皆川氏の発言に思う -2

NumberWebの「NSBC補講Ⅳ 皆川賢太郎のスキー革命論」の2018/11/29「一年じゅうスキーができる国をつくる。皆川賢太郎が考える屋内施設の価値」より。

  「インドア施設といえばザウスを思い出される方も多いと思います。長さ500m、幅100mのゲレンデでしたが、仮に3000人が同じ時間帯に入館すると、人が密集しすぎてほとんど滑ることができませんでした。」「今、800万人弱のスキー、スノーボード人口が存在しますが、このなかの10%……80万人、なかでもコアと呼ばれる8万人の方々が「夏も滑りたい」と希望したと仮定しましょう。すると、インドア施設1つではオーバーフローしてしまい、ユーザーの方々の需要には完全に応えることができません。」

 屋内施設で同じ時間帯に3000人はさばけないのは分かるが、それと「8万人が夏も滑りたいと希望するとオーバーフローする」がどうつながるのかが分からない。そう仮定する計算上の前提条件がほしい。8万人が年間(実質は屋外スキー場がオフシーズンの半年に)10回以上来場して、ザウスのピーク時並みになるという想定だろうか(ザウスはピーク時で年100万人)。

 レジャー白書の直近2年のデータではスキー・スノボ人口は600万人前後なので、スキー・スノボ人口が800万人という仮定も怪しくなりつつあるが、スキー場に行っている人が全国に800万人いるとしても、スキードームの建設地の商圏にいるスキー・スノボ人口はどれだけなのか。その1%となると、対象人数は8万人の何分の一かになる。

 もちろん、1%ではなく3%が滑りに来れば3倍になるわけで、何人が平均何回来るかは、ある程度の規模のアンケート調査でもしなければ当てずっぽうの数字にしかならないのだが、ザウスが70万~100万人だったのなら、これから作ってそれだけ来ると考えるのは楽観的すぎるだろう。

 ザウス終了時からみても、現在のスキー人口や索道輸送人員数は半減している。GALAのように一旦はピーク時の半分になったがその後8割程度まで持ち直しているところや、奥伊吹のようにここ数年は毎年のように過去最高を更新しているところもあり、バブル期に比べてアクセスのよさがより強い武器になっているのは間違いなさそうだが、夏場の屋内ゲレンデの利用動向は未知数すぎるだろう。

 その状況で「スキー産業活性化にインドア施設が必要。それも1つじゃ足りない」と言われても…。それともマーケティング済みなのだろうか。

 (続く)