ETC深夜割引の見直し

 大型トラックなどの深夜割引待ちが問題視され、ETC深夜割引の見直しが検討されているとは数年前から聞こえていましたが、その見直し内容の概要が今年1月に発表されています。

 

・割引適用時間帯の走行分のみ3割引とする。

・割引適用時間帯について現行の「0時から4時」を「22時から翌5時」へ拡大する。

 

が柱で、割引適用時間帯の走行距離については、高速道路内にETC無線通信専用アンテナを設置して通行記録を収集することで算出します。

 高速道路を出た時点では割引額(走行距離)がリアルタイム算出できないことから、後日還元型による割引に変更されることになります。

 実質値上げとなる長距離トラックへの配慮から、深夜割引見直しにあわせて通常料金の長距離逓減(割引)も見直して、現行は100㎞以上25%引き・200㎞以上30%引きだけのところ、400㎞以上40%引き・600㎞以上45%引き・800㎞以上50%引きが追加されます。

 400㎞以上の長距離を深夜割引時間帯に走行しない場合は安くなります。現在は0時過ぎてから流出すれば、それまでの走行すべてが3割引きになるので、それよりも安くなることはありませんが、夜通し走行する場合は実質値上げ額はか圧縮されることになります。

 「2024年度中を目途に見直す予定で運用開始時期は改めてお知らせ」ということで、2024/4/1からということはないでしょうが、2024年中のどこかからの開始、スキーシーズン的には来来シーズンとなる2024/25シーズンからになるようです。

 運用開始から5年程度は激変緩和措置として、

・割引適用対象車両が1000㎞を超えて走行した場合、割引適用時間帯でない走行でも1000㎞を超える部分を割引対象走行分に追加する。(例:深夜割引時間帯に500㎞、それ以外に700㎞で計1200㎞走った場合、深夜走行の500㎞だけでなく1000㎞を超える200㎞を加えた計700㎞を割引対象とする)

・22時台に高速道路を流出した車両について22時台に走行した分は割引率を2割とする。

とあり、前者は夜通しどころか昼から翌昼まで仮眠を挟んで走り続けるような超長距離車両への配慮、後者はNEXCOの収入減少に対する配慮でしょうか。

 また、割引時間帯にできるだけ長距離を走ろうとして速度超過する車が出ないよう、割引対象距離に上限を設ける等の対応を検討するともあります。

 適用時間帯の拡大はそれなりに恩恵となる一般車両もありそうで、特に22時台の割引は対象車両が多くなることからの激変緩和措置と思われます。長距離逓減や激変緩和の1000㎞以上分割引の恩恵を受けるのは、制度設計の目論見どおりに長距離トラックだけで、一般車両で恩恵を受ける人はごく一部で割引額(NEXCOの減収額)も少額になりそうです。

 個人的には、朝5時までの拡大は恩恵がありますが、5時前に高速を流出することはないので4時直前に流入しての全区間割引適用からは割引額が減ります。割引額は1/2~1/3になり、700~1200円程度の値上がりになりそうです。スキー帰りの運転で夜10時を回っての高速道路走行はこれまでになく、こちらの拡大の恩恵はありません。

 そもそも、1分でも割引時間帯に高速道路にいれば適用というのは、システム上しかたなかったととはいえ制度設計として甘く、そうでなくなるのは合理的であり、ユーザーとしてはありがたかったので残念ですが、致し方ないことだと思います。

 3時起きは正直しんどいものの、深夜割引適用というインセンティブのために早起きして、そのおかげで朝一リフトに間に合うという側面もあったのですが、見直し後は、5時にスキー場近くのICを出るようにとは言わないまでも今まで以上に早く高速に乗るのか、あるいは割引はないものと考えて4時や5時にこだわらずに自然体で行動するようにするのか。

 5時までに少しでも長く走るべく、スピードを出し過ぎたり、眠くなっても我慢して仮眠を取らず走り続けることのないように気を付けねばと思います。