スキーバブル、デフレ、その終わり -2

 東日本大震災以降、コト消費へのシフトが鮮明になり、レジャー市場が下げ止まる。スキー客数も、震災前後を底に一旦は下げ止まるスキー場が増えた。

 リフト券価格は、客数の下げ止まり傾向もあり、2010年頃から、一度下げた価格を元に戻すのも含め、大手を中心に値上げがはじまっていた。そこに2012年末からの金融緩和による円安、外国人観光客の急増もあり、2012年以降はニセコ全山や富良野は毎年のように値上げしている。

 とはいえ、この時期の値上げはまだ一部地域の一部のスキー場だけ。2014年の消費税8%への増税時、リフト券を値上げしたスキー場は6割強程度で、4割近くのスキー場は据置きか値下げだった。値上げしたところも増税分に満たない100円値上げのところが多かったことから、税別価格の平均ではほぼ横這いだった。

 その後、北海道のリゾートスキー場に続くように、外国人観光客の増えた白馬で2016年に八方・栂池などが値上げ。このあたりから値上げするスキー場が目立ち始めた。そして19/20シーズンは、増税分以上に値上げするところが半数を占め、値上がり率は4%に達して税別でも2%の上昇となりそうだ。

 デフレ期に縮小したスキー場によるリフト券価格の差は、この10年ですでに二極化が進み、拡大しているが、スキー場の規模や運営コストの差を考えると至って当然のことだろう。とはいえ、旧来の感覚では、ニセコ全山1日券の8000円というのは、さすがにどうなんだと感じざるを得ない。10年前は5500円だったから、1.5倍近い値上がりだ。

 ニセコ全山1日券は、16/17シーズンの7400円で一旦値上げが止まっていたのが、今回の3年ぶりの増税便乗値上げは一気に600円もの上げ幅。スイス・アルプスの大規模スキー場で6500~8800円(1スイスフラン=約110円)、カナダのウィスラーになると1万円以上のようだから、競合はそこだと見据えた外国人相手の商売と割り切れば8000円でもまだ安いくらいなのかもしれないが、国内で次に高いのはルスツやニセコヒラフの6200円なので、国内比較では断トツに高い。10年前の5500円も最高値ではあったが、瑞穂ハイランドも5500円だったし、安比5100円、苗場やルスツが5000円など、断トツではなかった。

 ニセコ全山に関しては、以前は8h券が4800円であったし、冬スポ会場で8h券5枚セットが15,000円で売られていた。800円の金券付きパック券が当日窓口価格より安くで売られていたりもした。しかし、窓口販売も冬スポでの特別販売も17/18シーズンを最後になくなり、今では全山8h券は、1000円券付きパック(7500円)と札幌とのバス往復パック券(7900円)でしか売られていないのではないだろうか。(バスパック券は以前は空港との往復もあって4900円だった)

 あるいは、例えばANAスカイホリデーのツアーなら、オプションで全山4日券を1万円で買えたのが、今シーズンは16,800円。当日窓口では28,100円(オンライン購入ならキーカード代500円込で27,200円)なので4割引きになっており、1日当たり4200円なら高くは感じないが、以前からは割引率が縮小されている。

(続く)