どうなる?スキー業界

 スキー場からの情報発信が、例年より出足が遅いところが多いと感じる。道具特集の雑誌は例年通り出ているが、パンフレットや情報の出回りも遅いような。

 この10年、唯一のゲレンデガイド本となっている「ニッポンのゲレンデ」は、無事、今年も出版されるようだが、消費税5%時は924~943円(税込970~990円)だった価格は、3年前の8%増税時の年に1000円(税込1080円)になり、去年は1200円(税込1320円)に値上がり、今年は1300円(税込1430円)だ。

 何部売れているのか、この10年の傾向がどうなのか分からないが、さすがに限界が近いのかもしれない。webのゲレンデガイドだって、POPSNOWが昨シーズンで終わってしまっているし。

 そのPOPSNOWと運営が同じ冬スポは、今年も例年通りに開催されるよう。とりあえず11月の予定が出ている。入口で検温するのかな。

 シーズン券も、発売開始が例年より遅いところがちらほら。感染が拡大すれば再び緊急事態宣言が発出される可能性はあるわけで、早期終了時特約をつけて売るところが出ているが、売れ行きはどうなっているのか。

 早割1日券も、有効期間を2年間にしたところがあったが、これはどうやらレアケース。早割券の売上も、例年比でどうなっているのだろう。

 リフト1日券の価格は、これまでざっとみたところ15%ほどのスキー場で値上げされている。今の時点で料金が出ているのは比較的大きなところが多く、最終的には割合は下がると思われるが、中長期的に値上げの流れは止まらないだろう。

 おそらく、更新投資を維持するには現在のリフト券料金は安すぎるのだろう。だとすると、遅かれ早かれ、老朽化とともに廃業するか、値上げして設備更新して生き残りにかけるかの選択を迫られることになる。

 早割券の価格については、値上げしているスキー場の数は当日券よりも若干多くはあるが、数は少ないながら値下げしているところもある。当日価格よりも毎年の価格設定を柔軟に行いやすいことから、スキー場毎の価格戦略が反映されやすいのだろう。

 スキー場の外国人客は年末から春節、せいぜいあって2月いっぱいまでなので、昨シーズンはコロナの影響はほぼなかったはず。今シーズンはこれがほぼ見込めないから、外国人客比率の高くなっているニセコ・白馬・野沢あたりは苦しくなりそう。

 宿泊客は国内が頼りとなると、GO TO トラベルの恩恵がどれだけ及ぶかが勝負か。予約は1月末までだが3/15宿泊まで使えるので、スキー業界的にはほぼカバーされている。

 9月中旬までで予算の1割も消化されていなかったが、10月に入って東京発着が対象に加わったことで予算消化ペースがどうなっているか。予算消化も気になるが、宿の予約の埋まるのが例年より早くなるかもしれない。

 というか、補助上限が1人1泊4万円って、なぜそんなに高くなった?税金投入額と同額を消費者が支払うから、よりたくさんのお金を使ってもらって消費喚起ということなのだろうが、高級宿に集中して個人経営の安価な宿には恩恵が及びにくいくらいのことを想定できないはずはなかろう。この機会に生産性の低い中小・個人事業者には淘汰されてもらおうという思惑でもあるのだろうか。

 雇用・経済対策であるなら幅広い層への支援を目指すべきであって、予約時点で事業者への支払額が確定する旅行事業こそ、支払額を上限とした定額補助でもいいくらいではないか。

 それも1人1泊5000円程度にすれば、「自己負担ゼロで税金だけがそのまま事業者給付」ということもほとんどなく、多くの宿泊施設で3~5割引になって、それを繰り返し利用してもらうのがいいのではないか。定率補助にしても上限額は今の半分で十分なのではないだろうか。

 団塊世代が80年代に脱サラして始めたペンションなどは、どのみちこの数年で「経営者の高齢化、後継者の不在により、事業承継されずに廃業」が大量発生しただろうが、コロナで前倒しになりそう。

 スキー修学旅行がないとなると、それで何とか生きながらえてきた団体向け大型ホテルもいよいよ終了か。

 インバウンド客メインの宿は、高級ホテルはGO TOで何とかしのげるかもだが、ドミトリー宿の方が危ないか。国内客向けに楽天トラベルやらの掲載が増えるだろうか。

 安く泊まれる宿が潰れてしまわないことを、むしろ増えてくれることを願うばかり。