スノーボードは雪の上を滑り、スキーは雪の中を進む

 ここ何年か、パウダー、特に軽くて底付きしない深雪を滑る機会なんてほとんどなかったのだが、今年は何回かチャンスがあった。面ツルに飛び込むようなタイミングではなかったが、それでも膝まで埋まってもそのまま進んでいくような雪を滑るのは楽しいものだ。

 以前、北海道へ向かう時の機内誌にあった、大雪山でガイドをしてる人のインタビュー記事で、「スノーボードは雪の上を滑り、スキーは雪の中を進む」といった言葉が紹介されていて、とても納得したし、すごく、今も心に残っている。

 面ツルに飛び込んで、深く沈んで下半身が雪に入っていき、そこから押し上げられて雪の上に飛び出す感覚というのは、極太板やスノーボードよりも、細めのスキー板でこそ強く味わえるものだろう。

 もちろんそのぶん、つんのめったり、後傾になって板を振り回す羽目になったり(雪の中で振り回せずに止まったり、こけたり、立ち上がるのに苦労したり)しやすいわけだが。

 ある程度細い板の方が、雪の中に潜って浮上するダイナミックな深い上下ストローク運動が気持ちよく、極太板やスノボは、軽い雪の上に乗って、その柔らかさを広い面全体で感じる気持ちよさがあるのだろうと思う(想像)。 

 前後のバランスの取りやすさでいえば、足裏の長さの範囲で調整するスキーよりも、ナチュラルに開いた左右の脚の間隔の範囲で調整するスノーボードの方が簡単そうで、深雪のときとか、ストップスノーの緩斜面で板を走らせたいときとかは「スノボいいなあ」と思ってしまう。

 以前、毎年北海道に滑りに行ってた時は、センター幅80㎜の(当時の自分にとっては)セミファットの板を使っていたが、結局滑りの大半は圧雪の整地ということもあり、近年は、プレート付きでずっしり重い小回りデモ板と、R15のオールマイティな感じの板の2本で滑っている。

 しかし今年、軽い深雪に複数回遭遇したことで、底付きなしの面ツルバーンでも粗踏みされた柔らか深雪でも思い切って飛び込みやすそうで、しかもラクで疲れなさそうな(想像・期待)、太めの板がほしくなった。

 かといって、バックカントリーするわけではなく、やはり大半は圧雪整地なので、パウダーに特化したような極太板は、2本持ちだとしてもリスクが高い。

 朝のうちは太板で滑って、踏み荒らされたらデモ板で滑るために、2本ともゲレンデに持っていったり、車や宿に戻って板を換えるだとかの手間はかけたくないので、1本でどこでもそこそこ楽しめるオールマウンテン板がいい。

 ということで、センター幅90~100㎜くらいで、メタルだかカーボンだかの補強材が入っててカービングもそこそこ気持ちよさそうな板を物色中。

 2本持ちならもうちょっと太くてもいいのかなとも思うが、100㎜を超えると軽量化重視が強くなって補強剤入りは少なそうだし、板そのものの値段も高ければ、ビンディングの種類も減って安いのがなくなる。

 しかしフリースタイルの板って、メーカーも種類も多くないか。アルペンの板は長年の競争とレース実績によるブランドである程度数が絞られているが、フリースタイルは専門ブランドだけでなく、アルペン板ブランドも出しているから、種類が多い。

 まあ、安くで買おうとなると、結局は有名どころになるのだけど。

 それでも、デモ板に比べると生産数が少ないのか、大幅値引き品は少ない。

 じっくりと物色を続けることになりそうだ。