リフト券IC化の目的(メリット)は? -3

 保証金が必要なのはIC化のデメリットだが(大した手間ではないのだが地味に面倒くさい)、八方に続いて志賀高原も保証金なしにするとのこと。どこもそうしてくれればいいのにと思う一方で、結局そのコストは利用者が負担していると思うと複雑。

 RFIDの値段が下がって、紙製のカードなら数十円程度の原価になったからこそ、八方も志賀も利用者の利便性を考えて保証金を撤廃したのだと思うのだが、利便性のために数十円を負担するより、プラスチックカードにして回収・再利用する方がいいという判断もあり、今シーズン導入の野沢では保証金500円を取る。

  ニセコ全山は、買い取ったリフト券カードにwebでチャージすることで、当日朝に売り場に並ばなくて済むサービス(割引もあり)を展開している。志賀も、保証金撤廃と同時に、割引はしないようだがwebでのチャージを始めるとのこと。

 これは、利用者にはリフト券売り場に並ぶ手間が省けるというメリット、事業者にとってもリフト券売り場の負担を減らせるメリットがあるはずで、これも技術的にはそう難しくなさそうだが、やっているところはまだほとんどないのではないか。

 これは、クレジットカードを使えるスキー場がまだ多くないということが導入のハードルになっているのかもしれない。何%かの手数料を躊躇しているのなら、webチャージで割引などさらにハードルが上がる。また、保証金同様、クレジット会社への手数料も結局は利用者の負担になると考えると複雑。

 このサービスのターゲットユーザーは「シーズン券を買うほどではないリピーター」ということになり、これがそれなりの数見込めないことには事業者が導入しようというインセンティブにならないこともハードルか。

 そうした層は、今は早割券を購入しているだろうから、早割の引換券を送る代わりにICリフト券チャージできるようにすれば、発送する手間も送料も、早割事業者を仲介する必要もなくなるのだが、技術的に難しくなくてもITベンダーに発注するとバカにならない費用がかかってスキー場単独での投資は難しいかもしれない。

 早割を中心にリフト券の電子チケット販売は広がりつつあるが、引換券がスマホ画面になっただけで、窓口でスマホ画面を見せて引き換えが必要。電子チケットがICリフト券に直接チャージできればいいし、そこまでできてこそのリフト券IC化のメリットのようにも思う。

 結局、索道事業者が単一のスキー場でリフト券をIC化する目的(メリット)が、やっぱりよく分からない。利用者のメリットはいくらかあって、利用者のメリットは回りまわって事業者のメリットでもあるのだが、リフト券ホルダーがなくてもいいとかいう程度では投資の費用対効果が見込めないし、webチャージやリフト乗車ログのようなサービス展開の可能性は大きそうなのに、やっているところは極めて限定的。

 しかし、利用者側からは見えにくいだけで何かメリットがあって導入するのだろうから、そのメリットが事業者にとってだけでなく利用者も感じられるよう、利用者が利便性を実感できてそれが事業者の利益になるようなサービス展開をしていってほしいものだ。