スキー場関連のクラファン _3(木曽福島スキー場)

 木曽福島スキー場が、去年の12月から今年2月まで、ゲレンデ中腹にあるレストランにデッキテラスを作るために、目標金額100万円で募集していた。

 ここも目標未達でも成立するタイプで、「建設の資金の一部として利用させていただきます」とあるように、少しでも資金援助してもらえたらというのと、話題づくりやファンづくりという側面も大きいのかもしれない。結果、148人から約117万円集まって、目標達成。

 リターンは、夏のBBQは購入型だが、他は寄付型が中心で、通常は有償提供しないオリジナル特典ばかり。おトク感よりもプライスレスな特別感で勝負という感じ。

 1000円でステッカー1枚(支援者17人)、2000円でステッカー2枚(39人)は寄付型。5000円でスノーモービル同乗体験(2人)は、通常営業でそういうアクティビティを提供しているわけではなく、「事前予約必要・スキー場営業時間前に限る」ということなので、業務用のスノーモービルに乗せてもらって営業前のゲレンデを走るというもののようで、ある意味ではオリジナル特典。5000円はもうひとつ、圧雪車同乗体験(7人)というのもあり、これはまさにプライスレスなオリジナル特典。

 BBQは、通常2人分6000円相当を5000円(29人)、4人分1.2万円相当を1万円(30人)の購入型。6500円で復刻版スタッフキャップ(7人)というのは、3割購入・7割寄付のオリジナル特典か。1万円で季節のお土産2人前(春:山菜、夏:開田高原のとうもろこし、秋:きのこ、冬:漬物)(34人)は、2人前の量にもよるが、原価的にはやはり購入3割くらいなのか。

 2万円でシーズン中道具預かり(2人)は、「お預かりいただいている間、道具のメンテナンスもいたします」ということで、毎回ホットワックスしてもらえるならシーズン券保有者には悪くないかもしれない。

 最高額の10万円は、営業開始15分前にリフトに乗ることができる永久ファストパス券で、支援者が1人いる。「ご来場日前日に木曽福島スキー場まで、お電話でのご連絡をお願いいたします」なので、その人のために準備するということだろう。プライスレスなオリジナル特典ともいえるし、太っ腹な名誉型寄付ともいえる。

 このプロジェクトの実質オーナーは、現在木曽福島スキー場を運営している㈱nationで、社長さんが顔出しでPRしているが、この人がスキー場を運営するようになった経緯がよくわからない。

 木曽福島スキー場は去年まで運営はアスモグループ㈱に委託されていた。アスモは、きそふくしまスキー場(今の運営会社になって漢字表記になった)、開田高原マイアスキー場、御岳ロープウェイの運営会社を合併して作られた会社。

 しかし御嶽山噴火以降は年1億円前後の赤字続きで木曽町からの補填で存続しており、将来的に持続可能でないのは明らか。

 危機感を感じた地元有志が昨年2月に「きそふくしまスキー場を発展させる会」を発足、3月にはスキー場存続の嘆願書、6月にはきそふくしまスキー場の指定管理者をアスモから切り離す要望書を町に提出している。

 町の「スキー場等あり方検討委員会」では、マイアに比べてきそふくしまが冷遇されているのではないかとの質問が多かったが、これはアスモの社長がマイアの前の運営会社(第3セクター)の社長だからだろう。

 ちなみにアスモの社長は、アメリカでリゾート開発を学んだスキー教師であり、マイア設立に関わった清水建設で多くのスキー場開発を手掛けており、ノルン水上や伊那スキーリゾートなど8スキー場の運営に関わっている㈱クロスプロジェクトグループの会長であり、マイアのスキースクールの校長でもあるという、この業界の有名人のよう。

 長野県、旧・開田村清水建設によって作られたマイアより、アクセスが良くファミリー向けで学校利用されているきそふくしまの方が地元の思い入れが強いのだろう。アスモから離れての存続を目指して、新たな指定管理者としてつくられたのが㈱nationのようなのだが、その社長は浜松の人。

 ㈱nationの社長は、浜松(磐田)で自動車・二輪車用パーツ用FRP(繊維強化プラスチック)の加工会社を営んでいるのだが、王滝村スリランカカレー屋も始めている(浜松の人気カレー屋のフランチャイズ木曽福島スキー場のレストランでも監修したカレーを提供し、長野県内スキー場のゲレ食バトルで準優勝している)。ユーチューブでポールボードの紹介もしている。

 おんたけ2240スキー場の指定管理者の親会社の㈱アンカーの社長がポールボードの開発者で、おんたけ2240でポールボードを猛プッシュしているので、ポールボード繋がりで王滝村まちおこしとしてカレー屋を出すことになり、そのツテできそふくしまの指定管理者を買って出ることになったのだろうか。

 FRP加工会社名で、去年の浜松のビジネスマッチングフェアにポールボードを出展しており、もしかすると製造に関わっているのかもしれない。

 そういえば、チャオ復活プロジェクトの発起人も、おんたけ2240でポールボードスクールの代表やってる人だった。今のおんたけ2240の支配人は元チャオの支配人だし、何かいろいろと繋がっているような…。

 木曽福島スキー場のデッキテラスは、既に着工している。

 地元有志による運営、ゲレンデ中腹のレストランの改修、グリーンシーズン営業の開始、と、かつてのいいづなリゾートスキー場のクラウドファンディングと状況が似ているようでもあり、いいづなは休止レストランの復活に対して、木曽福島は現役レストランへのテラス設置、いいづなは直後に運営会社変更に対して、木曽福島は運営会社変更直後の実施、と正反対でもある。

 グリーンシーズン営業の開始はコロナ禍で出鼻を挫かれた格好だが、存続(可能な程度への赤字縮小、できれば黒字化)を目指して頑張ってほしい。