リフト券IC化の目的(メリット)は? -1

 野沢温泉が今シーズンからICゲートシステム導入とのこと。そういや紙だったか。今さら感もあるが、何が狙いなのか。

 リフト券IC化の目的(メリット)は、一般的には、複数の索道会社で構成されている場合、どのリフトがどれだけ輸送したのかを簡単・正確に記録できるので収入配分がしやすいということだろう。だから志賀高原は30年近くも前といち早く導入した。しかし野沢はもともと村営で索道会社は一つではなかったか。

 IC化導入当初は、リフト券を確認する人の人件費削減かとも思ったが、いまどき(昔から?)リフト券チェック用に人を雇ってるとこなんかまずないから人件費削減にはならない。

 不正乗車はなくせるだろうが、それがシステムコストに見合うほど多いとは思えない。システムコスト自体も汎用機化などで下がっているのだろうし、山上への光回線も食堂施設のWiFi利用のために敷設済みなのかもしれないが、それでもゲート設置の初期費用やメンテナンスコストは安くないだろう。

 八方なんて、リーゼングラートや黒菱クワッドなどの上部リフトのゲートを省略しちゃってるが、麓でチェックすればよいと割り切ってのコスト削減は合理的だと思うし、それだけゲートの値段がするということだろう。

 索道会社が単一の場合に費用をかけて導入する事業者側の目的(メリット)もよく分からないが、利用者側のメリットを感じる場面もあまりない。

 1日券・半日券だけでなく、時間券などリフト券設定の多様化が可能なのは、主に利用者にとってのメリットだと思うが、IC化しても半日券のところや、IC化直後は時間券を設定していたのにやめて半日券に戻したところもある。時間券の設定は、事業者にとっては単価低下のデメリットしかないのかもしれない。

 シーズン中有効の「30h券」などもIC化ならではだが、大体安くはない。ニセコヒラフの場合、30hと50hがあるが、1時間当たりの価格は1000円強で5h券と同程度。メリットがあるのは「朝一のパウダーを2~3時間滑るだけ、を10~20回行く人」など、かなり限定的かと思われる。

 高鷲スノーパークも一時期、10h,20h,30hを出していたが、30hでようやく時間当たり1000円なので、やはりかなりの短時間・高頻度者向け。ここの場合、それだけ行くなら早割を買っておけば、30h券に+1000円で1日券10枚買えてたので、利用価値はますます微妙。

 ここの場合は駐車場代がかかることから短時間・高頻度はしづらいということもあるし、だったらそれを見越して値段を下げて販売を促す手もあっただろうが、単価を下げてまで広げるだけのマーケットはそこにないと判断してやめたのだろう。

 ここは開設当初からICリフト券だったと思うが、おそらく最初から時間券を出したことはなく、今も午前券はなく午後券だけ。「朝から昼まででいい」という人が多いこと、時間券や午前券を出すとリフト券単価が下がってしまうことが分かっているから、出さないのだろう(奥美濃ではめいほうも同様の施策)。

 それでも客がよそに逃げない競争力があるのだから事業者としては正しいのだろうが、利用者としては釈然としない部分である。

(続く)