スキー場の休止・廃止

 00年代が毎年2桁の休廃止だったことを思えば、10年代になって休廃止は減っている。ARAIの復活や峰山高原の新設、ロープトゥだけだったのをチェアリフトを新設したところもあるが、スキー場の数は着々と確実に減っている。

 18/19シーズン限りで群馬の大穴スキー場は廃止、北海道のかもい岳スキー場と鳥取の奥大山スキー場は休止、新潟のわかぶな高原スキー場は営業困難見通しとのこと。

 かもい岳は、2007年から、地元のジュニアアルペンチームの代表が設立した会社が指定管理者となって運営してきたが、そこが契約を更新せず、他に応募者もなかったため休止とのこと。他に出てくれば再開するのだろうけど、地元のジュニアアルペンチームの代表が諦めのでは、もうムリなんではないかと。

 奥大山も指定管理者を募集したが応募がなく、自治体は廃止の意向を町民に伝えているという。県内外約1600名の存続を求める署名が提出されたというが、税金を投入することになるのなら地元の要望・了承が必要だろう。いいづなリゾートのように地元有志で指定管理者団体を設立するくらいでないと存続は難しいと思われる。

 わかぶな高原スキー場は、1987年のオープンから経営していた企業が2004年に撤退した後は㈱わかぶな高原が運営しているが赤字続きで、同社が運営を始めてからの14年間で計5億8千万円を村が支出、その財政支援の打ち切りを村が決定したことでこのままでは今後の営業は困難とみられているとのこと。運営会社は存続を模索しているというし、村としても参入企業が現れれば前向きに検討したいというが、すでに支払いが一部滞っているらしく、このまま廃止となる可能性が高そうだ。

 大穴スキー場は施設の老朽化や入り込み客数の減少が主な原因での廃止とのこと。

 18/19シーズン、あららぎ高原スキー場とルーデンス湯沢スキー場は初めから宣言しての休止だったが、チャオ御岳スキー場は予定外の休止だった。

 ルーデンス湯沢は「全館メンテナンスのため」ということなので、それが本当なら再開しそうだが、あららぎ高原は「来シーズン以降の営業再開も厳しい見通しで、事業承継者も探している」とのこと。17/18シーズンにマックアースと提携したところだったが、動くのが遅すぎたか。買い手が現れるには立地も規模も厳しく、17/18シーズンの営業を最後に実質廃業となりそう。

 チャオ御岳の休止理由は、表向きは「2018年秋の豪雨の影響」となっていたが、チャオ御岳の運営会社(第3セクターである飛騨森林都市企画)の株を18年5月にマックアースから買って、新たに実質オーナーとなった企業の事業への見通しや運営の甘さが本当の原因のように感じる。

 夏営業の宣伝は積極的だったし、早割券も売り出して例年通りの営業を予告していたが、予定の12/1は雪不足でオープンできないのはともかく、12/10になって冬営業の延期を告知。その後、スキー場の営業がされることはなく、ホームページはほぼ更新されないままで情報発信もなく、今年の夏営業もなかった。この調子だと次の買い手が現れない限り休止が続きかねない。

 そうなると、17/18シーズンが最後となるのが、いいやま北竜温泉ファミリー(長野)、しらお(岐阜)、スキーパーク寒曳(広島)、子安温泉(秋田)、あららぎ高原(長野)の5つ、18/19シーズンが最後となるのも、大穴、奥大山、かもい岳にわかぶな高原とチャオ御岳も加わると5つということになる。

 今後の予定として分かっているところでは、白川郷平瀬温泉白弓スキー場(岐阜)がリフト更新をせずに2020年度で閉鎖する方針、飯綱高原スキー場も2020年に民営化が決まらなければ閉鎖の方針とのこと。

 ニセコワイスのように、ニセコ花園スキー場を所有している外資企業が買収して、花園との連絡リフトを設置して再開を目指しているところもあるが、これはARAIの再開同様、稀なケースだろう。毎年5個程度のスキー場が実質廃止となる流れは、今後も続くと思われる。