昨シーズンのスキー客数(索道輸送人員数)

 2019年度の索道旅客輸送の集計結果(鉄道輸送統計年報)が公表された。

 これまでに自治体等から公表されているスキー客数データ(3月末までの集計値)では、前年比で、白馬村が-6.5%、長野県主要23か所が-8.4%、長野県全スキー場(営業78か所)が-12.3%、湯沢町が-28.8%、前記から計算される長野県の主要じゃないスキー場(55か所)が-30.2%、岩手県が-7.4%。

 シーズン中から、北陸や西日本は壊滅的だが北日本はまだマシ、もともと高標高だが雪の少ないエリアはまだマシだが低標高で豪雪のエリアは苦戦、という傾向を感じていたが、結果もそのようになっている。

 個別のスキー場でみると、湯沢町全体では-28.8%だが、標高1300m以上に滑走エリアが広がるかぐらは、3月末までだと+32.7%の大幅増、5月まででも前年を上回り、おそらくここ10年で最多を記録。逆に、標高1300mより下に滑走エリアが広がる苗場は-55%の大幅減で、ピーク時には4~5倍、近年でも2~3倍の差があった苗場とかぐらの客数が逆転した。

 白馬でも、八方の2割減に対して五竜・47が2割増(3月末まで)なのは、八方は滑走エリアが裾広がりなのに対して、五竜・47は上部の滑走エリアが広いうえに比較的緩い斜面もあって滑りやすいからだろう。これで八方より五竜・47が多いのは5年連続で、しかも1.6倍もの差がついた。

 これらのデータから、索道輸送人員数についても15~20%の減少が予想されたが、結果は-21.8%(12月~3月)と予想を上回る減少幅だった。

 都道府県別(4月~3月;特殊索道のみ)では、富山県-78%、岡山県-75%、石川県-68%、滋賀県-63%、兵庫県-51%、福井県-46%などが壊滅的なのに対して、健闘したのは、群馬県(-3.8%)と岩手県(-6.5%)。北海道も-13%ならマシな方だが、北日本全般でマシなわけではなく、宮城県はー42%、東北6県でもー28%と、むしろ全国平均より悪い。

 震災後しばらくは3億人にもう一息という水準で下げ止まっていたが、2015/16シーズンの雪不足以降は2.5~2.7億人へと水準を切り下げ、それが一気に2億人割れ。ちなみにスキーバブル期は7.5~8億人だったから、最大時の1/4以下になってしまった。

 索道収入でみると、12月~3月の特殊索道収入は、スキーバブル期のピーク時で1479億円、震災前後が400億円台前半で、5年前の雪不足シーズンが367.5億円、昨シーズンは327.6億円。ピークと昨シーズンの比率は輸送人数同様1/4以下で大きく変わらないが、震災前後の落ち込みが大きくてその後の落ちが小さい。

 1回あたりの単価でみると、スキーバブル期の190円台が震災時に150円台に下がったのが、昨シーズンは186円へと大きく戻している。普通索道も含めるとスキーバブル期を超えている。

 一昨シーズンから昨シーズンで一気に1割も上昇しているので、値上げの影響というより、1日券でリフトに乗る回数が減ったということか。雪不足で滑走エリアが限られる→混む→待ち時間が伸びて乗る回数が減る、ということだろうか。

 今シーズンはどうなるか。

 コロナ禍の影響がどちらにどう出るのかが読めない。キャンプ、ゴルフ、釣りといったアウトドアレジャーは好調でむしろプラスになっていると聞く。であればスキーもとも思うが、スキー場はレストランもレンタルもチケット売り場もリフト乗り場も密のイメージがありそうで、控えられるかもしれない。

 GWまで延長されそうなGo To トラベルは、宿泊客の減少を緩和する効果はあるだろうが、増加まで寄与するかは読めない。スキーバスの利用が避けられて減るかもしれない。

 2015/16のあとすぐは「雪さえ降れば3億人」という期待が持てたが、今シーズンは雪に恵まれたとしても訪日外国人客はほぼゼロだろうから、この5年では雪に恵まれた3年前の2.69億人は難しく、2.5億人に戻れば御の字か。特殊索道収入は3年前の405億円が一つの基準になりそう。