2022/23シーズン振り返り【客数】

 コロナによる行動規制の緩和から昨シーズンからの増加は見込まれていたと思いますが、水際規制の緩和による訪日外国人客の回復は予想以上であったのではないかと思います。

 県単位や全国的なデータが出てくるのはまだ先ですが、一部の自治体やスキー場(企業)からは月単位の客数データなどが公表されています。

 白馬村のスキー場客数は、3月までの前年比では134%の大幅増で、2019/20シーズンまでの6年間平均対比で94%まで戻っています。スキー場別では、八方が前年比136%のコロナ前比84%、五竜&47が前年比136%・コロナ前比99.7%、岩岳が前年比119%・コロナ前比121%など。

 岩岳は滑走しない観光客が12%を占め、その12%は「スキー場の客」ではあるが「スキー・スノボ客」ではありませんが、運営会社の発表によるとウインターシーズンの客数は過去最高を記録ということで、立役者の和田社長は一時期のマックアースの一ノ本社長のように、この業界ではちょっとした時の人になっています。

 近年絶好調と言えば「グランスノー奥伊吹」で、10年以上前から、1970年の開業以来の最高記録を度々更新しており、今年もまた更新しています。

 2011/12シーズンの130,160人での記録更新に始まってそこから4年連続での更新、雪不足による半減などを経ながらも2017/18シーズンにも更新、2020/21から今年までこれで3年連続の更新となって、今年は約26万人の見込みとなっています。

 2年前などは苗場、八方、蔵王よりも多く、野沢温泉安比と同等でしたし、今シーズンもかぐら、神立、ガーラより多いというのは、スキー場規模から考えると異常事態と言っていいのではないかと思います。その手腕から、木島平スキー場改め「ロマンスの神様スキー場」への協力を求められ、サポートする(している)ようです。

 日本スキー場開発㈱の発表によると、同社傘下のスキー場の3月までの客数は、前年比で120%、2019/20シーズンまでの5年間平均対比で97%となっています。スキー場個別では、八方と岩岳白馬村の発表とほぼ同じで、栂池が前年比140%・コロナ前比103%、竜王が前年比134%・コロナ前比103%、菅平が前年比119%・コロナ前比89%、川場が前年比95%・コロナ前比104%、めいほうが前年比100%・コロナ前比108%と、団体客が戻り切ってなさそうな菅平と、規模縮小で前年比84%・コロナ前比55%となっている鹿島槍を除いて、すでにコロナ前を取り戻しています。

 湯沢町のスキー場客数は、3月までの前年比で121%、2019/20シーズンまでの4年間平均対比では81%となっていますが、コロナ前比では苗場・かぐらの落ち込み(苗場55%・かぐら69%)が大きく、この2つを除くと99%とコロナ前に戻っています。スキー場別では、湯沢中里がコロナ前比122%、神立が121%と大きく増やしています。

 このあと、例年4月末ごろには長野経済研究所から長野県内主要スキー場(23か所)の3月末までの客数の発表があり、7月には長野県からスキー・スケート場の利用者統計調査結果として県全体及び客数上位スキー場の客数発表、他にも新潟県山形県岩手県の発表や、国交省からの索道輸送人員の発表などからも客数動向推移の把握ができます。

 白馬村湯沢町のデータからは、各県単位や索道輸送人員数についても、コロナというより雪不足で客数の少なかった2019/20シーズンとは同等になるか上回り、それ以前数年間の平均には及ばないもののマイナス10%以内には回復しているのではないかと思われます。

 スキー業界的には一安心だったでしょうが、今シーズンは補助金(旅行割・リフト券割引)の後押しによるところもあったでしょうから、補助金がなくなるであろう、しかし中国人客を含めてインバウンドがコロナ前以上になることも期待できる来シーズンがコロナ前平均に届くか、あわよくば超えることができるかどうかが、今後の持続可能性を占う試金石になるかもしれません。