営業長期間化

 ラニーニャによる低温への期待で始まった2020/21シーズンだったが、1月中旬まで平年並みだっただけで(ここ数年のなかではそれでもずいぶん良かった方だが)、1月下旬以降は昨年をも上回るような高温が4月初旬まで続いた。

 12月中にまとまった降雪があったことでスキー場の営業開始は平年並み、2月・3月の高温で営業終了は早めのところが多かった一方で、4月以降はまた平年並みになったことで、その時点でそこそこ雪の残っていた高標高域や豪雪地域の営業期間は平年並みか長めとなった。

 おんたけ2240は予定を1週間延長して4/25まで営業、開田マイアは宣言通りGW営業を実現(最終日は悪天候により休止で5/4まで)、八方は4日延長して5/9まで、野沢は予定通り5/9まで、ARAIと熊の湯は最終日悪天候休止で5/15まで、横手山は予定通り5/16まで、かぐらは予定通り5/23まで、6/6予定(!)の渋峠は5/30まで、など。

 御嶽エリアでチャオの穴を埋めるようにマイアがGW営業に乗り出し、横手山は降雪機を導入して開始を11/14に前倒しするばかりかGW以降の営業に乗り出し、渋峠は6月営業目標を打ち出してゲレンデの延命に努めるなど、条件に恵まれたスキー場による営業長期間化の動きがみられる。

 ウイングヒルズ白鳥のように、頑張って4月営業しても滑走エリアの違いで高鷲スノーパークに客が流れるし、それだったら夏営業に力を入れた方がいいということで4月の延命営業に力を入れなくなったところもあるが、いくら設備投資と現場の頑張りで補っても、そもそもの地の利には抗えないのは仕方ない。逆に、地の利があるスキー場では、集客の通年化とともに、「雪で滑れる」ことの希少的価値が注目されているよう。

 実際、11月の人工雪ゲレンデ同様、GW後の営業ゲレンデはどこも賑わっているよう。11月は雪を作るのにコストがかかるように、5月は貯めておいた雪を運んで、営業時間中に薄くなった箇所に雪入れしてという維持管理にコストがかかってそうだが、採算は取れているのだろう。

 1970年代や80年代と比べると、降雪量は減り、冬の気温は高くなっているが、テクノロジーの進化と現場のノウハウの蓄積・運営会社の経営努力によって、10,11月と5月に滑れるようになって営業期間が延びているのはいいこと。

 とはいえやはり、普通に雪が降り(11月下旬~12月初旬に山にまとまった降雪があってオープンし、12月中旬の降雪で大部分可、クリスマス寒波か正月寒波で全面可)、シーズンを通じて平年並みの気温で推移してくれないと困る。

 そういった「普通」のシーズンはもう6年も訪れていない。来シーズンこそは、7年ぶりの「普通」を望む。