リフト券IC化の目的(メリット)は? -2

 当初のICリフト券はセンサーまで数cmまで近づけないと反応しなかったので、紙リフト券の場合と同様のリフト券ホルダーがないと不便だったが、近年のRFIDタイプならセンサーから数十cm離れていても大丈夫なので、ICリフト券を入れておく場所をほぼ問わなくなって、便利。これは利用者にとってのIC化のメリットといえそう。

 Skilineのリフト乗車ログのサービスはICリフト券ならではのサービスであり、個人的にはすべてのICリフト券導入スキー場で標準装備してほしいのだが、Skilineに払う値段が高いのか、志賀高原はやめてしまった。ウイングヒルズ白鳥が簡易版をアプリで提供しているように、Skilineでなくとも技術的には簡単だと思うのだが、そんなにニーズがないのだろうか。

 リフト乗車ログを残せるのだから、かつて志賀高原の人気(?)サービスだった「全リフト制覇スタンプカード」の電子化も簡単にできるはず。HAKUBA ValleyやTAKASU MOUNTAINSのようにエリアでシステムを揃えれば、エリア全体での「全リフト制覇で記念品」だってできる。あるいはシステムが違っても、CSVのような汎用データ形式で出力することで、同じ画面に表示することくらいはできるだろう。

 ウイングヒルズのように、割引をエサに専用アプリをダウンロードさせ、情報配信して囲い込み・つなぎ止め(ファン作り)するのは効果的のように思うのだが、やっているところは少ない(ほとんどない?)ように思う。リフト券をIC化する投資をするくらいのところなら、それくらいのことは続々と始めてもよさそうなものだけど、費用対効果が見合わないと思われているということか。

 鷲ヶ岳(マックアース)が、webでリフト券を買って(スマホQRコードが送られる)、スキー場の専用端末で自動発券というのやっている。リフト券があればwebでチャージすることも可能。さらに、リフト券に独自電子マネーをチャージできるサービスを始めていて、IC化の活用例としては面白いと思う。

 が、シーズン券保有者でもなければよそで使えない電子マネーをチャージすることはないのではないか。事業者にとっては手数料を抑えたキャッシュレス化の実現だろうが、利用者の使い勝手が悪くては普及しまい。

 マックアースとしてやっているのだろうから(電子マネー以外は神立でも実施)、奥美濃エリアの高鷲ダイナとひるがの高原にも広げていくだろうし、さらには全国のグループスキー場や、グループ外のスキー場でも使えるようになればまだいいが、それでも利用者の広がりは期待しにくいと思うし、そこまでするなら手数料払ってSuicaWAONと組んだ方がいいと思う。

(続く)