スキーの春夏秋冬

 「春スキー」という言葉は一般的に使われるかと思います。春になり、降雪がなくなったあとの残雪を滑るスキーを指します。

 「夏スキー」という言葉も一部では使われているかと思います。一般的にはピスラボなどでのサマーゲレンデを指すでしょうが、6月以降に月山で滑るのも、季節的にもう春スキーではなく夏スキーと言うべきものかと思います。

 となると夏に乗鞍の雪渓で滑るのも夏スキーですが、リフトどころかロープトゥもないただの雪渓を滑るのは「山スキー」であってまた別ものかもしれません。

 それで言うと、クリスマス頃から2月にかけてのいわゆるハイシーズンは「冬スキー」ということになり、であれば、10月から天然雪で滑れるようになるまでの期間にICS(造雪機)や降雪機の雪で滑るのは「秋スキー」と区分されることになるかと思われます。

 スキー場オープンから「大部分滑走可」となるまでの間を「初スキー料金」などとして、ハイシーズン(冬スキー期間)よりも割り引くスキー場があります。同様に3月中旬以降などに「春スキー料金」として割り引くスキー場があります。

 初スキー期間は滑走エリアが狭いことに対する割引という合理性があり、春スキーにもその一面はありますが、全面滑走可でも割引を開始するところもあります。

 これは、お客さんが減るから需要喚起のための値引きとも考えられますが、どちらかというと「近隣のライバルがそうしているから」という競争上の理由が大きそうです。

 その場合、話し合ってやめたらカルテルですが、一番人気のところが思い切ってやめたらみんなやめることにもなりそうです。

 閑散期だから安くするというのは、繁忙期にキャパオーバーとなっているなら需要の平準化という点で有効でしょうが、需要不足が基本的な状態の場合はただの売上減になります。

 そんな閑散期でも来るお客さんのうち、値段が安いからという理由で来る人、割引がなければ来ないという人の割合はどれほどでしょうか。スキーに関しては、割引がなくても滑りたくて来る人が圧倒的多数かと思われます。それを見透かされて春料金がなくならないことを願うばかりです。

 春スキーも終盤になって、雪出し・雪寄せをして営業期間の延伸に努力されているスキー場などは、消費者としてはありがたいことですが、ハイシーズンよりも手間がかかっているのに料金は安いとなると経営的にはどうなんだろうと思ったりもします。

 ウイングヒルズ白鳥は、以前は4月中旬までギリギリの努力をして営業期間を伸ばしていましたが、やめてしまいました。グリーンシーズンのキャンプ場営業期間を長くしてそちらの準備に注力するということでもあるでしょうが、そうした「別の稼ぎ頭が見えてきたから」というだけではなく、合理的な経営判断でもあるのかと思います。

 ウイングヒルズはICS営業(秋スキー)も今年はやめてしまいます。鷲ヶ岳スキー場も数年前にやめており、設備に問題でもあって修繕や更新のお金は出せないということなのか、設備は元気だけど単に赤字だからやめるということなのかは分かりません。ウイングヒルズに関しては、電気代高騰のため今シーズンだけやらないという可能性もまだあります。

 横手山のように、高標高ゆえの低温を活かして降雪機稼働での11月上旬オープンを目指すというのは、ICSよりはコストが断然安いですし、渋峠での6月営業とあわせて「営業期間シーズン最長」をブランド化しようという点で経営上の意義もありそうですが、ICS営業にはどれだけの経営合理性があるのか。

 「秋スキー」期間のイエティや軽井沢プリンスの混雑はすごいですが、それはコース面積が狭いからであって、週末はともかく平日でも黒字なのかどうか。

 そんな状況下での菅平のICS参入ですが、「秋スキー」期間中はシーズン券を利用不可とするのはもちろん、1日券の販売はせずに半日券(9:00-12:30/11:30-15:00:4400円)だけでの営業とするようです。

 イエティでリフト営業開始からナイター終了まで滑り続けるような一部の人にはもちろん、多くの人にとって残念なことではありますが、かつてザウスがそういう営業だったように、キャパオーバーが見込まれる状況なのであれば収益の最大化という点で合理的な判断だと思います。週末に関しては特に、イエティや軽井沢プリンスが追従してもおかしくなさそうです。

 菅平のオープンは10/21(土)と発表されていますが、今年の「秋スキー」シーズンはおそらくイエティが10/20(金)に先陣を切り、そして菅平に続くのが、例年どおり11/3(金)かと思いきや11/1(水)のオープン予定を打ち出した軽井沢プリンス、そして非ICSの横手山が11/3予定を発表しましたが、実際にオープンできるかは気温次第となります。

 9月になっても真夏日どころか猛暑日が続き、3か月予報では10月・11月に平年より気温が低くなる確率は20%ということですが、「低い」か「平年並み」になる確率は50~60%あります。何とか平年並みで秋スキー、そして冬になってもらいたいものです。