菅平、ICSを導入して10/20前後のオープン目指す

 菅平高原が裏太郎ゲレンデのファミリーコースに人工造雪機(ICS:アイス・クラッシャー・システム)を導入し、9月中旬から造雪を始めて10/20前後のオープンを目指すと発表しました。

 当初のコース幅は15m弱とイエティなどと同様のヒモゲレンデですが、コースの標高差120mは、関東圏で11月上旬までにオープンするゲレンデ(ICS及び横手山)では最大となります。立地面ではイエティや軽井沢プリンスに劣りますが、この時期に滑りたがる人には大きなハンデにはならないでしょうから、それこそイエティや軽井沢プリンスと同等かそれ以上の人気・混雑が予想されます。

 12/8までを早期営業期間として、この期間はシーズン券不可で、営業時間は9時~15時、ただし混雑時は午前(9時~12時半)と午後(11時半~15時)の入替制(1日券を販売しないということ?)とする場合があるということです。経営判断として妥当と思われ、他に天然雪ゲレンデが続々とオープンするまでの休日は入替制になるのではないでしょうか。

 片道3hかけて3.5hしか滑れないとか、6h滑ろうと思ったら半日券を両方でおそらく1日券の1.6倍くらいの料金になるのは残念で、それなら9時-12時・13時-16時の2部制にして12時-13時にゲレンデ整備してくれてもよさそうです。(ザウスが思い出されます)

 かつて岐阜県奥美濃エリアには4つのICSゲレンデがあり、しかも鷲ヶ岳とウイングヒルズ白鳥はコース長1㎞前後、標高差200m前後と、イエティや軽井沢プリンスの2倍以上の規模のものでした。だからこそ続けられなくなったのかもしれませんが、コース長は500mそこそこですが標高差が140mあるホワイトピアたかすには何とか続けてほしいものです。

 設備費も運用コストも人工降雪機よりも相当に高いであろうICSを導入するのは、なかなかに思い切った経営判断だと思います。報道発表資料には

「冬の修学旅行は、催行時期が年々早まっている傾向にあり、例年予定通りにスキー場をオープンできるかどうかの判断が難しいことが多々ありました」

とあり、12月上旬のオープンを確実にしたいということもあるでしょうが、それだけなら気温の低い菅平なら、同じ予算で通常の人工降雪機を多数導入して滑走エリアを広くした方がよいようにも思います。

 トマムが、予定変更の難しい外国人観光客向けに、オープン予定時期に確実にオープンできるよう、北海道では珍しく人工降雪機を導入していますが、菅平もそれに近いと思われます。

 ただ、今回の対象ゲレンデは、上部は特にそれなりの中斜面であり、初心者の多い修学旅行生向けではありません。修学旅行の催行時期が早まっているといっても、2月下旬や3月だったのが1月や12月下旬が増えているということと思われ、修学旅行向けにはICSはほとんど関係ない、あるとしても最悪級の雪不足に備えた保険という位置づけになるのではないかと考えられます。

 報道発表資料には

「選手活動をされている方々は早く雪上トレーニングができる環境を探して、海外遠征に行くこともあります。早い時期に確実にオープンできることで団体や選手層の方々は安心してスケジュールが組めることができ、トレーニングを開始できます 」

ともありますが、こちらはさらにこじつけ感が強いように感じます。

 確かに皆川賢太郎氏はSAJの競技本部長時代に「年中滑れるスノードーム」はレジャーだけでなくトレーニングにも有用であると語っていましたが、10月下旬というとヨーロッパで大会が始まる時期であり、海外遠征に行くクラスの選手がその時期にトレーニングに使いたいと需要がどれほどあるのか。海外遠征をさておけば、早朝貸切営業をすればそれなりの需要はありそうですが。

 いろいろと副次的な目的を述べていますが、基本は、イエティや軽井沢プリンスの混雑を見て、あるいは横手山の様子を見て、菅平の気温(対象ゲレンデの標高1320~1440mはイエティとほぼ同じ)や立地なら採算が取れると考えたということでしょう。

 イエティは最速を譲らないでしょうから、菅平のこの「10/20前後のオープンを目指す」というフワッとした発表を受けて、10/13(金)と過去2番目に早そうな日付とするのか、最速タイでよしとして10/20(金)にするのか。

 いずれにしても10/20に2か所となると、2017年にイエティが10/7(これが最速)、狭山が10/21にオープンしたのを上回ることになり、菅平が10/21になったとしてもこの時期に屋外スキー場2か所というのは日本史上初ではないかと思われます。

 そうなると、10/21,22や28,29の週末の混雑がイエティと菅平でそれぞれどうなるか。菅平なら行こうという新規顧客はそう多くなさそうなので、総客数が大きく変わらないのなら、1か所が2か所になることでイエティのオープン週末の客数は半減、あるいは最初ということで菅平に流れてイエティは穴場になったりするのか。それとも例年ほど混雑しなさそうならと合計客数が増えたりするのか。

 軽井沢プリンスが例年どおり11/3オープンとすると、11/3-5の3連休のこの3か所の混雑はどうなるのか。さらにその翌週には横手山がオープンしているかもしれません。

 名古屋・大阪の人にとってはウイングヒルズのICS営業休止でシーズンオープンが2週間遅くなるという人が増えそうですが、首都圏の人にとっては10月下旬から11月上旬の選択肢が増え、混雑が緩和されて、喜ばしいシーズンになりそうです。