おんたけ2240、普通に戻る

 王滝村が存続に執念を燃やすおんたけ2240スキー場。マックアース撤退(指定管理契約満了で更新せず)後、スキー場運営は初めての会社が10年契約を結んで、「食べ放題・風呂入り放題のワンデーパスポート」「10回来たらシーズン券(シーズン券販売なし)」などの新機軸を打ち出して、昨シーズン営業した。

 そして2年目の今年は、食べ放題も10回でシーズン券もやめての営業となる。

 5000円で食べ放題付きだったワンデーパスポートは、2000円分の食券付きで5500円になり、食券・入浴なしの1日券も4000円で販売される。シーズン券も普通に販売される。

 4/21に行った時は、朝の食堂営業開始前に長蛇の列ができていた。昼はもちろん、営業終了時間まで食堂は賑わっていた。サービスとしてはよかったのだが、今年は2000円までにして、かつ500円値上げとは、全く採算が合わなかったのだろう。

 そもそも、一般的に食べ放題が成り立つのは、注文や配膳をセルフサービスにすることで、飲食業では通常は大きな割合を占める人件費を大きく減らせるから。しかしもともとゲレ食にホールスタッフはいない。食器返却までセルフサービスで、人件費を削る余地はない。

 前年は4600円だった1日券に+400円で食べ放題と入浴をつけ、どれだけ客が増えればそれでも黒字になると言う見通しだったのだろう。チャオを買ったのもスキー場は初めての会社だが、立地の悪条件をそんな簡単にカバーできるとなぜ思ったのだろう。

 客数は前年の3.8万人から26%減の2.8万人と、噴火直後のシーズンに次ぐ少なさだった。2年前が4.3万人、3年前が5.6万人、噴火をはさんで5年前が4.9万人、6年前が6.9万人だから、こんな大サービスで、しかもチャオ休止も追い風となるはずなのに、ここまで少なくなるのはちょっと分からない。

 今シーズンは通常の1日券が4000円で、ワンデーパスポートは「+1500円で2000円分の食事と風呂がつく」というパック券のような位置づけ。パック券と思えば一般的な設定か。1日券価格が2年前から600円下がっていて、客としてはありがたいが、収益性には不安が残る。

 昔の規模ならともかく、今の規模で4600円は高かったといえるのだが、それでも赤字だったわけで、やぶはらやきそふくしまより安い4000円にしたところで、どれだけ客が増えるものなのか。(他は野麦峠;4000円、チャオ(2年前);4000円、開田マイア;3900円)

 今シーズンはまたゴンドラを動かさないとのこと。ゴンドラがなくて滑れなくなるのはゴンドラ降り場からクワッド降り場までの十数mだけなので滑走エリアには影響ないし、ゴンドラで回す人もあまりいないのだが、輸送力低下で混雑期の朝一リフト待ちが長くなるし、山頂への所要時間は3倍以上になるし、厳寒期の快適性も低下する。それでも今の客数では、電気代と人件費を賄えないということか。

 それと、シーズンを通して水曜・木曜を休みにすると言う。昨シーズン、4/8以降、火水木休みにしたのが採算的にもよかったのだろうか。あるいは人手が足りず、働き方改革的にも週休2日がいいということになったのだろうか。アルコピアやモンデウスが2月以降は平日1日休みにしてるのも、もしかして人手の関係なのだろうか。

 おんたけも昔は規模が大きく集客力もあったが(最高で67万人というのは、当時の五竜鹿島槍妙高杉ノ原などに匹敵する)、客数減→規模縮小の負のスパイラルから抜け出せず、今や「ローカルゲレンデにしては規模大きめ」というポジション。

 安・近・短傾向が強い昨今、I.C.から遠い立地の悪さはいかんともしがたく、新・管理者は10年契約の1年目は新機軸を打ちだしたものの、1年で見切って通常営業に方向転換。「王滝ツーリズム」という会社名は、ただのスキー場運営ではなく、通年で王滝村を盛り上げようという意図のものと思われるが、これまでのところスキー場以外の動きは特になく、本当に10年もつのか不安。

 ちなみに、支配人は元チャオの支配人で、横滑りでおんたけの支配人になったらしい。ここに高地トレーニング施設をつくりたいと言っていて、これもチャオそのもの。チャオの新しい所有者とトラブったから移ったのか、支配人が変わったからチャオがつまづいたのか、支配人の移籍とチャオのトラブルの関係は分からないが、何か勘ぐってしまう。