さのさかのホテル

 早割券も出していたのに、「十分なコロナ対策及び運営内容の見直しが困難」という理由で、今さら急に今シーズンの休止を発表した白馬さのさか。

 ホームページには「ホテルの開業も含め多くのお客様にご期待いただいた中」とあるが、ホテルについては知らなかったので、調べてみた。

 運営会社であるブルーリゾートのホームページを見ると、「ブルーリゾート白馬さのさか」の下に「ロイヤルブルーリゾートホテル青木湖(現在改装中)」という表記があった。

 このホテル名で検索すると、ローカル求人サイトの過去情報がヒットし、そこには「長野県大町市平23370」という住所があった。

 この住所で検索すると「中京大学青木湖セミナーハウスレイクビュー白馬」がヒットして、地図検索するとさのさかの奥のゲレンデのベースの方が表示された。そして「中京大学青木湖セミナーハウスレイクビュー白馬」のFacebookは2017年で更新が止まっていた。

 おそらく、もともと「レイクビュー白馬」というホテルだったのを中京大学が買うか借りるかして、それをブルーリゾートが買ってホテルとして再開しようとしているということだろう。

 冬場の青木湖側からのアクセスは良いとはいえず、そこにリゾートホテルとなると、外国人観光客の長期滞在を狙っていたのだろうか。だとしたらホテルの開業延期は春の時点で決まっていてもおかしくないが、比較的最近まで求人を出していたのなら、外国人客なしでもホテルもオープンするつもりだったのか。

 良く言えば静かで落ち着いた場所だから、何をするわけでもなくゆっくり過ごしたい人にはいいかもしれない。冬よりむしろ夏向きか。

 しかし冬に白馬に来る人は外国人も基本的にスキーメインだろうし、八方でも栂池でもなくさのさかをメインに何日も滑るということはないだろう。シャトルバスがホテルまでくるようにするか、シャトルバスへのアクセスをホテルが用意しないといけないだろうし、そうしたとしてもゲレンデへのアクセスの悪さは否めない。

 ブルーリゾートは、去年2月に「ブルーリゾート ヤナバ」を設立しているが、「現在準備中」のまま音沙汰がない。ヤナバをどう収益化するのか興味があったが、想定以上の雪不足に想定外のコロナ禍で計画の大幅修正を余儀なくされていることは想像に難くない。

 ヤナバのスキー場としての営業は相当厳しいはず。平年並みなら年末から春分までくらいは営業できるだろうし、降雪機を入れればちょっとくらいの暖冬でもそれなりに営業できるだろうけど、何かしらの特色を持たせないと、安曇野ICからの距離が鹿島槍よりも数km近いというだけで来るお客さんは少ないだろう。5年前の雪不足がトドメになったとはいえ、そのずっと前から経営は厳しかったわけで。

 だからホテルもヤナバも当然、通年営業が前提だろう。コロナ禍はアウトドア産業にはむしろ追い風でもあるし、冬のホテルは外国人頼みとしてもそんなのは1~2か月だけのこと。冬以外も、1年を通じて来てもらえる何かがないと営業は成り立たないのは承知の上で運営に乗り出しているはずだし、コロナで目算が狂ったとしても、もともとの作戦はあるはず。

 チャオ御岳のようにならないよう、腰を据えた再生の形をみせてくれることを期待したい。