、昼食等のセット)で実質値下げが進み」と書かれているように、当日通常価格平均がピークアウトするよりも早く、スキー場(索道会社)の手取り(リフト1日券の客単価)は大きく下がっていたようです。

 冬期(12~3月)の索道収入を輸送人員数で割った1乗車あたりの単価を計算すると、1997年度の220円をピークに下がりだし、2011年度を底に190円未満の2003~2014年度は底這い期と言え、近年ようやく200円台を取り戻しつつあるといったところなので、まだデフレを脱し切れていないとも言えます。(子供料金の低価格化や、客層がライトユーザーとヘビーユーザーに二極分化してシーズン券比率が高くなっているとかいうことも要因としてあるかもしれません)

 ツアー商品でなくても、リフト1日券の当日通常価格に数百円プラスするだけで千円分の昼食券が付いてくるといったパック券が、店頭チラシに住所・氏名を記入して持参したり、後にはコンビニで買えたりというのも、90年代後半に登場し普及したものと思いますが、早割券の普及はそれよりも遅く、00年代半ばか、普及ということでは2010年代になってからだったかもしれません。

 割引の大きいところでは当日価格より4割以上安い値段で売られていて、「早く買うというだけでそんなに安くしていいの?」とも思います。スキー場からすると、シーズン前に売上を確保できるのは大きいということもあるでしょうが、だからといって4割引が割に合うとはとても思えません。

 これも実質値下げであり、それもあってここ数年は、通常価格は据置きでも早割だけ値上げとか、通常価格よりも早割の値上げ幅が大きいとかのスキー場も増えています。(半日券・短時間券やシニア料金の値上げなど、全体的に割引は縮小傾向にあります)

 スキー場は装置産業であり、大混雑でもガラガラでもランニングコストは大きく変わりません。だから「安くでもとにかく来てもらう」というのは経営的に正しいのですが、人気スキー場の週末の混雑は、バブル期とは比べ物にならないものの、かなりひどいときもあります。

 ディズニーランドも新幹線特急料金も「繁忙期は高く、閑散期は安く」の変動幅が大きくなっていますが、スキー場でも、グランデコが今シーズンは時期によって4200円から5600円までの200円刻みの料金体系になります。

 リフト券は今後、大手人気有名スキー場を中心に、「ICリフトカードを返却(廃棄)せずに次からはスマホからチャージ(することで割引)」が増えるでしょうし(どこのスキー場でも同じ1枚のICリフトカードにチャージできるようになればさらに便利)、グランデコのように細分化しつつ価格幅を広げるところが増えるのではないかと思われます。

 早割がなくなることはないでしょうが、割引額は小さくなっていくのではないかと思いますし、チケットの電子化が進む(紙ではなく窓口でスマホからQRコードを提示してキャッシュレスで購入する)ことで、「平日のみ」や「2月は使用不可」といった制限をつけたり、それによって値段を変えたりということもやりやすくなるため、「早く買いさえすれば一律に大幅に安い」ということはなくなっていくのかもしれません。