スキー未来会議 #1 -5

(前回から続く)

 「スキー場の数は適正か否か」というテーマ設定がかなり乱暴な感じがするが、バブル期比較での市場縮小を嘆くばかりの業界に一石を投じるためのものなのだろう。

 縮小しはじめてかれこれ20年以上。市場経済原理が機能していれば、淘汰が終わって適正規模に落ち着いているはずだろう。実際のところ、スキー場休止のピークは2000年から2010年であり、その時期は毎年2桁休止していたのが2010年代は年間5箇所前後に減っている。

 15/16シーズン、16/17シーズンと2年続けて1月中旬までまとまった雪が降らなかったことから、16/17シーズン限りでリフト営業休止のスキー場は8箇所と多かったし、公営のローカルスキー場は町村合併の影響もあり(1市町村に赤字スキー場が1つならまだしも、合併して1市町村に赤字スキー場が複数あるとなると合理化対象にされやすい)、まだ減るだろう。

 生産年齢人口が年1%近く減っていってるのだから、放っておけばスキー場数も年1%近く=年4箇所ずつは減っていっておかしくない、あるいは減っていかなくてはおかしいともいえるわけで、そういう意味では、スキー場が年平均4つ程度減るというのは、市場原理が適切に働き「生産年齢人口当たりのスキー場数」は適正水準にあるといえるのかもしれない。

 第2部「エンターテイメントとしてのスキーの未来を語ろう」の『ランニングからブームの現状を参考に考えるスキー』では、マラソン大会エントリーサイト運営の金城氏が、「ランニングは現在ブームになっており、全国各地で様々なレースが開催されていますが、大会のために練習をしていても、一般の道は信号待ちなどがあり、ランナーは不満を持っています。しかし、スキーはそこにいけば、ワールドカップと同じコースを滑れるし、思う存分スキーができる。インフラとしては、恵まれていて、ビジネスチャンスはこれからもあると思います」と発言している。

 これはずいぶんと誤解されている。スキーを全くしたことがないのだろうか。

 スキーだってコースセパレートしなければ思う存分など滑れない。人の多いコースをレジャーで滑るというのは、マラソンのオリンピックコースの脇の歩道をジョギングするのと大差ないと思う。また、ワールドカップと同じコースを滑れることがどうビジネスチャンスにつながるのかもイメージできない。

 『スキーとテレビの今後』については、発言内容が見当たらなかった。

 全体に、自論の補強のために誘導的なデータの出し方をしたり、異業種の専門家の意見を聞く場とはいえ誤解が見られたり(スキー産業にポジティブな意見をしようと忖度されたのかもしれないが)と、興味深くはあるが鵜呑みにするのは危険な内容であるように感じた。

 まあ、このデータや議論に基づいて政策決定する場でもなく、ただの意見交換会なのだからと言ってしまえばそれまでなのだが。